南陽の朝、道中お大事ありませぬよう…。

南陽市で仕事のときにかならず泊まる「いとや旅館」。
もともとお蚕さんを飼育していた大きな民家を改装したという居心地の良い小さな旅館。
部屋の造りが旅館というより昔の民家のような感じで、とても落ち着く。
今年のはじめ。
雪の降る日にやってきたときは小さな炬燵がおいてあり、お茶とみかんが置かれてた。
さすがに夏です。
座卓に座布団。タオルケットに夏用の布団と、そういうところも小さい頃に田舎のおばぁちゃんの家に泊まっているようなムードがステキ。
大きなお風呂で足を伸ばしてあったまり、ぐっすり寝たら朝ご飯。
食堂にゆく。
近所のおばちゃんが作った料理が朝にやさしく、ここに泊まるときまったときからグーグーお腹がなったほど。昨日の夜はホルモンだけを食べ、珍しいことに炭水化物を遠慮した。だから空腹で目が覚めたほど。
お膳の上に料理がずらり。色鮮やかな焼鮭以外はほぼ野菜という、家庭的にして健康的な景色にお腹が軽くなる。

パックの中に入った納豆がひきわり納豆。ほぼはじめてかなぁ…、自分で買って食べることはない未知の食品。
芥子をおいて醤油をかけて箸で混ぜるとすぐにとろける。それをズルンと口に含むと情報量が多いことにビックリたまげる。刻んだ納豆の粒粒が舌の上をプツプツつっつきちょっとゾワゾワくすぐったい。糸はあんまりひかないかわりにずっと口の中がひっかかれるようなその独特に苦手を感じる。しょうがない。
それから茹でたおかひじき。そう言えばおかひじきという食材にハマるきっかけになったのはここの朝食だったよなぁ…、ってしみじみ思う。ザクザク歯切れてとろける感じがおゴチソウ。青菜のおひたしには赤唐辛子が辛味をくわえる。キリッと目覚めるオキニイリ。

塩がきっぱりときいた辛めの焼鮭です。
よく焼かれていて、皮もパリッと香ばしい。
一口大に大きく崩してご飯の上にのっけてパクリ。
二切れ目からは海苔でくるんで即席おむすびのようにする。
パリッと海苔が歯切れて鮭の風味、旨味をつつみこむ。それにしてもご飯がおいしゅうございます。聞けば近所のおいしい米を作るので有名な人がわざわざ持ってくるんだという。
県外から来た人への一番のもてなしだから…、と、たしかにそうと感心します。
味噌汁の身はお麩とあおさでちょっと甘めの味噌がおいしい。浅めに使ったたくわんがカリカリ頭の中に目覚めのリズムをくれる。満たされる。

いつものおばさんが「お客さんは何度かお越しいただてますよね」とボクにいう。
ええ、この前は雪の頃にまいりました…、と答えると「その前はさくらんぼの頃じゃなかったですか?」と聞く。
そうそう、毎年、さくらんぼ狩りに来るから去年もこの時期でした…、って。
ちょうど昨日の品評会で、県内一の表彰されたさくらんぼはここ南陽のモノだった。今年のさくらんぼのできはとてもいいから、ぜひたのしんでと、饒舌になるとお国言葉になっていく。そういう会話がまたあったかい。食後のコーヒーを作ってくれて、そろそろお出かけ。ごちそうさま…、って席を立つと「道中、お大事ありませんよう」とかける言葉もあたたかく、がんばりましょうと今日の朝。

コメント

  1. Eiko

    私も明日から山形、白鷹町の方に行くのですが、ここ泊まってみたかったなぁ。
    なんだか宿難民になりそうだったのですが、さくらんぼのシーズンだからかしら。
    天童まで行かれてたらもう無理かな…やまりさんのお菓子、美味しいですよ~

    • サカキシンイチロウ

      Eikoさん
      山形県は温泉の宝庫。それぞれの温泉地にいい旅館がたくさんあるので、ホテルに泊まりはぐれたら旅館を探すといいかもしれませんね。
      何度か泊まるとまるで親戚になったんじゃないかと思うほど、あたたかく迎えてくれるのもありがたいです。

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