牛かつは日本の食文化になるのでしょうか…。

牛かつもと村で食べてお勉強。
牛かつなる食べ物が、夜の表舞台に出てきて3年ほどもたつでしょうか。
とんかつと違ってレアで大丈夫だから調理時間が短くてすむ。
料理として比較的新しく、専門店がほとんどなかった。…、つまり競合店が少なかったということがチェーン店にとってはうれしい環境。「主人=社長」という生業店との戦いは「売価を下げる」という結果を生むのがチェーンビジネスの宿命で、とんかつ、うどん、天ぷらチェーンを見れば結果は明らか。市場そのものが疲弊してしまう。
その点、ビフカツでもなくとんかつでもない牛かつはチェーンストアが自由に値段をつけることができる分野で、それで次々、チェーンができた。なんでこんなところにまで…、って思うような場所にまで店ができ始めているから市場は飽和寸前。そろそろチェーン間での差別化競争がはじまる頃合い。

そこで「もと村」、焼かせます。
テーブルの上にあらかじめ固形燃料を格納したコンロが置かれてる。入り口脇のレジで注文。お金を払うとテーブルに案内されて、座るとパチッとコンロに火がつく。料理が出来上がってやってくるときには上の石版があったまり、レアで仕上げた牛かつを好みで焼いて食べるというもの。
牛かつという食べ物がチェーンオペレーションに乗りやすかった最大の理由が調理時間が短いというコト。豚肉と違ってレアで食べることができる牛肉だから、パン粉衣が色付けば食べられる。提供時間の短さは回転率の高さにつながる。それでチェーンが飛びついた。

とはいえ、レアの肉が嫌いな人が案外多くて、そういう人たちも取り込むために工夫をしたのでありましょう…。
固形燃料分のコストをかけても市場が広がればという目論見。
案外成功しているようです。
ちなみにココのご飯は麦飯。
しかもとろろを併売してます。
仙台牛たんのビジネスモデルを借りてくるというのがとても賢い。
ただ飲食店において「賢い」ということは心からの褒め言葉であるかどうかは別儀としての賢さがある(笑)。
わさび醤油やゴマソースと、調味料はどの牛かつチェーンもほぼ同じ。
牛肉自体に旨味があまり無いから調味料で無理やり味を作り込んでるみたいな感じ。トッピングメニューもいくつか用意されていて、例えば明太子。これも味が強くてご飯がすすむといえばすすむ工夫でござんした。

焼いてるうちに牛肉がこわれていきます。脂や筋の部分がちぎれていくのでしょう…、脂がほとんどついていないから衣の油がほどよい感じ。カサカサパラパラ、口の中で散らかるパン粉がニギヤカで、ご飯がすすむ。
焼いてるうちに石版の上に脂がたまって激しく臭う。ダクトも無ければ換気がいいわけでもないから満席になったら大変だろうなぁ…、って思ったりもする。お皿の端に置かれたポテトサラダ。出来合い、チープでなんでこういうものと安易に使うんだろう…、って思いもします。
牛かつを日本の食の文化にというのが彼らのキャッチフレーズみたいで、お店の中にもでかでかと書かれてる。でも店をたくさん作れば文化になると思ったら大間違い…、って思ったりした。お勉強。

 

コメント

  1. りんご

    揚げ物と脂身の魅力を全力で楽しむならトンカツだし、レアに限りなく近い牛肉の温かさと冷たさを楽しむならたたきだし、
    火の通った牛肉の力強さを楽しむならステーキだし、自分の焼き加減を楽しむなら焼き肉です。
    私はそう思います。
    多数決的に日本の文化になれるとは思わないでいただきたいですね。

    • サカキシンイチロウ

      りんごさん
      たくさんお店があるから文化…、ではないですものね。パッと増えてパッと消えていってしまうファストフードならぬファストなフードになってしまうんじゃないかな…、とボクは思っています。

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