赤飯茶飯焼きそばおでんでおかめの弁当

有楽町で虫養い。それもちょっと大きめの虫で「おかめ」に来ます。
駅前にある交通会館っていう大きなビル。最上階に回転レストランのある昭和なビルの地下一階。おはぎのおいしい甘味処。
おばさまたちに人気の店で、お店で働く人たちは厨房を含めてみんなシニアな女性スタッフばかり。そこにやってくるお客様もシニアの方が中心で、空気がとてもおだやかなのがオキニイリ。
とは言え、ココで働くシニアの惚れ惚れするほど元気で背筋がしゃんと伸びてるコト。
しかもずっと体を動かす。お皿を片付け洗って磨き、テーブルを気づけば磨き続けてる。白木のテーブルの角が丸くなるほどきれいに磨かれていて、さわるとピトッと吸い付いてくる。いとおしい。

甘味の店です。
だからお客様は女性が多い。
ところが今日は、シニアな紳士が二人してお昼をとりにやってきた。
ボクの前の席に座って、さて、何にしようかとメニューを開き、一人の紳士が「あまから弁当」とまず即答。
もうひとかたは散々悩んだ挙句、さくらのおはぎにクリームソーダ。
「今日はひさしぶりに甘味祭りだ」って笑ってる。
そういや、ボクの父をココに連れてきたとき、糖尿病で本来おはぎは厳重注意な食べものなのに、きなことあずきを一個ずつ。それにやっぱりクリームソーダをお腹におさめ、「内緒だぞ…」って念を押しながら笑ったものです。今となってはたのしい思い出。

あまから弁当はココで一番の人気の食事。
好みのおはぎを一個選んで、茶飯のおむすび。おでんに汁という組み合わせで、まさに甘辛。
ボクはもそっと食事寄りの「おかめ弁当」をえらんでたのむ。扇型の弁当箱。手前の部分に赤飯、茶飯に焼きそばがはいり、奥のほうにはおでんがギッシリ。それにおすましの汁がついてひと揃え。見た目以上にボリュームあって、ボクの大きな虫をだまらせるに十分量でニッコリします。

赤飯は実は苦手な料理でした。
赤飯が…、というよりもち米があまり好きでなく、ネチネチもったりとした食感が若い頃には嫌いだった。
ところが最近、おいしく感じる。
ネチネチもったりを、口がみずみずしく感じるのです。
年をとると唾液の分泌が減るという。だからみずみずしいものをおいしく感じるようになるのか…、って思ったりもする。
もう50も終わりのシニア予備軍を実感します(笑)。
上にちらかるごまや塩のきっぱりとした存在感もまた旨し。

出汁を吸い込み炊き上がった、パラッと硬めの茶飯は好物。これをおかずに赤飯食べる…、って感じもいいなとにんまりします。
ウスターソースで仕上がる焼きそば。キャベツと挽き肉が食感、風味のアクセントとなり、青のりたっぷりちらかってやさしい和風の味わいもよい。弁当箱の手前の部分が炭水化物ばかりというのに、ちょっと笑った。オキニイリ。

そしておでん。竹輪にはんぺん、こんにゃく、ごぼ天、厚切り大根。関東のおでんの代表的なモノと言えばこういうところになるのでしょうね。大根の芯まで出汁が入ってとてもみずみずしいのに感心しつつ、もっと不思議に思うのがおでん屋さんのこんにゃくが本当においしく出汁が中までしみていること。自分で作ると絶対こんなふうにはならない、店の味。
辛子をたっぷりのっけた大根を、茶飯の上にのっけてパクリ。出汁の味のする茶飯におでんの煮汁が混じって口いっぱいが出汁の味。しかもなんともみずみずしくて、体に旨味が染み込むステキ。刻んだタクワンに昆布の佃煮。塩の風味がおいしいおすまし。どれをとっても変わったものは何一つなく、当たり前のものが当たり前においしいコトに感心します。お店の方の笑顔と元気がついてたったの990円。ありがたきかな、オゴチソウ。

 

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コメント

  1. きょうちゃん

    美味しそう!!!って思わず叫んでしまいました。
    今おなかすいてるのもありますが。
    食べてみたいです。
    今度東京に行ったら食べます。

    当たり前のものが当たり前に美味しいって大事なことですよね。東京っておいしくないものも多いけど
    こういう変わらぬ安定感あるものも多い気がします。
    近江洋菓子店も昔から行ってみたいお店のひとつ。
    でもまだ行ったことないのです。
    今週のほぼ日の記事もしみじみ心に響くお話でした。
    ありがとうございます。

    • サカキシンイチロウ

      きょうちゃんさん
      父と一緒に食事をした、いつものお店がずっと長続きしてくれますように…。
      そんなことをしみじみ思うコトが最近多くなりました。
      話題になることよりも、思い出に残ること。そして長いおつきあいをしながら互いがほどよく熟していける、そんな関係はお店とお客様の関係というよりもそもそも人と人との付き合い方の極意のように感じます。

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