百円玉のサプライズ、新宿の朝、タバーンオン<S>

ひさしぶりの「タバーンオンエス」。
新宿のバスターミナルの一階部分、ニゥマンのフードホールの中の店。6軒ほどの店があるけど中でもダントツに好きなお店がこのお店。
朝7時からやってる週末なんて明け方近くまでやっていて、ほぼ休まずずっと動いている店でもあって、新宿という街のリズムにピタッとよりそうような営業スタイル。早い時間は気持ちいい。

開店から9時までの間はレジで料金前払い。コーヒーのカップをもらってセルフサービス。料理は厨房から運ばれてくるというシステム。番号札の代わりにアルファベットの木製ブロックをもらうんだけどボクはこれが好き。番号がもつ味気なさがあまりなくって、名前の頭文字を貰ったみたいな感じがするのね。今朝もらったのは「A」のブロック。アンディーだろうか、アンドリューか…、あるいはアラン?とかって思ってぼんやり待つのもオモシロイ。

サラダブレックファストをたのんでクラムチャウダーを追加した。
合計金額1100円。千円札と100円玉をレジ横のトレイに乗せたら100円玉が元気よく転がった。コロコロ転がっていった先がカウンターの縁に作られたスリットの中。コロンと転がり細い隙間が飲み込んだ。
あらら、ともう100円を手渡すと「見つけてお持ち致しますね」…、と。
気がきいてるなぁ…、と思いました。「いえ結構です、探しますから」とボクの100円玉を断ることもできたろうに、一旦受け取る。ボクはちょっと満足してコーヒーをとり席に座ってぼんやりしてたら、100円玉をトレイに乗せて「みつかりました」と持ってくる。

この100円玉が果たしてボクの100円玉だったかどうかはわからない。
けれどボクのちょっとした満足はスゴい満足に瞬時に変わった。
あぁ、この国がチップを認める国ならば、ボクはその百円玉を彼の手のひらに置いたでしょうネ。アリガタイ。

ちぎったレタスにカーリーリーフ。
枝豆、キドニービーンズ、固く茹でた黒米に茹でひじき。
ブラウンマッシュルームに焼いたしいたけ、ソテしたしめじ。
食べ進めると底の方からゴロゴロ、ブロッコリやカリフラワー、蒸したれんこんと言った大きな野菜が転がりだしてくる。
全部野菜です。
けれど素材それぞれに特徴的な食感があり、口の中が騒々しいほど。食べててさみしくないのがウレシイ。
苦味に酸味、渋みや甘みと味も多彩でまるで飽きない。
バルサミコ酢とオリーブオイル、塩で自然に味がととのいボリュームたっぷり。
しかもゴロゴロ野菜を食べるのに顎を使うから自然とよく噛む。顎から朝の目が覚める…、って感じのゴチソウ。

サイドにもらったクラムチャウダー。小さめのボウルに入ってやってきて、スープの上には砕いたソーダクラッカーに刻んだパセリ。沈むようでいて沈まずずっとスープの表面に漂っている。チャウダーのポッテリとした濃度感が目に伝わって食べる前からおいしく感じる。
じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ、ブラウンマッシュルームが小さなサイコロ状に切られてタップリ。ホツホツとした野菜に混じってアサリもたっぷり。小さいサイズながらも案外、量が多くてあったまる。
「パンなどいかがされますか?」と気を使ってもらったけれど、サラダとスープで十分お腹がととのった。量以上に野菜を噛んで味わって、顎をたっぷり使ったから頭が満腹を感じたんでしょう。気持ち明るく体が軽い。元気にお仕事、いたしましょ。

 

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コメント

  1. Wordsworth

    いつもFBで美味しそうなご飯や朗らかなお顔が見えそうなコメントを拝見させていただいております。
    その中、この店員さんの素晴らしい心配りに「このサービスマインドが自分には決定的に無い」と考えさせられました。
    電話対応をする商売をしている中、こういう心配りをできるようにならなければな、と考えつつ。
    勉強させていただきました。

    • サカキシンイチロウ

      Wordsworthさん
      おひさしぶりです、お元気でらっしゃいましたか?
      サービスってする方もされる方も本当にむつかしい。これがサービスなんだと意識した瞬間に、どこか嘘くさくなってしまいますよね。
      このときのスタッフさんの、自然なふるまいと自然な笑顔に、すんなりと気持ちの中にもてなしの気持ちが入ってきた。不思議な経験でした。
      どうすればサービスマインドがもてるのか…、すぐに答えがでるものでなく、ボクもちょっと考えてみようと思います。

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