旅館で親子水入らず

徳島から高松。母の日に向けて親孝行をと家族みんなで旅館に泊まる。
高松の高台にあって街越しの屋島、それから瀬戸内海。
風光明媚な別天地。
お風呂に入るとちょっとねっとりした泉質でお肌ツルツル。そして夕食。陶板焼きを温める固形燃料の炎をキャンドル代わりに料理をたのしむ。
枝豆の豆腐に銀あん。鱒の押し寿司、モロコの佃煮、梅の葛寄せ酒の肴を突きながら薔薇の香りの日本酒を飲む。
陶板焼きの器の中には讃岐の地鶏にネギにブロッコリ、トマトにレモンが蒸し焼き状でバジルの香りが鼻をくすぐる。レモンもバジルも地のもので瀬戸内海は地中海に似たりと思う。

それから刺し身。
さすが瀬戸内地方であります。
器の中が白くてキラキラしています。
東日本で刺し身の盛り合わせと言えば必ずマグロが彩り添える。
マグロの色や鮮度、味わいで刺し身全体の質が決まってしまうほど。
けれど瀬戸内の魚は白い。
今日はカンパチ、イカにスズキ。
スズキは若干寝かせてねっとり、旨味を整え造ってる。
イカはもっちり。噛めば噛むほどとろけて甘みがましていく。
一方カンパチはゴリゴリです。活け〆にしていて歯ごたえざっくり。脂の旨味が口に広がる瀬戸内独特の味わい、食感。讃岐の旨味が強い醤油と一緒に食べても脂の旨味が負けぬおいしさ。

こういう刺し身でボクらは育った。
関東地方から讃岐に戻った母が戻ってしみじみ良かった…、って思ったコトがうどんがおいしいということと、魚が活きてるってことだった。

それにしても食欲旺盛。
ボクらと一歩も引かぬ食欲でもりもり食べてゴキゲンになる。
食べられる。
歩ける、そして腹から声を出して歌える。
それが若さの秘訣なの…、って明日はみんなでカラオケボックスに行くつもり。

蒸し饅頭がやってくる。
オクラの饅頭。
芯の部分に鶏のひき肉。それをくるむように叩いたオクラをまとわせ蒸す。たっぷりぎんあん。あんもトロトロ、オクラもトロトロ。口の中がスベスベになる。カニで味わい、風味を整えお腹もポワッとあったまる。
キッチンのすぐ裏側。ガラス一つで隔てられたシェフズテーブルのような個室で食事をたのしむ。ボクら、みんな早食い、大食い。調理人がボクらのスピードに負けないようにと次々料理を作る姿に思わずニッコリ。

〆直前に小鍋を炊きます。うどんの出汁をはった鍋。具材は鰆にイカに焼穴子。鶏のすり身団子に豚肉、揚げ豆腐。野菜さまざまで、それらを寄せ鍋風に仕立てて食べる。どの順番で投入しよう…、と思っていたらうどんが登場。うどんすき風にして食べることにして、全部をドサドサ、投入す。
そしてグツグツ、煮込んで食べる。
汁がおいしくたくましく、うどんがすべての素材の味を吸い込み旨い。天ぷらがやってきたのをうどんの上にのっけて天ぷら鍋焼きうどんのようにたのしむ。満たされる。

食べて飲み母はかなりのゴキゲンモード。
いつも以上にくつろぎ、昔話に花が咲く。
そしてお食事。刻んだ鶏肉とごぼうの炊き込みご飯に汁。讃岐は実は日本有数の鶏王国でだから鶏の料理が多い。
汁は赤出汁。ただ赤味噌は名古屋風の酸味の強いものではなくて、甘くて旨味がどっしりとした讃岐の赤味噌。あぁ、なつかしい。赤味噌の旨味と鶏の風味が口で一つになってお腹を満たす。
デザート食べて、話の続きはお部屋に戻ってと、今日はのんびりするつもり。

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