とん丼とん汁、路地を挟んでロブスターロール

新宿で「昔ながらのあたらしい味」を食べることにする。
創業大正10年の店。つまり1921年生まれということですから現在堂々99歳。来年、100歳という老舗であります。
名前は「王ろじ」。路地の王様だから王ろじ。大通りや有名な商業施設の中でなく、路地にこそ王のゴチソウがあるんだという、権威に媚びぬ唯我独尊を感じてかなりのオキニイリ。
ここでいつもたのむのは「とん丼」と「とん汁」。
どちらもここの名物にしてオリジナル。それとあとはとんかつ定食、エビフライ定食にカツサンドとたったそれだけでやっている。やっているというより「やれている」というところにスゴさをしみじみ感じる。さていつものようにとん丼とん汁、ご飯半分でお願いをした。

パン粉ががっしりと貼り付いてこんがり揚がったかつ。
筋を抜き脂を落とした豚肉を筒状に揚げたものを3切れに切りカレーをかけたご飯の上に薪のごとく並べて置く。
野菜のうまみとスッキリとした酸味がおいしいソースをかけて出来上がり。
箸もついてくるのだけれどスプーンでとんかつを崩しながらカレー、ご飯と一緒に食べる。
それがおいしい。
ふっかりとした肉。ザクザク壊れるパン粉衣。そこにぽってりとしたカレーにご飯、ソースが混じって完成していく独特の味。
スパイシーだけど辛さは控えめ。酸味も甘みもほどよいつまり特徴のないカレーが若い頃に食べたときには物足りなくてしばらく食べずにいたのだけれど40過ぎにおいしいかもしれないと感じ、50でこのおいしさに開眼し60の今、ときに無性に食べたくなるほどオキニイリ。

カツが主役の丼なんですね、だからカレーはほどよいのがよい。辛さがほしければ芥子を使う。ソースを多目にほどこせば酸味がカレーの旨味を引き立て別のおいしさを味わえる。好みの味を自由自在に作れるたのしさ。おゴチソウ。
最初にやってくる王ろじ漬けがまたオモシロイ。薄切りにした大根にピーマン少々の麹漬け。ピーマンの香りが不思議なほどの洋風。シャキシャキとしてみずみずしいのもとんかつのお供にまたピッタリ。大きな丼にたっぷりやってくるとん汁は、ベーコン、玉ねぎ、しいたけを炒めることから作りはじめる独特で最後に豆腐を浮かべて完成。熱々な上にベーコンの風味がおいしくこれまたほのかに洋風仕立て。
ここに来ると必ず丼の縁を持ち上げて下皿と丼本体が一緒に持ち上がることを確かめる。昔からずっとこういう器を使う。小さなこだわり、いい感じ。

 

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とん丼のご飯を半分にしたからお腹に余裕があって王ろじの出店している路地の向かい側にあるルークスロブスターにやってきてみる。
我慢しようと思えば我慢できるお腹の状態。
それにロブスターは痛風のコトを思うとあまり食べちゃいけない食材。
でもね…。今の時期って食べたいと思ったものは食べておかないと、いつまた自粛がはじまっちゃうかわからない。だから食べます。
屋台のような小さな店です。ほぼキッチンだけ。客席といえばベンチに小さな可動式のテーブルだけで、それでも十分。
ロブスターロールにビスクをつけてアイスティーでひと揃え。ブリキのトレイにぎっしりキレイに並べられててそのトレイがちょうどのっかるサイズのテーブル。レンズを通してみるとまるでトレイが中に浮いてるみたいでニッコリします。

それにしてもたっぷりのロブスター。ロールブレッドに入れたスリットから溢れ出すほどたっぷり。胡椒にセロリパウダー、オレガノ。溶かしたバターをたっぷりかけて肉がつやつやして見える。
ロールブレッドはさっくりとした食パンみたいな生地でバターを塗ってこんがり焼いている。サクサクとした歯ざわりでふっくらとした食感がロブスターのザクザク歯切れる感じをおいしく際立たす。おいしいなぁ…、本当においしい。オキニイリ。
ビスクの中にもロブスターがたっぷりで、スプーンですくうともれなくロブスターの身がのっかってくる。一緒にセロリと玉ねぎがスベスベ喉を撫でまわす。ショートパンツにサンダル履いてこういう場所で食べてると、海辺でのんびりしているみたいな気持ちもしてくる。悪くない。

 

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