夏日の金曜、ハムサンドイッチにアリタリア
朝からあったか。雲ひとつない気持ち良い日で四谷の駅までテクリと歩く。
駅の手前で朝食を…、と「ロン」に来ました。
コンクリート造りの昭和モダンな作りの建物。中に入ると、ひんやり空気が気持ちいい。
細いスリットのように開いた窓際の丸いテーブルをもらって座る。お冷に分厚いタオルのおしぼり。全席喫煙。灰皿にコーヒーの粉がぎっしり敷き詰められてる。
英語で「Lawn」のロンであります。テニスも芝生。ガーデニングも芝生だけれどここの芝生はゴルフ場の芝生のようで、朝からゴルフ世代紳士たちがコーヒー片手ににこやかに、お店の人と週末の相談をしたりしている。
のどかなムード。BGMはビートルズの「ラブリーリタミーターメイド」で、おじさんたちは鼻歌っぽく口ずさんでる。
まずはコーヒー。昭和な味わいのコーヒーです。
酸っぱい。
苦い。
厚めの陶器の小さめカップ。ストンと下にむかってすぼまった形のカップにソーサー、小さな器にコーヒーフレッシュ。
砂糖のポットは磨き込まれたステンレス製。
昔ながらの景色になんだかホっとする。
カップは熱々。フーフーしながら口をつけると酸味を帯びた香りでパチリと目が覚める。半分ほどを飲んだところでミルクを入れると途端に酸味がまろやかになる。酸味の代わりに苦味が湧き立ち、マイルドビターなコーヒーになるのが不思議。
朝のメインはサンドイッチをお願いしました。トースト、チーズトースト、ジャムトースト。サンドイッチも何種類か用意されてて、焼いた玉子をはさんだたまごサンドが有名だったりするけれど、ここではずっとハムサンド。なぜだか好きでこればかり。
愚直なほどのハムサンドなんです。パンとハムだけ。ちょっと厚めでギッシリきめが詰まって仕上がる角食に、これまたギッシリ、肉の旨みが詰まったハムを几帳面に2枚挟んだサンドイッチ。長方形を一切れ、三角形を二切れになるように切り分けお皿に並べた姿もとても几帳面。
噛みごたえがあります。調味料は薄塗りにしたバターとマヨネーズ。けれどハムの塩味、旨みで十分味が整い、噛みしめるにつれてとろけておいしくなってく。真似しようと思ってもこんな風には絶対作ることができないここならではのおゴチソウ。
お皿の上に置かれたトマトが彩り添える。最初、コレを見たときにこんなに大きなさくらんぼがあるのかしらとビックリしたこと思い出します。満たされる。
西新宿で昼。ひさしぶりの「あるでん亭」。
超高層ビル街のサンクンガーデンに面した店で人気のお店。ランチタイムにはいつも行列。ランチメニューがあるでなく、ちょっと食べると1500円にはなっちゃう…、けれど大人気というのがたのしい。実力派。
日本のスパゲティー屋には2種類ってボクは思ってる。
それを区別するのは「和えて仕上げるたらこスパゲティー」があるかどうか。
つまり「壁の穴的」であるかどうかがポイントで、そういう店はスパゲティー屋というよりも「洋風うどん屋」と考えた方が収まりが良い。
だからカルボナーラに玉子の黄身をのせて平気だし、麺の盛りの種類にこだわる。そういうスパゲティー屋から「つるとんたん」が産まれたんだ…、と思うといろんなことがスッキリ。
腑に落ちる。
ちなみにこの店には「和えパスタ」はない。だから「日本のスパゲティー屋」というもう一種類のカテゴリに収まる店…、とボクは思う。同じ新宿のちょっと歩いたビルの地下には「ハシヤ」っていううどん屋系スパゲティー店の名店があり、そこも行列。オモシロイ。
ちなみにこの店では「茹でたパスタをを炒めて仕上げる」。
それがここに代表される「日本のスパゲティー屋」の特徴で、イタリア的なパスタは「煮込んだり」「ソースとあわせたり」することはあるけれど油で具材と麺を炒めるってコトはまずない。
パスタがスープ料理に分類されるのも「焼かないから」じゃないかと思う。
でも炒めるコトで風味がでるし麺に味がなじむから、それはそれでいい工夫じゃないかと思う。
例えばここの「アリタリア」って料理はまず茹でた麺をシメジと一緒にオリーブオイルでジャジャッと炒め塩で下味つける。最後に生クリームを注いで軽く入荷させ、お皿に移してボロネーゼ。それで完成。
濃厚味で、ご飯のおかずになりそうなしっかりした味。悪くない。
ちょっと時間がかかります。特にランチがはじまった直後は、あっという間にお客様がなだれ込んできて満席になる。みんな待つのを覚悟でスマフォ片手にのんびりしてる。ボクは豆のサラダをたのむ。
グリーンピースといんげん豆をガーリック風味のオリーブオイルでマリネした、シンプルなんだけど豆の食感、風味が素直に伝わるたのしいサラダ。
冷蔵庫の中で冷やしてあったのがそのままやってくるから最初は冷たい。冷たいうちは豆のひと粒ひと粒が口の中で転がるようで、温度が上がるとネットリとろけるようになる。
濃厚味のスパゲティーを半分食べたら豆をのっける。パスタを潤すに必要以上のソースが豆にからんで口の中をにぎやかす。テーブルサイドに用意されてるカイエンペッパやチーズをつかって味を好みに仕上げて食べる。お腹ゴキゲン、満たされる。