冬がはじまるボガマリ・クチーナ・マリナーラ

ひさしぶりにボガマリ・クチーナ・マリナーラにくる。
イタリア料理の店ではあるけど、魚介類を使った料理だけの店というのが特徴。イタリア料理を食べに行こうというより「今日は魚を食べてやるぞ」と気持ちがたかぶる好きな店。
厨房の前に大きなショーケースがあり、中にズラリ。
今日の仕入れの魚が並ぶ。
切り身ではなく一尾まるごと。鮮度がよくてどれも瞳がキラキラしてる。
魚の周りに貝がぎっしり並べられててまるでベッドのようになってる。メニューはなくてそこに揃った魚をみながら食べたいものをお店の人と相談しながら決めて注文するのがまずたのしい。
ときに蟹やエビがそこに混じってて今日は大きなワタリガニが一杯だけ。
今日はうれしやファーストゲストで、その一杯をもらってパスタにしてもらうことにした。食事の中盤のお楽しみ。献立を決め揚げた小エビにパンをお供にワインを飲んで料理を待ちます。樽香のしっかりとした白いワインで、ほどなく生牡蠣が到着しおいしい時間のはじまりはじまり。

カルパッチョがやってくる。今日のおいしい魚を選んで二切れずつ。カツオにキンメ、サワラ、カンパチ、イカにタコの吸盤と味わい多彩。オリーブオイルと塩だけで味がしっかり整っていて、ときおり潰れるピンクペッパーの風味も旨い。
フリットがおすすめと言われて即断。フリット好きでございますゆえ。しかも今日はブリをフリットするんだという。軽く粉をはたいて揚げたブリのふっかり、おいしいこと。太った真いかのフリットは噛むとさっくり衣が歯切れブリンと弾ける。甘くてゆっくりとろけていくのがもうたまらない。ゲソの部分はパリポリサクサク、歯ざわりたのしいオゴチソウ。

パスタが来ます。
今日のショーケースはいつも以上に貝が豊富で、その貝を使って塩味パスタを作ってください…、ってお願いしてた。
大きなしじみに大あさり。
貝の旨味とオリーブオイルで固めに茹でたリングイニを炒め仕上げる。
小さなトマトを一緒に炒め、酸味と風味を整えている。
しじみと思えぬサイズの大しじみは熱を通したあとに刻んでパスタとからめる。だから無造作にフォークでパスタをからめあげると必ず貝が口の中へとやってくる。
タプンタプンと鍋をゆすって油とパスタをよく和え仕上げているからでしょう…、乳化されててパスタがツヤツヤ。貝の旨味ってすごいよなぁ、と感心しながらウットリ食べる。

今日、たった一杯入荷していたワタリガニを使ったパスタ。トマトソースで仕上げてもらった。
パスタの上にお腹や足、甲羅が乗せられやってくる。そのどこにも肉は残っていなくてソースと一緒に煮込んだあとにキレイにせせって肉はソースに混ぜ合わしてる。肉だけじゃなく味噌や玉子ももれなくソースの中にあり、この上もなく仕上がり贅沢。
パスタが一風変わっていました。幅広のフェットチーネではあるのだけれど細かな溝がたくさんついてて、それがソースをたっぷりからめる。厚さも厚めでむっちりしてて茹で加減もアルデンテ。
フェットチーネはペロペロペラペラ、すべるような食感があんまりすきじゃないのだけれど、このフェットチーネはオキニイリ。

次々お客様がやってきて、次々魚をみてはメニューを決めていく。そのつどショーケースの氷の上の魚は姿をけしていきます。氷がキラキラ、光って見える。
メインはアラのブイヤベース。
アラの分厚い切り身はグリルして、エビや貝は蒸して並べる。下にはクスクス。トマトと煮詰めた魚介のスープをかけて味わう。
いやはや旨い。
脂ののったアラの身質はしっかりしていて、弾力がある。それそのものの旨味が強いところにソースがからんで舌がびっくりするような味。
クスクスの中には砕いたドライナッツやシナモンが混ぜられていて食感複雑。スプーンですくってスープに浸して食べると、口の中でパラパラちらかる。

なのに味はスープの味と意外な感じがオモシロイ。エビの殻を指で剥いたり貝を殻から外して食べたりと、指においしい匂いが移っていくのがたのしい。今晩ずっとおいしい名残をたのしめる。
お店のメンバーが若干かわって、外人スタッフも目立つようになりました。いつものように以心伝心というわけにいかないところがいささか少々もどかしく、でも徐々にボクの好みが伝わって再びボクのお店のようになってくれるに違いない…、と思って今日はたのしんだ。
食後のお腹に甘いもの。友人はラムレーズンやナッツをねりこんだアイスクリーム、セミフレードにレモンのソルベ。ボクはカンノーロをたのんで分け合いお腹に蓋する。オキニイリ。

 

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コメント

  1. めるば

    ボガマリ渋二は青森へ移転してしまったのですか?澪つくしから店名変えた時に迷う何かがあったのかな…とは思っていたのですが、今度は青森へ。確かにおさかな美味しいところかもですが、何故にまた青森なのか…謎です。

    • サカキシンイチロウ

      めるばさん
      ボガマリ渋二は閉店されたということです。青森に移転とはなにかの間違いじゃないでしょうかしら…。
      ボガマリのスタイルはやはりパスタというキラーコンテンツをもっているイタリア料理なればこそだったのでしょうね。日本料理には向かなかったのかもしれませんね。

  2. keiko

    ああ、ボガマリ!本当に全てが美味しそうですね。
    貝のスパゲッティもですがフリットもとても美味しそう…!
    あのショーケースは魅力的ですよね❤️また必ず再訪したいと思います。
    と思いつつ、中々行けませんが😅

    • サカキシンイチロウ

      keikoさん
      昨年の年末。お店の年末最後の日にたまたま来店が重なって、しかもラストゲストだったのです。ショーケースの中のものを洗いざらい食べてってくださいって言われて、それはそれは幸せな夜を過ごすことができました。
      これほどお魚がおいしそうに見えるショーケースってなかなかないですよね。

  3. めるば

    Twitterで見かけた情報なのでどこまでホントか分かりませんが、青森へ移転と書かれてた方がいらっしゃったので。
    スタッフの方も少し変わられたのですか…いつもいるあの方、まだいらっしゃるといいのだけど。

    • サカキシンイチロウ

      めるばさん
      そうだったんですネ…、渋二の店長さんが今ではボガマリでがんばってらっしゃいます。
      いつも元気で的確なメニュー選びを手伝ってくれていたソムリエールさんは、本部の仕事に専念されているということでお店にはいらっしゃいませんでした。ちょっとさみしい気がしましたが、代わりに若い男性スタッフが一生懸命。応援したくなりました。

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