東銀座で土鍋のシチュー、銀之塔

熱々の料理が恋しい季節になった。東銀座の熱々料理で汗をかきましょ…、と、銀之塔。
歌舞伎座の近くにあります。この界隈には舞台関係の人たちが贔屓のお店が結構あって、そんなお店のひとつでもある。
どっしりとしたビルにお店を構えています。土蔵造りのようでもあって、窓に取り付けられた鎧戸に「シチュー・グラタン・銀之塔」と書かれてる。
専門店です。しかもそこに書かれた通り、ほぼシチューとグラタンしか料理の用意のない店で、それでもう60年以上も人気を保ち続けてる。なにしろ創業昭和30年。ボクより5つも歳上です。
店に入ると奥に小さな厨房があり、テーブル席に座敷に階段。階段の上にはテーブル席がいくつかあっておちつく感じ。

シチューと小さなサイズのグラタンがセットになったここのおすすめ、ミニセット。注文するとまずお通しですと小鉢が3つ。切り干し大根、ひじきの煮付け、蕨としらたきを炊いたもの。キュウリ、にんじん、大根のぬか漬けがつきひと揃え。
ミニグラタンがやってくる。
これが独特。焦げた粉チーズで蓋された下は小麦粉のでんぷん質でブルブルに仕上がるクリーム。もったりドッシリねっとり重い。
具材がこれまた変わっててエビにしいたけ。もし銀杏と三つ葉がここに入っていたら茶碗蒸しだネ…、って思ったりする。ベシャメルソースのなめらかを期待すると、「なんじゃこれ」って思っちゃうけどこれはこれで味わい深い。

シチューは時間がかかります。
コトコトクツクツ煮込んでグツグツさせるまで、30分近くもかかりますか。
お通しをお茶と一緒にゆっくり味わい、蕨を残して2つは完食。
やさしい味にほっこりし、ミニグラタンもキレイに食べてシチューの到着。
小さめの土鍋の中でソースがグツグツ沸騰しながらやってくる。

粘りをもったソースです。沸き上がる泡は大きく、もったり膨らみゆっくり縮む。ソースが息をしているみたいでいとおしくなる。シチューの具材は4種類。ビーフシチューに野菜シチュー。ビーフと野菜のミックスシチュー。それから牛タンとあって今日はタンシチュー。
分厚く切り分けた牛タンがドサッと5切れ。煮込まれとてもやわらかで無造作に持ち上げるとハラリと壊れてしまうほど。れんげで底から持ち上げてみると面取りをしたじゃがいもがゴロリと出てくる。ニッコリします。

タンを一枚、ご飯の上にのせて眺める。繊維の間にソースがしっかり染み込んで食べるとネットリ。ゼラチン分が唇に貼り付きとろける。タンのもってる肉肉しさと癖ある風味はそのままに、ソースの旨味や軽い酸味に香りと混じってなんとおいしい。
食べてくうちにじゃがいもの他ににんじん、玉ねぎがゴロンとでてくる。玉ねぎがシャキシャキ、ほどよい状態なのにまたニッコリ。
シチューといえば西洋由来の料理です。なのにそれが土鍋に入り、漬物をお供にご飯と一緒に供される。一般的なシチューに比べて酸味おだやか。やさしい味でご飯にピッタリ。すでに立派な日本の料理。
日本の料理の基本はご飯。白いご飯によりそうような料理に世界の料理を変えてしまえる日本の人の好奇心と情熱にウットリします。オキニイリ。

 

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コメント

  1. としお

    蕨を残したのですか?

    • サカキシンイチロウ

      としおさん
      蕨はご飯のおかずにしました。漬物も含めて全部お腹の中におさまりました。

      • 匿名

        お返事ありがとうございます。
        ちょっと心配しました。

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