3つ目の龍の巣・シン三丁目

夜、何を食べようと新宿三丁目をウロウロしていた。もつ焼き屋やワインバーが並ぶ通りは呼び込みだらけで煩わしい。もう一本、二丁目よりの路地は実力派揃いのエリアで、オキニイリの焼肉店。龍の巣もある。
長い間行ってないな…、と思うも昼も焼肉だった。他のお店をと思って歩いていたらその龍の巣の向かい側に、龍の巣みたいな外観の店。看板見ると「龍の巣シン・新宿三丁目」って書いてある。
数ヶ月前に歌舞伎町に支店を出したばかりなのに、ここにも出来た?とにわかに信じがたくお店の中を見ていたら見知ったスタッフと目が合った。開店したのは7月30日。つまりたった5日ほど前のコト。
間口が狭くうなぎの寝床のような店。でも居心地良さげで、ニギワッていてせっかくだから試してみようとお店に入る。

テーブル3つに16人。奥に厨房。厨房の前に8人がけほどのカウンター。つまり20人ちょっとも入れば満席の店。厨房一人、厨房とホールを行ったり来たりするのが店長という2人で切り盛り。互いに声をかけあって、そのやり取りが軽妙、しかも元気があってとてもたのしい。
ガスのロースター。牛脂が一切れ。トングにタレ。おかわり自由のキムチをもらってまずはセンマイ。牛タンを焼く。ガスの具合がとてもよく上手に焼ける。肉の状態は見事で惚れ惚れ。ハチノス、上ミノとゴキゲンに焼く。
小さな店の中を右に左にと世話焼きする店長。手が空くと向かい側の三丁目店に飛んでって指示を出したりとじっと声出し、体を動かす。

その三丁目店ができて2年半。その当初からずっとがんばってきたんだという。
博多では1年と半で3店舗。新宿の街は手強くて真剣勝負が2年半も続きました…、と。3店作ったから、あとはしっかり成熟させていくばかり。これからが本当の勝負なんです…、と気合が入る。
同じメニューでありながら規模や使い勝手が違うお店を3つ作る。互いが持っていないモノを融通しあって助け合うことで、1店舗では出来ないことができればいいね…、と思ったりする。ワクワクします。
肉の盛り合わせをもらって焼きます。ほろほろ繊維が崩れるように焼けるフリソデ、脂がおいしいクラシタに強い旨味に風味のハラミ。ランプはさっくり歯切れ、ミスジは濃厚。味わい、食感さまざまでウットリします。

〆に丼。肉かすとじ丼。「焼肉とかすうどん」という二枚看板を持つ店で、いつもはかすうどんを食べるのだけど今日は無性に丼飯をワシワシしたくかすとじ丼。風味豊かなかすと玉ねぎ、ネギを一緒に煮込んだところに肉うどん用の肉をタップリ。卵でとじたらご飯の上にのっけて完成。
白身はキチンと固まっている。けれど黄身はほどよく半熟。これからボクが食べる卵とじはみんなこういう状態にするように…、とお触れを出したくなるようなうれしい仕上がり。甘めの出汁をたっぷり含んだ玉子はふわふわ。玉子が蓄えきれなくなった汁が丼の底にたっぷりたまる。かなりのつゆだく。ザブザブまるで雑炊みたいに食べられるのがまたオキニイリ。あっという間にお腹におさまる。
3軒できた店それぞれに特徴と良さがあって中でも、ボクはこの店の小ささと勢い、そして親密さが好き。贔屓にしましょう…、また来よう。

ちなみにウェブの情報がまだ整っていないようです。なので食べログのデータは向かい側にある三丁目店。シン・三丁目店の電話番号は03・3354・1729です。

 

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コメント

  1. かーこ

    サカキさんの新しいお店への、エールを感じる文章で読んでいて、あったかい気持ちになりました。
    ひとり焼肉が気軽に楽しめる店、良いなぁ、ふらりと立ち寄ってみたくなりますね。
    今は美味しい事が当たり前じゃないと生き残れないのだなぁと、それにプラスアルファ、雰囲気とか、店員さんの気配りとか、一生懸命働く姿や、内装や外観とか、立地も。
    ご馳走って、食べ物が美味しいだけじゃないんだなと、
    お腹も心も満たされる事が、私にとってのご馳走なんだと感じました。

    • サカキシンイチロウ

      かーこさん
      応援してあげたいお店ができると、うれしくてしょうがなくなります。
      おいしいんだけど応援しがいのない店もある。おうしいだけで、お腹と舌は満たされるのだけれど気持ちが冷たくなるような店もある。
      お店の人の存在が近くに感じることが出来ないお店は損をする店なんですよね…、もったいないなって思うことが最近増えました。
      だからこそ、こういう一生懸命なお店の発見は心からうれしい。よい夜でした。ありがたい夜。

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