無理しないですむ定価でする商売

暑くて暑くて、用事は朝に済ませることにする。
それで新宿。ついでに朝ごはんを椿屋珈琲でとることにする。
4度目の緊急事態宣言を期に朝食提供をはじめてくれて、その内容がとてもステキでファンになった。
ハムにゆで卵のマヨネーズ和えに野菜サラダ。
パンはトーストしてもらうこともでき、それにバターとジャムがつく。好みの飲み物が選べて1200円という値段。今どき500円でモーニングセットが食べられてしまうことを考えると高い。けれどこの店のコーヒーは1000円からという価格設定。
つまりコーヒーの値段に200円足せばこの朝食セットが食べられる…、と思えば決して高くはないということになる。
「主力商品の定価」をいくらにするのか?というのは商売をする上でとても大切で基本的なコト。飲食店のすばらしいところは、お店の人が自由に自分の店の商品の定価を決めることができるという部分。なのにそのすばらしい権利を放棄しちゃうお店が多い。

ライバル店がいくらで売っているから…、であるとか、お客様がいくらで売って欲しいと思っているから。ベンチマークとかマーケティングとかという賢そうな言葉の果に、他人を気にする臆病な価格設定をしてしまう。勿体ないったらありゃしない。
ボクは「お客様のわがままを吸収することができる値段」がいい値段なんじゃないかと思う。
お店に対してお客様がもつわがままはお店によって異なってくる。この店に対しては「誰にも邪魔されず好きなだけゆっくりしたい」というわがままで、だから時間制限なんていう無粋なことをしなくてすむ値段をつける。それがコーヒー一杯1000円以上。おかわり自由でもない1000円!

おかわりできると言われれば、おかわりしなくちゃ損と思うのが人の気持ちの当たり前のコト。
だから、おかわり自由を約束するのは危険でもある。
とんかつ屋さんなんかでキャベツおかわり自由とメニューに書いているのにラベルライターで「ただし一回だけ」とか但し書きをつけてるお店。
定価設定に失敗しました…、ということを言っているようなものでとてもかっこ悪い。
おかわり自由をやめてしまう。おかわりされても損しないだけの定価に変える。そのどちらかしか対策はなく「一回だけ」っていうのは、サービスしているつもりが「なんだ一回だけかよ」って思われてしまうマイナスイメージプロモーション。
お店の人が無理しなくてすむ値段が、お客様にとっても無理しすぎない値段であること。それがよき定価の原則じゃないかと思ったりもする。お勉強。

さて今日の朝食。盛り付けが前回に比べてちょっととっちらかっているのに笑う。ただレタスはパリパリいい状態だし、手切りのハムがとても上等。二切れついてくるトーストのひとつに切り目を入れてそこにたまごサラダにハムにきゅうりを突っ込む。ポケットサンドのようにしてパクリと味わいにんまりとする。
自然な味わいのよきトーストで、そこにたっぷりバターをぬる。ぬるというより乗せる感じで、あぁ、体に悪いことをしてるよなぁ…、と思うもそれも朝の贅沢。ジャムもたっぷり。アイスコーヒーにもクリームたっぷりで朝の元気の素とする。今日も朝から大人気。

 

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コメント

  1. ちい

    学生の頃、父に御茶ノ水にあった「談話室滝沢」に連れて行ってもらいました。あちこちで飛び交う商談に、大人の世界を覗き見してドキドキしたのを覚えています。
    大人になろうとしている子どもに、自分の経験や知恵を惜しげなく伝えてくれた両親をありがたいと思います。

    • サカキシンイチロウ

      ちいさん
      このお店も以前は談話室滝沢でしたね。
      大人のたまり場。
      今、あんな場所を探そうにもどこにもないほどに優雅で上等な喫茶店でした。
      ボクの両親も子供のボクに大人の世界を惜しみなく伝えてくれた。ありがたいことです。

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