有薫の昼、しろたえのチーズケーキで〆る冬の日

赤坂見附の駅前にあるエクセル東急ホテルの入ったビルの3階。
ちょっと上等な飲食店が並ぶ食堂街がある。
ホテルのロビーのあるフロアでもある。
食堂街専用のエレベーターもあるのだけれど、便利なアプローチはロビーに向かうエスカレーターにのっちゃうことで、そうするとホテルのフロントの前を通ることになる。
ホテルマンにお辞儀されつつフロント過ぎると、豪華だった内装が一転、殺風景なオフィスビル然としたものになる。細い通路をくねくね歩いた先にやっと入り口見つかる…、って秘密めいたロケーション。
だからか近隣のサラリーマン御用達的落ち着くムードが良かったりする。
その食堂街の一軒、「有薫」が今日の店。
かつて有薫酒場って名乗ってたこともある、夜は接待なんかにも使われるんだろうけど、いまでも酒場風の気軽な雰囲気がいい感じ。
気さくな従業員さんたちの元気な声に自然な笑顔。そして気配りがあったかくって、今日もお昼休みがはじまると同時にスーツ姿のおじさんたちが続々やっていらっしゃる。

九州のおいしいものを集めましたというのが特徴。ただ福岡、佐賀に長崎、大分と空襲の北側地域の料理が多い。
九州も北と南では料理文化がかなり違って、ひとつお店でその両方をとなるとどこか不自然なコトになっちゃうんでしょう。
玄界灘のおいしい魚を使った定食や久留米ラーメン。柳川風の鰻も名物。ボクの目当てはその鰻。竹の皮でくるんだ鰻ご飯を蒸して仕上げたせいろ蒸し。博多うどんと漬物、味噌汁がそれについてひと揃え。

オモシロイのがこの店のすべてのランチに日本酒がつく。
ほんの少々。猪口にちょこんとふた啜り分ほどがはいってくるのがなんだかたのしい。
グビリと飲むと、お腹の中にポッと灯りが灯るよう。食欲じんわり。

竹の皮の包みをとくと中からズッシリ、ご飯と鰻。ご飯にはあらかじめ鰻のタレをタップリすわせて蒸し上げている。錦糸卵を上にたっぷりのっけて一緒に食べるのだけど、タレが甘いからご飯の隅々見事に甘い。鰻の蒲焼きも甘く仕上がり、錦糸卵も甘いから、一口ごとにあぁ、九州ってにんまりなります。
ただ甘いだけじゃなく、九州の醤油独特の旨みが強く、焼けた鰻の脂の甘さも引き立つおいしさ。お好きなようにとタレが小さなポットに入ってくるのだけれど、当然それも甘い仕上がり。心置きなく九州味に浸り、味わう。

うどんはやわらかくしてくださいね…、ってお願いをする。甘めの汁を思う存分たぐりあげてくれるやわらかさ。ただ、博多のうどんのようになめらかか…、というとやっぱり汁とうどんの関係はいささか少々よそよそしい。
でも「やわいうどんで」と言って、怪訝な顔をされないところが博多的。
とろろ昆布にわかめたっぷり、緑のネギがどっさり入っているのもどこか博多的にてニッコリします。
甘酢でつけたキャベツの漬物はどこかピクルスみたいな味わい。味噌汁の味噌は甘めの麦味噌で、こまかなところも九州的。今月の末には久々、博多にいけそうな気がして気持ちが春めく今年。お腹も気持ちも満ちました。

 

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食後にちょっと時間があって、甘いもので〆にする。坂をあがって「しろたえ」に来る。
レアチーズケーキを一個買い、喫茶コーナーにすわってのんびり。おやつのケーキとしては本当に小さくてコジーコーナーのケーキのおそらく4分の1ほどのサイズ。だから食後のお腹にピッタリ。
とは言えサイズを裏切る充実感です。チーズ、生クリームがぎっしり凝縮された感じ。フォークでひとかけ切り分けて舌にのせるとズッシリ重たい。ゆっくり静かにとけはじめ、口いっぱいをチーズケーキの味にする。ひとかけ、そしてまたひとかけと食べ進めるに従って、舌に残ったチーズケーキの味や風味が塗り重なってどんどん濃厚になっていく。お供に冷たい煎茶をもらって喉を潤す。オキニイリ。

 

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コメント

  1. comfort

    有薫酒造がある城島町(現在は久留米市)エリアは造り酒屋が並び、
    鰻はもちろんエツなどの郷土料理のメッカでもあります。
    今年も2月に酒蔵びらきのイベントがあるようでまた行きたくなりました。
    それはさておき、写真のせいろ蒸し、かば焼きはどこで焼いたのでしょう?
    それと蒸しも。調理中にホテル中が鰻の匂いになるのでは?
    謎が深まるばかりです。
    こんな店、近くに欲しいです。

    • サカキシンイチロウ

      confortさん
      仕込みのための厨房が別にあるように聞いています。
      おみやげでも買って帰れるように真空パックの状態で厨房の中に用意されているようで、それを蒸して仕上げる。考えてみれば竹の皮でくるむというコト自体が保存食としての工夫でもあり、それをランチのメインに吸えるとはよく考えたなぁ…、と感心します。

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