13回目の23日に甘酸っぱくてとろける思い出…
甘くて冷たいゴチソウをいただきましょうとラドゥレのカフェ。
銀座三越の二階の角。
窓の向こうには和光に日産、三愛ビル。
銀座4丁目交差点のランドマークがもれなく見える「これぞ銀座」っていう景色。窓の内側はフランス的なインテリアで間接照明で昼なお影が深い客席。外と中とでまるで違った場所にいるような錯覚がたのしい空間。
今日も「クープ・イスパハン」。
アイスクリームのデザートで、ここには10種類以上のアイスクリームが用意されてる。ピスタチオもキャラメルもヘーゼルナッツもおいしいけれど、ラドゥレらしくて銀座らしくて、ボクたちらしいものと言えばイスパハン。それでいつもこれを選んで食べていく。
冷凍庫の中でひやされ霜がびっしり張り付いた銀のボウルがまずうつくしい。
ラズベリーのシャーベットにバラのアイスクリーム。フランボワーズにライチにホイップ。
焼いたメレンゲ、ラズベリーのソースをかけてできあがりという甘くて酸っぱく香り豊かな冷たいお菓子。
イスパハンってケーキやマカロンといろんな形で作られる。どれも素材の組み合わせはこの組み合わせ。誰がこの組み合わせを考えたんだろう…、と感心するほどそれぞれの素材の持ち味が引き立てあって、切なくなるほどオキニイリ。
中でもここのアイスクリームで作ったイスパハンは食べる部分で味の印象が異なって、一口ごとに発見がある。焼いたメレンゲの壊れる感じ、ライチのツルンと滑る食感。食べすすめるとすべてが混じってタナカくん曰く「甘酸っぱいウルトラQ」になっていく。思い出は甘酸っぱくてはかなく溶けていくものです…。
関連ランキング:マカロン | 銀座駅、東銀座駅、銀座一丁目駅
もしタナカくんが逝くことがわかっていたら何をしたんだろう…、って最近思う。
好きなこと、好きなもの、好きな場所を一緒に食べたり、見たりしたかもしれないけれど、それよりもっとしたかったのは思い出話に耽ること。
楽しかったこと、哀しかったこと、うれしかったことを口に出して共有できたらどれほど残されてなお生きていく糧になっただろう…。
父が闘病生活に入ってから母と父は昔話をずっとしていた。死ぬ準備で一番大切なことは「思い出を整理することだったんだわ」って一人になった母は言ってた。
不意打ちの別れでは思い出の整理をふたりですることはできなくて、それがさみしく哀しくて、だからこうしてブログに思い出話を書いて心の整理をしてる。
すべてが彼との対話のようで、ちょっと気持ちがおだやかになる。そんな私的なつぶやきに付き合っていただける人がたくさんいてくれるということに、タナカくん共々感謝してます。ありがたい。
和牛のひき肉を混ぜものしないで、軽く塩うち胡椒をたっぷり混ぜ込んでひたすら練って形整え冷蔵庫の中でしばらく休ます。テフロン加工のフライパンに乗せてそれから火をつけて、油使わないで弱火でジリジリと焼く。
自分の脂で焼けていく肉。途中、2度ほど脂を捨ててヒックリ返して出来上がり。焦げたところがサクサクしてておいしいんだ、これが。こういう料理はソースなんかを使わなくて十分おいしく、トマトとバジルをオリーブオイルと塩を揉み込み、フレンチマスタードと一緒に添えて味わう。オゴチソウ。
あまったひき肉に赤ワインとちょっと注いで混ぜ合わせじっくり時間をかげて焦がして焼き上げる。
ニンジン、セロリにタマネギをみじん切りしてトマトソースと合わせてクツクツ。ソースに仕上がったところで焼いたひき肉を中に移してまたクツクツ。肉が自然とほぐれていってミートソースの出来上がり。
固めに茹でたパスタとあわせてボロネーゼ。お皿に移してパルミジャーノを削ってたっぷり。上等なパスタの完成。よくできた。
野菜もやっぱり食べなきゃネ…、って生ハムとハーブ野菜とトマトのサラダを作って合わす。料理の腕はどんどん上がる。でも食べさせて上げる人がいないことがやっぱりさみしい。しょうがない。
よくご一緒されてましたよね~!ラデュレ。
イスパハンの色合い・お店の感じともども、お二人がその空間で召し上がっていることを想像して、なんて微笑ましくてチャーミングなんでしょ…イスパハン苦手な私には一生そんなラブリーな景色は訪れないんだわ(笑)って勝手に羨ましがっていました。
食とヒトの想い出って結びつきやすくて、というかイコールになっていますよね。そんな想い出がたくさん残っていることに、エピソードお裾分けいただいてる私も感謝です~
それにしてもまたまたおうちパスタも美味しそう♪
EIKO ISHIKAWAさん
食べということは生きること。
そして、食べるということはとても身近な娯楽でもあり、だからたくさんのものを一緒に食べてたのしんできたという事実そのものが、ありがたくもあり切なくもあり。
まだまだ食べに行くことができない食べ物やお店もたくさんあって、長生きしなくちゃ…、って思わされます。
ラデュレはいつもタイミングが合わず混んでいて、中でゆっくりその空間を味わったことがないんです。何て魅力的なんでしょう。これはやはり行ってみなければ。
おいしいものと時を大事な人と共有できるって本当にかけがえのないものなんですね。
でゅそのさん
不思議なことにボクは今まで一度もこのお店にふられたことがないんです。
いくと必ず最後のひとテーブルが残っている…、っていう感じ。
なにかステキな力が働いているのかなぁなんて思います。ありがたくって、うれしいことです。
サカキさん
思い出の詰まったラデュレ
そしてイスパハン
薔薇は薔薇は
ですね
私もいつかラデュレでイスパハンを
その時はサカキさんと田中くんを思いながら食します
チキタンさん
気高く咲いてうつくしく散る。
そんな人生だったように思い返しました。
食べるために、甘酸っぱい思い出に包み込まれる幸せの味。いつかぜひ、たのしまれてください。
イスパハンってそんなに昔から定番のものだったんですか。昨今ピエールエルメのイスパハンを食べたデザイナーの佐藤オオキ氏がクリス智子さんとその名前についてCreidioというラジオ番組で話してました。「いすぱは~ん」って京都の呼び方みたいだとか…笑 こんなにお洒落なお菓子だったんだって此処で知りました
ntさん
ライトとローズの組み合わせ。
王朝時代のフランスではとびきりエキゾチックな香りだったんでしょうネ。
さまざまな味わいのお菓子が味わえる今にあっても十分にエキゾチックでうつくしい味。オキニイリです。