桃のパスタ。マガザンルージュの普段着フレンチ
桃がおいしい季節になった。
おいしいだけじゃなくて安くなっているのがうれしく、今日は桃の冷製パスタを作ることにした。
ほどよく熟れた大きな白桃。
ナイフをあてて、軽くきっかけを作ってススっと剥いていく。手にした桃の表面の細かな産毛がくすぐったくて、けれど案外簡単にするんするんとキレイに剥ける。
果肉をちょっと大きめ一口大に削ぎきって、塩とレモンを溶かした氷水に放してキリッと引き締める。
種の周りに残った果肉は手で丁寧にこそげ取り、オリーブオイルと塩と一緒によくかき混ぜる。ピュレ状になった桃はおいしい香りをまきちらし、徐々にやさしいとろみを帯びる。しっかり乳化したとこでスペアミントの葉っぱをちぎって混ぜ合わせ、冷蔵庫の中で冷ましてやすませる。
3分指定の生のパスタを8分茹でます。
たっぷりの塩でしっかり下味をいれてやり、茹で上がったら氷の上にのせてキリッとしめる。洗ってしまうと麺表面のでんぷん質がなくなっちゃう。ソースとのからみが悪くなるから氷のベッドの上に広げて上下にひっくりかえしつつ冷たくなったら桃のピュレに入れて絡めてお皿に移す。桃を飾って出来上がり。
甘くてほどよく酸っぱくて、オリーブオイルの香りがおいしい。塩がそれぞれの味や風味をくっきりさせて、歯ごたえの良いパスタに桃のとろけが混じるオゴチソウ。好きだったなぁ…、桃やイチゴやぶどうのパスタ。よくできました。オキニイリ。
近所の友人から「マガザンルージュに行ってきました」ってメールがあった。
とてもいい店でおいしくて、今度ご一緒しましょうよ…、とお誘いも受け、一人じゃなかなかいけない夜に一緒に行きましょうと約束をした。
そういえばちょっとご無沙汰しているなぁ…。
そう思ったらどうにもこうにも行きたくて、日曜ランチにすることにした。
どこに座っても厨房の仕事の気配が伝わってくる。おいしい空気とおいしい匂いで満たされているいいお店です。
お店の人もゴキゲンで、堅苦しいところが微塵もない。
日本のフランス料理のお店はお行儀よくあることを強いられるような店が多くて、こういう普段着のレストランってありがたい。
パスタを含めてすべての料理にスープとバゲットがついてくる。今日のスープは枝豆の冷たいスープ。ポッテリとした喉越しに緑の香りとやさしいうま味。お腹の入り口がパカッと開くようなおいしさ。
申し訳程度のサラダなんかが出てこないのが潔くってボクは好き。
代わりにメインの料理に野菜をたっぷり使ってくれる。
選んだのは魚のポワレ。
今日の魚はオキサワラ。カジキマグロのような白い身質で、かなり大型。筒切りにするとステーキっぽい姿になって上を野菜のソテが飾ってる。
ごぼうにナスにパプリカ、それから紅芯大根、アスパラガス。
ごぼうの香りが力強くて華やかで、魚の海の香りとごぼうの土の香りが混じり合い、食べる前からもうおいしい。
酸味を帯びたオキサワラの身。繊維がみっちりしていて魚というより鶏の胸肉を食べているみたいな感じにさえある食べ心地。魚からでた出汁とバターを詰めて作ったソースが甘くてうまくて香ばしくって、ハフハフホフホフ、味わいたのしむ。
それにしてもここの野菜の火の入れ方には感心します。紅芯大根はシャキシャキ感が残るよう。ナスはネットリとろけるように。ごぼうはカリッと歯ざわりがよくしかもどれもが持ち味、風味がいきいきしてる。
キレイに盛り付けられた料理を崩していくことからはじまるフランス料理の楽しみ方。野菜の下には何があるんだろう…、サワラは崩すとどんな姿になるんだろう。食べすすめるにしたがってお皿の上の景色がどんどん変わっていくのもオモシロイ。
今日のデザートはチョコレートムースにしてみました。ふっくらとした食感に苦味、酸味がしっかりとしたチョコムース。ミルクティーのお供に最適。今度は夜に行きましょう。