進化しました…、オステリア・ナカムラ

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ひさしぶりに「オステリア・ナカムラ」にくる。
六本木の町外れ。新国立美術館の近くにあって、最近までは本当に静かな住宅街のようなエリア。それがまもなくバーニーズニューヨークが近所に出来たりと随分ニギヤカになりはじめている。とは言え、ちょっと探さなくちゃいけない場所。しかも小さなビルの2階という、おなじみさんにやさしいロケーション。こじんまりとした大きさ、お店のどこにいても厨房の中の気配を感じるおいしい空間で、来るたび気持ちがホっとする。

n winen nasuカウンターの一番隅っこ。
肉を切り出すための大きなスライサーの真ん前という、いつもの特等席をもらってワインをスポンッとあける。
おいしい時間のはじまり、はじまり。

まずは前菜。
茄子の冷製でお腹を開く。
焼いた茄子を細かくほぐしてオリーブオイルとニンニク、塩にハーブをなじます。
冷たくするとトロトロになり、それを霜がふるほど冷たくひやしたグラスにたっぷり。
リコッタチーズとトマトとバジル。
松の実そえて出来上がり。スプーンですくって、味わい食べる。

ポッテリとしたなめらかさ。甘くて焼けた茄子独特の香ばしい匂いも漂い、過ぎゆく夏にウットリします。
松の実が奥歯で潰れて、トロっとなめらかな茄子の食感ひきたてる。トマトにバジル、ガーリック。それらが揃うと不思議なほどにイタリア料理の味わいになる。オモシロイなぁ…、しかもおいしい。
ひんやりしているのに、食べてるうちに焼けた茄子を思い出させて不思議とあったか。お腹にポワンと明かりが灯るように感じる。オモシロイ。

n frittoそれほど多くはないメニュー。
定番メニューが中心で、けれど今まで見たことなかったような料理がいくつかあった。
中でも特に気を引かれたのが「白身魚のフリット」で、それをたのんだ。
フリット好きでありますゆえ。
肉が好きで、肉の料理が得意なシェフ。
けれど最近、イタリアに夫婦揃って行って来たという時の写真を見せてもらうと、海の幸のフリットミストが目立つこと。それで気になりたのんでみたら、これがおいしい。
ビックリします。

白身魚にポッテリとした衣をまとわせ、サクッと揚げる。中はふっくら。衣はザックリ。衣にしっかり味が入ってそのまま食べてもおいしくて、それに酢漬けの玉ねぎ添える。一緒に食べるとシャキシャキとした食感と、酸味が口をスッキリさせてハフハフ、シャキシャキ、ニッコリします。
それにしてもこの衣。天ぷらでもなく、フリッタでもなく、フィッシュアンドチップスのようなガリガリでもない。魚と見事に一体化して、フッカリ、フワフワ。オキニイリ。

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ココに来ると必ず食べる牛モツ煮込み。
一時間かけ徹底的に脂をとった牛モツを、二時間煮込んで仕上げたという。だからトロトロ。歯がなくたって食べられるほどのやわらかさ。
しかも甘い。ネットリとしたゼラチン質が口の隅々をなでまわし、そしてとろける。
バジルのソースと赤唐辛子のソースと一緒に食べるとそれぞれ、香りと甘みが引き立って命を食べてるって感じがしてくる。ちょっとお疲れ気味の体に染み込むおいしさ。これを求めて体がねだっていたんだなぁ…、って思ったりした。堪能ス。

n p1n p2パスタをふたつ。
焼いた小麦粉で作ったオレキエッテ。
やわらかく茹でたブロッコリを、鍋の中でオリーブオイルと一緒にグズグズ、崩してソースに仕立てる。
一緒にドライトマトとニンニク、赤唐辛子。
ソースたっぷりで、パスタが緑のソースの中に埋もれてしまってみえるほど。

耳たぶの形のオレキエッテは歯ごたえ豊かでクニュクニュ、まるでグミを食べてみるたいに感じる。それがたっぷりソースと一緒に口の入って、それでもクニュクニュ。噛むのがたのしいオゴチソウ。

もう一種類はアマトリチャーナ。トマトと豚の塩漬けと、チーズで味を整えたパスタ。先日、地震で大きな被害を受けた地域の名物料理で、同地の復興願って食べる。ナポリタンの原型をなしたと言われもするレシピ。トマトソースをおいしく食べるのにこれが一番じゃないかしら…、って思うおいしさ。パスタの茹で加減が特によく、豚の塩漬けの脂がキュッキュと奥歯を撫でる。肉感的な味わい深さ。

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メインも今日、はじめてメニューに発見した「ポルペットーネ」。イタリアのミートローフとでも言えばいいですか。細かいメッシュの牛挽き肉を筒状にまとめてロースト。表面を焦がして仕上げた、形はまるでソーセージ。
ナイフを当てるとかなり頑丈。
ザックリ切って、口に含むと肉とハーブ、スパイスの香りが鼻からふわっと抜ける。噛むとザラリとひき肉の食感感じて、噛めば噛むほど肉汁しみだす。グレービーを煮詰めたソースと合わせて食べて、サイドのマッシュポテトと一緒に味わうと、トロリ、ネットリ、口の中は肉まみれ。

もう何年も通い続けて、いつもおいしいと感じるお店。ただ今日やってきていつもと違った際立つおいしさにビックリしました。料理の底力が今まで以上にたくましくなり、新たな段階に上がったようなそんな気がした。
シェフに脂が乗ったというコトなのかもしれない。ますますこれからたのしみな店。今度来る日が待ち遠しい。

 

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コメント

  1. yy

    わたしも何年も通わせて頂いていて、先月もお邪魔したのですが、今回サカキさんが召し上がっているのは食べたことないものばかり!!早く次行きたいなーと朝からお腹が空きました。秋は秋でまたメニューも楽しみですね

    • サカキシンイチロウ

      yyさん
      創業された時の一階の店から今のお店に引っ越されて、料理が一層力強く変わりました。
      その時の変化も目を見張るほどでしたが、今回、遊び心満点で自由な発想のさまざまに、あぁ、いい方向に成熟し始めているんだ…、と感心しました。
      これからしばらく目が離せないお店だろうと思います。

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