本家橋本のそば、たかしまコーヒー店のハムトースト

徳島で夜。仕事を終えて飛行場へと移動の前に腹ごしらえ。
久しぶりのオキニイリに来る。
まず本家橋本というそばの名店。
ちょっと独特なそば食文化のある徳島で、昔から徳島の蕎麦といえばこのお店…、と言われた老舗。駅前アーケード街にあって昔は隆盛を極めたのでしょう。何しろかつてこの徳島は日本有数の人口を抱えた裕福な町だった。
藍染産業が稼いだ金で瀟洒な庶民文化が花開き、その象徴が阿波踊り。この商店街もその瞬間だけかつてのにぎわい取り戻す。
立派な造りの店で、けれどおばぁちゃまが一人で店番。厨房ひとりとしんみり静か。しおれた感じに味がある。

「並天そばをください」という。
上天そばは、立派なエビの天ぷらがどーんっと乗っかるいわゆる普通の天ぷらそば。
並天そばの天ぷらは小エビのかき揚げという違いがあって、断然「並」の天ぷらが好き。
口は狭くて深い丼の上いっぱいにエビのかき揚げ。
大根おろしに刻んだネギがのっかっている。

ずっしり重たく器の外まで熱々で手に持つことかなわず、しばしテーブルの上に置いて味わう。麺は細くて几帳面に角張っている。ひ弱に見えて案外頑丈。ザクッと歯切れて口の中にバッサリ散らかる。そば一本一本の輪郭を感じるほどに食感確かで心地よい。

薄色にしてしっかりとした味わいの汁。熱々で飲むと喉を焼いてしまいそうになるのだけれどフウフウゴクゴク、飲んでしまう。上品で上等、しかもスッキリ後味がよく昆布が味の中核なしているからでしょう。酸味がおだやか。そういえば徳島は昆布の産地でもありました。
天ぷらは衣たっぷり。食べてるうちに汁を飲み込み膨らみちらかる。とろけながらおいしい油を汁に移して、自分もおいしくなっていく。衣が剥がれたエビがゴロゴロ。都合10尾ほどもいましょうか。甘くて食感しっかりしててそばと一緒に口に運ぶとなんとも贅沢。日本に数ある蕎麦屋の中でもここのこの蕎麦は十指に入るオキニイリ。

 

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リムジンバスにはまだ時間がある。
急いでたかしまコーヒー店に小走りします。
家族でやってる小さな喫茶店。おそらくお店の上が住居なんでしょう。
朝早くから夜までと、人の生活のリズム通りの営業時間。
時間にすれば長時間。

けれどどこにも無理がなく、そう働くのが当然だから働きもするし、働かないとなにかをなくしたようで寂しくなってく。そういう働き方ってステキと思う。おなじみさんでいつもにぎわうのどかなムードがオキニイリ。ブレンドコーヒーをたのむと分厚く腰がくびれて下に向かってふくらんでいく、優雅なマグにやってくるのが西日本の喫茶店に独特なとこ。オキニイリ。

せっかくだからハムエッグトーストを作ってもらう。この店のオモシロイところがグリドルがキッチンの隅に作られているところ。サンドイッチやハンバーガーがほとんどすべてその上で作られるのですね…、いろんな料理の味や風味が染み込んだ分厚い鉄板自体がすでに調味料。
食パンを焼き、そのかたわらで玉子を焼いてハムを焼く。それらすべてがひとつに重なり、間にケチャップ、芥子をプチュっで出来上がり。シンプルなんだけど味わいぶかくて、食べるとなんだかホッとする。
コーヒーにミルクを注いでコクリと飲みます。ゆっくり時間をかけて味わい、お店の空気をたっぷり吸い込みさてさて移動。バス移動。

 

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コメント

  1. なすび

    くうーっこれは味わい深いっ!!!
    前に徳島を通ったとき、なにが名物なのか調べる時間がなくてとりあえずラーメンを食べさせられた思い出があるんですけど、ここを早く知っていたらーっ!!!徳島に寄るいい言い訳になりそうです!

    • サカキシンイチロウ

      なすびさん
      どちらもいいお店。長い時代を生き抜いて、でもどこかのどかで自然体。徳島という穏やかな街だからこその名店と感じます。

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