築地の愛養、フォーシーズンのスパゲッティ

まもなく築地の市場が役目を終えて移転する。
場外は残って営業するから観光地としての築地がなくなるわけではないけれど、ターレが我が物顔で行き交う様子や競りの余韻を感じる市場独特のムードはなくなる。
最後にちょっと感じておこうと、銀座仕事のついでによった。
そしたらスゴイことでした。
場内にある食堂街には交通整理がでるほどに人が集まり、どこもが行列。
寿司の人気店なんて今ならんでも営業中には入れませんから、と行列自体を断る始末。朝のことでございますのに…。
「愛養」でミルクコーヒーを飲んでおこうと思ったのです。
いつもは他のお店の行列を尻目にそこだけほどよきにぎわい。ところがそこにも長い行列。写真だけ撮り思い出にする。

やさしい味わいのコーヒーにエバミルクをたっぷり注いで仕上げたコーヒー。河岸の仕事は体が冷える。冷えた体をあたためる、おじさんたちのゴチソウで、バターをたっぷり塗りこめてジャムと一緒に味わうトーストもここの名物。それも思い出、さようなら。
そういえば、いつも新聞開いて世間話に打ち興じてた河岸のおじさんたちは今はどうしているんだろう。そして市場が移った先では、何で気持ちをあっためるんだろう…、って思ったりもする。木曜日。

 

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しょうがないから朝ご飯をと場外に出る。
人、人、人の間を縫ってフォーシーズンというお店に到着。
喫茶店です。スパゲッティがおいしいお店。
場内の店は大混雑で、場外の通りもにぎやか。なのにここだけ静かでのどか。ボクと入れ替わりで河岸のおじさんが「またくるね」って言ってお店を出て行った。
残されたボクはひとりでぼんやり。ちなみにスパゲッティは9時半からでボクが入ったのは9時ちょっと前。目当ての料理を注文し、紅茶を飲んで待つことにした。飲み物、スパゲティーで1020円。千円札と五十円玉をテーブルの上においてワクワク待った。

厨房前のカウンターには茹でたパスタがザルに入ってスタンバイ。その数、大きなザルで5杯ほど。
9時半が近づくと厨房の方から具材を刻む音がして、それに続いてジャジャッと炒める音。
油の香り、なにかが焦げる匂いに続いて醤油の香り。
トマトとレタス、千切りキャベツ。茹でた玉子のサラダを食べて、そして到着。

和風スパゲッティが今日の朝食。
刻んだ大葉に海苔がどっさり、お皿の上を覆い尽くしたおいしげな様。それを剥がすと下には細いスパゲッティ。一口大に切った細いソーセージ、しいたけ、玉ねぎがたっぷり混じって麺は焦げてる。フォークでクルンとまるめると大量の大葉や海苔がついてきて、口に入れるとモサモサします。
麺が乾いて焼けているので上具のモサモサとあいまって口の中が一瞬かわく。渇きに負けず噛んでると、旨味のお陰で口が自然に潤ってくる。

バサバサとした独特の麺。細い、茹で置き、なのにコシやハリがあり噛んでちぎれて口いっぱいに散らかっていく。そのニギヤカさに体の隅々が目覚める感じ。甘みはあるけど甘み控えめのしょうゆ味。炒めた具材の状態もそれぞれ独特。ソーセージはパリッとムチュン。しいたけプルンでパリパリカリカリ奥歯を叩き砕ける玉ねぎ。そこにモサモサ、海苔、大葉。
赤唐辛子が刻んで入っているので辛い。けれどそこにタバスコ、ちゅちゅっと注ぎ、塩もたっぷり。朝から体を動かした口には塩がごちそうなのさ…、と朝から体を動かしたわけじゃないのに嘯き食べる。
今日もなぜだか最後にたくさん具材が残る。スプーンにまとめてパクリパクリと食べ、終える。また来ましょう…、とお店を出ました。さぁ、仕事。

 

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コメント

  1. にゃおにゃん

    築地に住んでいたので、11月上京した時にどう変わっているか楽しみ&不安。寿司大食べておきたかったなぁ。

    • サカキシンイチロウ

      にゃおにゃんさん
      場外はたくましく進化しながら生き残っていくと信じています。橋を渡った新しい市場がどんなふうになるのか興味津々。落ち着いたらいってみようと思っています。

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