過ぎぬおいしさ、中華そばの流川、そして尾張屋

土曜日の夜。居酒屋天狗で飲んだあと、〆をなにか体があったまるものを食べようと小滝橋通りを歩いた。
ラーメン店が集まる通りで、とんこつラーメン、エビラーメン、担々麺に味噌ラーメン。こってりもあればあっさりもあり、激辛もありとどれにしようかと迷うもたのしいエリアの中で、ひときわ変わった店を見つける。
牛肉スープと貝出汁で作ったラーメン。醤油風味と塩味だけという潔いところも気になった。「中華そば流川」という名前。
塩特製ラーメンをたのんでみました…、きっちり1000円。
カウンターだけの小さな店。入り口近くにスープが入った寸胴鍋がずらりと並ぶもラーメン店に付き物の脂臭さが無いのに感心。テキパキと、しかし淡々と料理が作られ10分もたたず商品到着。

口は小さめ。深くてぽってりとした形の丼。
ラーメン自体の顔立ちは端正で、静かでうつくしい佇まい。
透き通ったスープに油がポツポツと浮き、薄切りにした白ハムのような薄切りチャーシュー、メンマの穂先に味付け卵。ネギにカイワレと具材もシンプル。
麺は細くてストレート。
まずはスープを一口ズズッ。

丼の中であれほど静かで大人しかった料理が突然、色鮮やかで騒々しいほど饒舌になる。
最初に感じるのが貝の旨味。自然な甘みと深い風味にウットリしてると、それに続いて軽い酸味と華やかな香りがおいかけやってくる。牛肉スープの特徴的な味わいで、旨味がずっと持続する。ホッと気持ちが落ち着く味わい。

麺はザクザク歯切れがよくて、小麦の香りが力強い。ハムもとろけるように仕上げられた半熟味付け卵もおいしい。すべてにおいてバランスとれてて上等なのではあるけれど、なによりしみじみおいしい主役はスープなんですネ。すべてがスープを飽きずおいしく味わうために存在してる。
ただ、その味わいはあくまで穏やか、端正で「過ぎる」ということがない。世の中、おいし「過ぎる」料理が多くて、特にラーメン店はもっとおいしく、もっとおいしくと刺激的で濃厚な味を求めて変わる。ここのラーメンはすべてにほどよくしみじみおいしい。
友人がたのんだ醤油ラーメンも風味豊かでやさしい味わい。スープ一滴も残すことがもったいなくて丼空っぽ。オキニイリ。

 

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日曜の昼。家の近所の尾張屋にくる。
四谷三丁目の街は静か。昼食のあとによったスーパーにも人は少なく、そう言えば昨日の新宿もいつもにくらべて人が少なかったなぁ…、ってちょっと思い出す。
外国からの観光客は多かった。
それでもいつものような人で溢れかえったような密度を感じることがなかった。そう言えば今月に入ってから売上が伸び悩んでいる飲食店が多いもんなぁ…、って思ったりもする。
なんだかいやな感じだなぁ…、って思いながらお店に入るとここはにぎやか。ご近所のおなじみさんがズラリと並んで昼の食事をたのしんでいる。景気がどんな具合になろうが、おなじみさんに愛されている店、商売はなんとかなるものってしみじみ思う。

カレー南蛮を汗をかかずに食べきることができる季節になりました。
餅入りのそばでお願いをした。
ここのカレーそばのおいしいことにはウットリします。
ボクにとって、おそらく世界で一番おいしいカレーそばはここのこれ。
食べ続けていて慣れた味だから…、ということもある。
けれど出汁の濃厚で旨味たっぷりであるところ。
カレーは風味豊かであとからあとから辛味が押し寄せ、お腹、体を熱くする。なのに舌にヒリヒリ感が残らぬやさしい辛さでもあるところ。
蕎麦がなめらかでもったりとして、けれど最後まで麺のバッサリした食感をたのしむことができるところ。シャキシャキ感を残した玉ねぎ。分厚い豚肉とどれをとってもバランスがよく、加えた餅にカレーがからんでポッテリおいしくなるとこもまたオゴチソウ。

お供にかつ丼。とんかつ屋のかつ丼でなく、定食屋のかつ丼でもなく、あくまでそば屋のかつ丼。そしてそば屋のかつ丼の中でも、ここのこれはやさしく、そばのお供に程よいところがオキニイリ。
肉はふっくらやわらかで、細かなパン粉を厚めにつけて揚げられている。揚げおきのそれをたっぷりの出汁とかえしで煮込んで卵で閉じる。だから衣は出汁でグズグズやわらかで、卵と渾然一体となる。出汁がおいしいそば屋ですから、当然、煮かつの仕上がりも上等で、ご飯がおいしく食べられる。
味噌汁もついてて、それもおいしい汁なんだけどカレー南蛮の汁をすすってかつをパクリ、ご飯をかきこむ。甘辛だれとカレーが一緒に口の中で混じってとろける。シアワセな昼。オキニイリ。

 

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