犬鳴村

映画を観ます。「犬鳴村」っていうホラー映画。
呪怨を大ヒットさせ、Jホラーという映画のジャンルを作り出した清水崇さんのひさしぶりの監督作品。
アカデミー賞が発表されて、昨日から一部劇場が予約がとれない状態になってるっていう噂を尻目に、朝一番の公演だったということもあってでしょう…、ちょっと静か。つくづくボクの興味はアカデミー賞にかすりもしない映画ばかりに向いていくって笑いながら席につく。

犬鳴村という都市伝説にでてくる実在の村を題材にした映画です。
ちょっとしたモキュメンタリータッチではじまる最初の10分間は死ぬほどこわい。何がはじまるのか、これから何が起ころうとするのかまるで説明もなく暗闇に放り出されたような感じで、こんな映画、観に来るんじゃなかったって後悔してしまうほど。

まぁ、そのスタートのエピソードはあっけなく終わってしまうのだけれど、そこから目が離せなくなる不思議な出来事が続く。
映画の中において「気が狂った人」の表現をいろんな監督や俳優が試みるけれど、そこで気が狂っていく人たちはおそらく超一級の狂いっぷりで、恐ろしさをこえた恐ろしさを感じるわけです。

数ある恐怖において最高の恐怖というものは「理由と正体がわからない恐怖」であって、そういう意味で映画の前半の怖さは本当に怖い。
その恐怖の理由が徐々に後半で明かされていくのだけれど、そこから徐々に理由のわからぬ怖さが、その理由自体の怖さに移り変わって怖さの種類が変わってくる。
前半は目が離せない怖さ、後半は目を背けたくなる怖さで、そういう意味で上手。人が怖いと思うさまざまを2時間弱の映画の中によくこれだけてんこ盛りで放り込んだなと感心します。

海外の配給を考えてのことでしょう…、奥菜恵が出ています。高嶋政伸が不気味な持ち味を思う存分発揮してます。寺田農に石橋蓮司といぶし銀スターも仕事をきっちりしていますし、なにより高島礼子の怪演には目をみはる。
ホラー映画に愛が持ち込まれると厄介なことになる…、とボクはかねがね思っていて、その厄介がほんのちょっとだけ残念だけどひさしぶりに料金以上のものを魅せてくれたと感心しました、オキニイリ。

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