粗挽き蕎麦トキ

西新宿で仕事を終えて、思わず散歩したくなるような陽気に誘われそうだ、気になっていたお店を覗こう。
それで甲州街道の向こう側。代々木の手前のお店を目指す。
「トキ」という店。
牡蠣フライが名物の食堂だとかつけ麺の名店だとか、西新宿のサラリーマン御用達のランチレストランがたくさん集まるエリアの一軒。ビルの中二階というロケーションで階段上がってお店に入る。
昼は女性だけでやってるようで、しかもスラリと姿勢がよくて真っ白なシャツをパリッと着こなす凛々しい姿にウットリ。入り口近くにテーブル数卓。長いカウンターの中に厨房。サービススタッフがカウンターの外に常駐していて、良きサービスを心がけている…、って感じに感心します。

ランチタイムのオトクなメニュー。
かけそばかせいろを選んで、そこにとり天、とろろご飯がつくというもの。
せいろを選んで注文しました。

ここをやってる人は近所でうどん屋さんをやってる。
ボクと同じ愛媛県の出身の人で、蕎麦屋ではあるけれどとり天をサイドにつけるというのがちょっと四国的。
チリチリ天ぷらを揚げる油が転がるような音をたて、ザブザブ、蕎麦が洗われる音。蕎麦は四角い箱におさまりやってくる。
「粗挽き蕎麦」と銘打つだけあって、かなりの色黒。
蕎麦の実の外側の殻が砕けてポツポツ、蕎麦に混じって仕上がっている。
しかも太い。
切った直後は角張っていたに違いない、細い紐状の断面四角い麺を泳がせ茹で、しめる。仕上がった麺は水をたっぷり含んでつややか。角のところどころが壊れ、とろけてなめらかになって仕上がる。うつくしいです。喉がなる。
細く繊細にしあがった蕎麦もおいしい。けれどこういう素朴にみえて実は入念に丁寧に作られた蕎麦は大好物で、食べる前からニッコリします。

風味に自信があるそばだという。だから最初の一口は塩でどうぞと、カウンターに塩が用意されている。それをパラリとちょっとのっけて口に運んだ。
蕎麦の香りがフワッと漂う。舌が最初に感じるのはみずみずしさで、水に混じって蕎麦の風味や旨みがしみだす。噛むとコツンと奥歯を叩く。叩いて蕎麦の旨みが口に広がって、麺がユックリとろけてく。歯ごたえに混じってネットリ、蕎麦独特のあるい粘りウットリしてくる。
塩が甘みを引き立てはする。けれど塩がなくても十分おいしく食べられるんじゃないのかなぁ…、水で蕎麦を食べる習慣のある地域があるっていうけれど、それもありに違いないって思ったりする。

とは言えツユがたっぷりきます。
そば猪口じゃなくお椀にタップリというのがウレシイ。
太くて頑丈な蕎麦ですから、とっぷりタレにつけて味わいたくなる。
お椀に蕎麦をどっさりいれて、どっぷりツユに浸してズルン。
昆布の甘みと香りが際立つタレです。
酸味控えめで旨みが強く、頑丈な蕎麦と相性がよい。ツユだけ味わうとへぎそばのツユのような味わいで、お椀を口につけて蕎麦と一緒にツユも吸い込むように味わいたのしむ。ツユが空気と一緒に口にやってくることで香り、風味が強くなるのがオモシロイ。
とり天は衣パリパリ、食感がよくとろろご飯も蕎麦に負けぬ濃いめの味付け。蕎麦湯を注いでツユを最後の一滴まで飲んで〆。今度は夜にと思う昼。

 

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