生活のかたわらに、あってほしくなる店のコト

岡山から北に向かって1時間ほど。「津山」という街に到着。
西日本豪雨の影響でつい先日まで電車が不通になっていた。
それも今では解消されてローカル電車ののどかな旅をしばしたのしむ。

昼食の前にラーメン店による。
ラーメンの店にしか見えぬ外観、大きな厨房。
厨房の中には湯気をもうもうとあげる釜があり、元気いっぱいの人が笑顔で働いている。
広い通路に大きなテーブル。
ひとりでやってきた人は自然とお店の真ん中にある大テーブルに座って注文。ラーメンすする。
打ち合わせのため座った席が、その大テーブルの向かい側。しかもピタッとど真ん中にて写真をとるとパシャリと見事にシンメトリ。

店全体が神々しい光でつつまれ、まるでおいしい神殿のように見えてうっとり。こういう普通の店っていいなぁ…、どこにも無駄や気取りがなくて必要なものはしっかり揃ってきちんと整う。早い時間には近所のシニアの人たちが。12時すぎると作業服の人たちやサラリーマンに置きかわる。誰かのための店じゃなく、地域のみんなの店ってステキ。近所にあったらいいのになぁ…、って思ってにっこりいたします。

それから移動で「本陣」という店。
もともとうどんと蕎麦の店として開業をした老舗の一軒。
麺のお店の名残のコの字のカウンター。それ以外は座り心地のいいブース席。うどん屋さんとファミリーレストランのちょうど真ん中みたいなしつらえ。
お昼は近所に住んでるお年寄りのたまり場みたいな役目も果たす。なくなっちゃいけない店のひとつだなぁ…、ってしみじみ思う。みんなで試食。あれこれと。
季節のメニューのすだち蕎麦。うどんも手作り、蕎麦も手作り。しかも茹でたて、〆たてで鰹節と昆布でとった出汁を冷やしてたっぷり注ぐ。すだちの酸味に渋みが出汁の軽い酸味や渋みと混じってスッキリとしたさわやかな味。そばはスルンと喉の奥へとすべりこむようななめらかさ。

かつ鍋っていう一世風靡した料理。
ボクの父が当時、作って売ってた鰻のタレを拡販するため、30年ほど前にブームを作ったのですネ。
特に洋食レストランに地方の人を呼び込むためにいろんなお店が重宝した。
揚げたてのカツと玉ねぎ、といた玉子に出汁とタレ。
できればそこにうどんを数本入れればボリューム感が出る。
煮込みすぎてカツが土鍋に焦げ付くことも防げて、なによりうどんがうまくなるからネ…、と、それがオリジナルのレシピだったけど、それを守った店は少ない。
けれどココのはうどん入り。煮込んでもなおカサカサ感がうせぬとんかつの食感を、ねっとりとしたうどんが一層引き立てるのがオモシロイ。

エビカツ丼に蕎麦がついてくるセットもたのむ。トンカツを玉子でとじたカツ丼に同じく玉子でとじたエビフライを添えて完成。しっぽの色がうつくしい正直なエビがムチュンとうまい。
甘辛のタレでほどよき状態に固められた玉子を噛むと出汁がじゅわりと滲み出し、ご飯にしみこむタレの風味がいい感じ。
うどんかそば、それぞれ熱いの、冷たいのとサイドの麺類が選べるセットでかけそばたのんだ。関西風の好き通り塩の輪郭がはっきりとした関西風の出汁で味わう蕎麦は格別。その出汁をとった昆布を刻んで煮込み、佃煮風に仕上げた小鉢に、昔ながらの仕事を感じる。ホッとしました、また移動。

 

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