金田中庵、よっつの椀の鯛茶漬け

銀座のお昼。おいしい和食を食べましょうか…、と「金田中庵」。
新橋にある老舗料亭「金田中」の割烹部とでもいいますか。
カウンターを中心として、板前さんの手仕事をたのしみながらおいしい料理を味わえる。
ランチタイムに用意されているのは2000円から3000円ほどの定食類。
基本一汁三菜、甘味つきというシンプルなもの。
すっぽんの出汁で炊いた大根だったり、贅沢な海鮮丼だったりと種類は決して多くはないけどたのしく悩めるメニュー構成。ちょっと悩んで「鯛茶漬け」がメインの定食にする。「4つ椀定食」という名前に心惹かれてのコト。
注文すると厨房の中のスタッフがテキパキ手を動かし始め8つの手がボクの料理をよってたかって作ってく。

まずはテーブルの上に塗りのお膳。
お茶に続いてお椀がひとつまたひとつ。
最初のお椀は漬物椀。
たくわんにごぼうの古漬け、刻んだからし菜。
それから野菜の煮物の椀が続きます。
蓮根、パプリカ、茄子にスナップえんどう。
出汁がおいしくしっかりとした味付け。なのに素材それぞれの持ち味が壊れてないのに感心します。
野菜を全部食べ終えて、お椀に残った煮汁まで飲んでたのしむ。
それからご飯と鯛の刺身の胡麻和えがきてお椀が4つ。4つ椀定食の所以でござる。薬味の鉢と、カツオを醤油で甘辛仕立てに煮たのがついて、ひと揃え。

胡麻であえられた鯛の切り身は、注文が入ってから毛抜で骨を丁寧にとり、切り分けたもの。
活け〆なんでしょう。
関東の鯛の刺し身にしてはブリンと噛みごたえがあり、それが胡麻をまとってねっとり。噛み続けるのがたのしくていい。そのまま食べてブリブリだった鯛をご範にのっけてしばらく休ますとねっとりしてきて風味が増すのがまたオモシロイ。

出汁が土瓶に入ってきます。それをまず白いご飯にかけてサラサラ食べてみる。
薄めの出汁です。香りや風味はしっかりしていて、けれど一味足りぬたよりなさ。ところがそれをご飯にのせた鯛の胡麻和えにかけて食べると、なんとおいしい。味がピタッと決まるのですね。さすがと思う。
熱々の出汁をかけた鯛の切り身はチリっとちょっと熱が入って、ほろほろとした食感となる。刻んだ海苔にわさびをあしらい、そしてサラサラ。ご飯の粒のひとつひとつがねりごままとってスベスベコロコロ、舌の上を転がるように散らかる感じがオゴチソウ。

鯛の切り身を全部片付け、お椀に胡麻だれがタップリ残る。そこに出汁を注いでゴクリ。胡麻の甘み、旨味に風味。軽い渋みで出汁が味わい深いスープに変わる。
最後にかつおの出汁に特有の酸味が残って、味をキリッとひきしめるのにまた感心。
汁を飲みつつ、出汁かけご飯をサラサラ食べる。
体と気持ちが潤う感じにうっとりします。
それにしても磨き上げられたキレイな厨房、カウンター。コンロの上には真鍮まきの羽釜があって、重たい木の蓋持ち上げて蒸気がしきりに上がってる。手鍋の中にはすっぽんスープ。中ではコトコト大根が煮られているのでありましょう…、おいしい匂いが漂い続ける。
ほどよい量のおいしいものをお腹に収めて、それから甘味。黒糖を煮詰めた蜜をかけた豆腐に抹茶をパラリ。甘くてなめらか。お腹にたのしく蓋をした。

 

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