間もなくお休み、銀座古川

銀座で昼食。「銀座古川」。
実は昨日、ボクのブログのコメントでこのお店が来月閉店してしまう…、というコトを教えてもらってビックリしました。移転のための一旦閉店ということらしく、けれど場所が決まったわけじゃないともいう。
こりゃ一大事と午後の予定を変更し、やってきたわけ。
エグジットメルサという商業施設に入っています。
かつては大人の女性向けテナントが集まる落ち着いたビルだった。ところが2年ほど前に免税店が入居して一挙にインバウンド向けのビルって感じになっちゃった。飲食街は大打撃です。
何しろオープン前のエレベーターホールは免税店目当ての観光客で混雑し優雅な食事に向かう気持ちを保つことすらむつかしい。

お店には閉店を惜しむおなじみさんが続々やってきて、移転先は決まったの?
もし決まったら教えてね。
真っ先に来て応援するからとお店の人に声をかけてく。
銀座という街は高級ブランドの店が建ち並ぶだけのショッピングセンターみたいな街ではなかった。
外国から銀座を目指して買い物にきてお金を落としてくれるから…、と商売の仕方をさっさと変えてしまえる浮かれた街でもなかったはず。
こういうお店がひっそりと、おなじみさんに守られて生き続けることができる街が銀座であったはずなのにってしみじみ思う。
かっこ悪い。

さてまずサラダ。
小さなボウルにたっぷりと、クリームタイプのドレッシングを何度もかけにきてくれるサービス精神旺盛なところもまもなくしばらくお休み。
シャキシャキとした葉っぱ野菜の状態はよく、トマトは熟れて口の中でソースのようになって潤す。クリーミーなドレッシングも野菜の持ち味邪魔することなく後味スッキリ。お腹が潤い、空かせてくれる。

せっかくだからカキフライをとたのんで食べた。
先日、銀圓亭で食べたフライに感じぬほどに牡蠣の存在が主張するカキフライと違って、見るからにカキフライ以外の何モノでもないカキフライらしいカキフライ。粗いパン粉衣が立ち上がるようにカラっと揚がり、その揚げ色のうつくしいこと。ただよってくるかおりも鮮やか…、喉鳴らす。
ウスターソースとタルタルソースが付いてくるのだけどそのタルタルソースのたっぷりなこと。しかもほぼゆで卵というしっかりとした仕上がりで刻んだ玉ねぎ、ほどよき酸味でそのまま食べてもご飯のおかずになってくれそうなオゴチソウ。
サクッと歯切れて牡蠣の香りと旨味がパン粉と渾然一体。なんておいしい…、にっこりします。

お待たせしました…、と今日の目当てのシチューが到着。
海の幸のクリームシチュー。
ここのお店の看板料理のひとつです。
鋳物の浅いボウル状の皿。
一部にリボンを結んだような小さく短い柄がついている。
だからフライパンと思えなくもあり、でも優雅でなめらかな形がやはりボウルのように見える独特。
グツグツ沸騰しながらやってくるのがステキ。

それにしてもきれいに磨かれ新品のよう。
前回来た時、使い込まれて一部が剥げたようになってたはずなのに、もしかしたら新調したてなのかもしれない。
誂え直したばかりとすれば、今回の一時閉店は急に決まったことなのかなぁ…。そうだとしたらどんな事情があったんだろうと心配になったりもする。
けれど厨房の中のシェフの笑顔は明るく元気でホールの様子もかわりなく、ただいつも元気なマダムの姿がみえないことがちょっと心配。お休みとられているんだろうなぁ…、と深く心配せぬことにする。半分ご飯をもらって昼のひと揃え。

フウフウしながら味わい食べます。ぽってりとしたクリームに中には具材がたっぷり、ふんだん。イカにタコ、大きなホタテの柱にエビにカニ脚。大きな鯛の切り身と多彩。イカはキレイに飾り包丁が入ってて、エビの尻尾は取られてる。下ごしらえがキレイにされてて食べやすい。
海の幸の旨味が溶け込んだベシャメルソースはポッテリ濃厚。ずっしり重たい。けれど粉っぽは微塵もなくてビロードのようになめらかなことにウットリします。
ソースまみれの鯛の切り身をご飯にのせて、一緒にハフっ。ご飯がパラリと散らかる感じがソースのなめらかを際立たせます。カキフライをスプーンにのせてソースに浸し一緒に食べるとまた旨い。ゆっくりじっくり味わいながらこのおいしさを頭と舌に記憶する。いつかどこかでまた会える日を期待しながら店を出る。

 

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コメント

  1. めるば

    慶楽も「移転先は未定、でも一時閉店」的なこと言いながらクローズして行きませんでしたっけ。事実上の閉業なんでしょうけど。
    そういえば「おば古」も閉店しちゃいましたね…

  2. サカキシンイチロウ

    めるばさん
    慶楽さんもこの古川さんもまだ調理長は若くてちょうど脂の乗り始める頃なんです。だからなおさらもったいない。
    おば古はあった場所の前までいって腰が抜けそうになりました。

  3. めるば

    いつかどこかでまた調理長さんが厨房に立てれば良いのですが。
    古川のスケキヨカレーが見れなくなったら自宅で作りますかね…

    • サカキシンイチロウ

      めるばさん
      今日もボクがレジ前にたったときに、調理長さんがドライカレーの中にエビフライを2本、スケキヨしてらっしゃいました。ぜひどこかでまた…、って思いますネ。

  4. haru

    サカキさん
    こんばんは。早速行かれたのですね!
    カキフライは未食でした。サカキさんの文章を読んでいて、なんて魅力的!閉店までにもう一度行けたら良いな、と思いました。

    • サカキシンイチロウ

      haruさん
      おなじみさんが心配してやってきては、がんばってね…、と声をかけて帰っていくとてもあたたかい雰囲気にホッとしました。閉店までにもう一度…、ボクもそう思っています。
      貴重な情報、ありがとうございました。

  5. koku

    私もこちらのブログを拝見して一時閉店を知り、先日訪問しました。何年かぶりにクリームシチューを食べました。私には少々塩分が強いのですが、やっぱり美味しいですね。意図的にパンよりご飯に合わせるよう作った和クリームシチューと思います。

    私はこちらのカレーが大好きで、銀座に寄った日はできるだけ通ってました。フォトジェニックな方ではなく普通のチキンカレー。シチューの影に隠れてますが本当に美味しい。ものすごく手間暇かけて丁寧に作られているなあと、いただくたびに感謝してます。カレーというより土台からしっかり作られた西洋料理で、都内でも指折りの欧風カレー店だと思ってます。立地を考えると1400円は安すぎる。

    地を変えて再開する予定とお聞きしましたので心配はしていません。榊さんの仰るとおり、今の下品な銀座には勿体無い気がします。

    • サカキシンイチロウ

      kokuさん
      熱々の器でグツグツしながらやってくるカレー。絶品ですよね。
      ここのクリームシチューを食べるたび、ギリギリまで塩をきかせた仕上がりに、減塩ブームでなくしてしまった昔ながらの優秀なご飯のおかずのありようを守る勇気を感じて、ありがたいなぁ…、と思ったものです。
      どんな料理にも手をぬかず、丁寧に作り出された料理の数々。絶えることなくいつかどこかでと祈り続けようと思います。

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