関西出汁でそば食べる朝

朝に蕎麦。新宿の西口。ヨドバシカメラ本店の向かい側にある「かのや」を選ぶ。
朝からニギヤカナお店で、西新宿のオフィス街に向かうサラリーマンや、電気街に務める人たちが次々、お店にやってくる。
朝や、お昼に気軽な蕎麦屋がニギヤカなのは当たり前。
夜にもお客様に来ていただけるように…、と、夜のチョイ飲みメニューを用意してたりする。
富士そばがそれで結構売上作った…、って噂なんだけどどうなんだろう。
西洋系の人たちにとって、立喰蕎麦のお店はずっと蕎麦屋じゃなくて天ぷら屋。抜きをたのしむ人たちが結構いたから、彼らにとってはチョイ飲みするのも当たり前。日本人よりずっと蕎麦屋の使い方が上手なのかも…、って思ったりする。オモシロイ。

この店。
カウンターと一人専用のテーブル席の両方がある。
セルフサービスの蕎麦屋のお客様は、そのほとんどが一人客。だからそういう造りが合理的。
ボクが来た時間は朝食のラッシュの時間が終わった後。
だから割りと静かで、どこに座っても大丈夫。座り心地のよい一人用のテーブル席も全部空いているんだけれど、みんなカウンターに座るんですよネ。
なぜなんだろう…、壁に向かって黙々と食事をしてる。
プライバシーの中で食事をしているつもりなんだろうけど、背中は丸見え。
丼を手に持ち、背中をシャンっと伸ばしてそばをたぐる後ろ姿ならばかっこいいんだけれど、みんな丼をカウンターに置き、背中を丸めてズルズル食べる。
情けないなぁ…、うつくしくない。背筋のばして、さぁ、いただきます!

たのんだのは「特製かのや」。ココはかけ出汁を2種類もってる。ひとつは関東風の鰹節系、醤油の風味がどっしりとした色黒の出汁。
もう一種類は関西風の昆布がメインの色白の出汁。関東風は蕎麦にあわせ、関西風はうどんに合わせるというのが一般的なんだけど、ボクは蕎麦に関西風のかけ出汁かけてもらって食べるのが好きで、今日もそうする。

若干甘め。ただ昆布の自然な甘みがメインで醤油の風味は最小限。塩でしっかり味がきまっているのでゴクゴク飲めるおいしさ。オキニイリ。

トッピングが豊富でにぎやか。
それで「特製」の名前がついているでしょう。
甘辛に煮た油揚げを細切りにしたのに天かす。
ほうれん草に刻んだ白ネギ。
出汁をとったあとの昆布を細切りにしたモノであったり、とろろ昆布。
わかめにかまぼこ。とろろ昆布が入っているのが、東京のセルフの蕎麦屋の蕎麦にしては珍しくこれが好きな理由のひとつ。
それにしても丁寧です。
盛り付けなんかはスピード優先。だからちゃちゃっとときにとっちらかったりしているけれど、お揚げの仕込みに昆布の仕込み。つまり下ごしらえが丁寧で、なんだかとてもありがたい。蕎麦そのものはネロンとやわらか。香りもほのかでその分、汁の旨味が引き立つ感じ。

胡麻をパラパラ。一味をパパッ。ズルンとたぐって食べていく。
ずるいことをあまりしないで作った汁です。自然な味でココの麺類は麺を食べる料理じゃなくて、汁を味わう料理なんだ…、って来るたび思う。
おいしい汁にいろんな味が混じっていきます。天かすのもつ油のコク。細切りにした昆布の味わい、わかめの風味。なにより汁をグングン吸い込みとろけていって、代わりに汁に旨味を吐き出すとろろ昆布のおいしいコト。蕎麦にからんでネットリとろける食感になるのもおいしい。オゴチソウ。
細切りの揚げはちょっと甘めで噛むとジュワリと煮汁を吐き出す。食べるところ。一緒に食べるもので味が変わっていくのもまたオモシロイ。
今日はぼんやり食べてると、汁がグングンぬるくなっていくのが、あぁ、冬だなぁ…ってしみじみ思った。朝のコト。

 

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