冷酒のお供にたちかまと蕎麦、新宿「大庵」冬の午後

今日は蕎麦だなぁ…、と思ってオキニイリの「大庵」にくる。
開店時間のちょっと前に来たら、入口前に大行列。おばさまたちでニギヤカで、あららと思う。
あまりに玄関先がにぎやかだったからでしょう…、5分ほど前にドアオープン。
行列が動きはじめたかと思うとみんながぞろぞろ地下に降りていく。ボクの目当ての蕎麦屋は二階。地下には姉妹店の居酒屋があり毎日20食限定のお弁当を、とおばさまたちが行列を作っていたようでありました。
おじさま仕様の店にもこうしておばさまが元気に集まる。おじさまたちはどうにもこうにも太刀打ちできない元気であります。しょうがに。
階段を二階にあがったのは行列の中でボクひとり。お待ちしておりましたと出迎えられてカウンターに案内される。シェイドのさがった大きな窓から外の光が漏れ込んできてほどよき影を作る風情にホッとしながらにっこりします。

メニューを開いてなにか変わったものはないかと探したら「たちかま」発見。タラの白子をタチと呼ぶ東北の一部で冬に作られる、白子を使った贅沢かまぼこ。食事を終えたら打ち合わせ…、なのに日本酒と一緒にたのんでしまうなんと誘惑に弱いこと。
スッキリとした香り軽やかな田酒をもらい、たちかまパクリ。
ねっとりしていてプルンでもある。食感の最初の印象は生麩のようで、けれどやっぱりかまぼこでモチモチプルプルムチュムチュと口の中がずっとニギヤカ。ほのかな塩味。噛むにつれ口に広がる白子の香りと上等な旨味にうっとりしてきます。
お酒のあての揚げ蕎麦、ひじきの煮物もおいしい。お腹がぽっかり、あったまる。

辛味大根のせいろをたのむ。
日本酒であったまったお腹に冷たいせいろは旨い。
なにもつけない蕎麦を数本、口に含んで噛み、味わいつつ冷酒をちょっと口に含むと蕎麦の香りや甘みがフワッと口に広がる。
蕎麦のサイドのわさびも酒の良き相棒。
辛味大根はそれに輪をかけ、日本酒の甘みや香りをひきたてる。
つめたい蕎麦は酒の〆であり、同時に酒の肴でもある。「蕎麦屋で呑む」ってなんてシアワセ…、としみじみ思う。
蕎麦のお供にたっぷりついてきた辛味大根の鬼おろしと一緒にたちかま。ザクザク歯切れる大根がムチムチとしたたちかまの食感ひきたて、みずみずしさにねばりやとろけが混じって旨い。辛味が甘みを引き出し、「たちかま」独特の香りをスキッとひきしめるのがまた旨い。

おいしいのはいいのだけれど、困ったことに食が進むに従ってお腹がすいてしょうがなくなる。
辛味大根の辛さがお腹を刺激して冷酒がお腹をあっためる。気持ちもゴキゲン、絶好調でそれで〆に天ぷらそばを食べることにした。お店の人にたのむと「あらあら、たくさん召し上がっていただけてうれしゅうございます」ってニッコリ。調子にのらせていただきました。
せいろのタレを蕎麦湯でわってそれをお供に冷酒をたのしみ、しばらく待ってやってきた天ぷらそばにまたうっとり。大きなエビに穴子になすの素揚げにししとう、それからさつまいも。エビの天ぷらはガッチリとしてたくましく、最後に食べたししとうがあたりで辛くてちょっとびっくり。
酸味おいしい出汁と醤油の風味の汁につかってねっとりとろける蕎麦もゴチソウ。お腹も気持ちも満ち足りてゴキゲンな昼、ありがたし。

 

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コメント

  1. Eiko

    蕎麦に日本酒、羨ましい…サカキさんがお蕎麦屋さんで平日のお昼から冷酒を飲むオジサマを羨ましい…と仰っていた、その通りの時間を楽しまれたのですね。
    私はもりに冷酒(しかも普通酒)をちょっとかけて、山葵と塩で戴くのが大好きなので…大庵もご無沙汰です、また行かなくちゃ!

    • サカキシンイチロウ

      Eikoさん
      うらやましいと思うばかりでは気持ちがさみしくなっちゃうので、今日は心置きなく。こういう贅沢が似合うお年頃になったんだなぁ…、としみじみ思いました。
      蕎麦に冷酒をかけて味わう。おいしいですよね。今日の辛味大根に冷酒というのがそれに近い味わい。わさびにないみずみずしさが蕎麦のみずみずしさを一層にふくらませてくれました。大人の贅沢、探求したいです。

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