芯が通ってやわらかい咲花善伝うどん

家に帰ってきて、どうにもうどんが食べたくなった。
比較的夜遅くまでやってるお店があって、とは言え出汁がなくなったら店じまい。今日はどうかなぁ…、と思って来てみる。
「咲花善伝」と書いて「さかいで」と読ませる店で小さいけれど実力派。
おそるおそる来てみれば、また大丈夫ということでお店に入ってホッとする。
カウンターだけ。お店の奥にはうどんを打ち、切る麺工房があり入り口近くに大きな釜。お湯がずっと湧いていて湯気がふわふわ舞っている。
創作うどんっぽいメニューもあるけど、これぞ讃岐のうどんって感じのものもあり後者を中心に注文をする。まずはおでん。讃岐のうどん屋にいけば必ずと言っていいほど用意されてるメニューで今日の具材は5種類あった。こんにゃく、かまぼこ、厚揚げ、大根、ゆで卵。全種類を一通り。串を打って炊くのが讃岐のおでんの特徴。それに味噌か芥子味噌をあわせて食べるというのが讃岐流。その讃岐流をしっかり守ってくれているのがありがたい。

かまぼこのおでんっていうのが懐かしいよネ…、って誘った香川県でしばらく住んでた友人といいつつ食べる。生姜の風味の芥子味噌っていうのもなんとも讃岐的にてなつかしむ。たのんだのは肉うどん。それから冷たい海苔ぶっかけ。
肉うどんには力をいれているようで、豚肉を使った白肉うどんとかカレー風味の黄肉うどん。でもやっぱり肉うどんと甘辛く煮た牛肉をのっけたうどん。ここではそれを「黒肉うどん」と呼んでいて迷わず「黒肉」。お供に青菜と昆布のおむすびをとる。
友人はつめたいうどんをとそれでぶっかけ。海苔をたっぷりのっけて薬味の切り胡麻とわさびが別添え。あぁ、このわさびがおろしショウガだったら完璧だったのになぁ…、って思う。ここは東京。香川県とは600kmほど離れております。しょうがない。そのぶっかけにはお供でカレー。

飴色の麺。若干細め。
角はしっかりたっていて見るから上等、よき状態。
スルンと唇撫でながらしっかりとした旨味の出汁と口の中へとやってくる。
とてもなめらか。ハリはあるけど最近流行りのゴリゴリとした歯応え、コシがあるかというとやわらかい。
かと言ってコシが抜けてしまっているかというと微かに芯を感じる。それは冷やしてしめたぶっかけうどんの麺も同じで食感まろやか。好みの状態。
かけ出汁もどちらかといえばやわらかい。一口目には少々物足りなく感じるのだけれど、食べてるうちにどんどんおいしくなっていく。甘辛煮込みの牛肉の旨味や脂のコクが汁に混じって味に奥行きが出るのもおいしくなってく理由のひとつ。飴色玉ねぎのシャキシャキとした歯触りもよきアクセント。

ぶっかけのタレはカラメルっぽさすら感じる焦げた風味と甘味がおいしい。トゥルンと喉に直行していく冷たいうどんの食感に合う。ちょっと味の変化が欲しくて天かすもらった。乾いた天かすでシャカシャカとした騒々しさは楽しいのだけど油の旨味を感じるほどではなくて少々勿体ない。
出汁を取った昆布を刻んで煮付けた味が風味豊かなおむすびに、ご家庭味の昭和なカレー。うどんが主役のほどよき夜とあいなった。
それにしてもビックリしたのがUber eatsの配達員がやってくるのです。ここがデリバリーに対応しているコトはアプリで知っていた。けれど本当にこうして動いているんだと思ってなかった。21世紀の夜鳴きうどんはバイクが運んできるのでしょう。ちょっと勉強、時代なり。

 

関連ランキング:うどん | 四谷三丁目駅信濃町駅曙橋駅

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。