新宿御苑の志な乃、鍋焼きそばの季節になった。

新宿三丁目で野暮用。歩いて行きましょと散歩気分でテクテクてくり。
新宿御苑にさしかかったところでお腹がなった。
ちょっと歩けば「志な乃」という場所。もしかしたらボクのお腹が「間もなく志な乃」って合図したのかも…。
おねだりされたら寄らなきゃならん。ガラリ扉をあけてお店に入りテーブルにつく。
湯気でメガネのレンズが曇る。麺を茹で大きな釜から噴き出す湯気に混じって、おいしい出汁の香りもしてくる。本格的にお腹がなった。
お店の奥に厨房があり、その厨房と客席ホールを隔てる壁に窓がある。出来た料理を受け渡す窓で、いつも開けられ厨房の中の様子が見て取れる。
厨房守るご主人の凛々しい横顔。忙しげに手を動かして料理を仕上げる後ろ姿にニッコリとなる。

鍋焼きそばをたのみます。
ちょっと手間のかかる料理で、忙しいときには気がひける。
鉄鍋に出汁をはり野菜や鶏肉と一緒にクツクツ煮込む。
煮込む間にそばを茹であげザブザブ洗う。
洗いながらエビの天ぷらを一本揚げて、一旦キリッと〆たそばを鉄鍋に入れて再びクツクツ。
卵を落として出来上がり。

鍋がテーブルに運ばれてきて、その鍋の表面クツクツ、小さくずっと沸騰中。
オモシロイことに湯気が沸き立っているかというとそうでもなくて鍋の上の表情静か。大きな三つ葉の葉っぱが蓋しているのでしょうか…、鍋の端から端をまたいで余りある長さの立派なエビの天ぷらが蓋の取っ手のように見えたりするのもたのしい。
エビの天ぷらをどかして汁の中に浸した途端に、三つ葉の下からおびただしい量の湯気が噴き出し、メガネとカメラのレンズを曇らす。おいしい匂いも噴き出して、お腹を鳴らす。さぁ、食べる。

蕎麦は太めで細打ちのうどんくらいの太さはあります。とは言え熱々の汁の中に浸かっていると熱が入ってやわらかになる。でもそのやわらかがおいしいのです。表面トロンととろける感じ。芯の部分はホツっと固くて、ほどよき噛みごたえがあるのも独特。うどんよりも汁をたっぷりたぐりあげ口の中をみずみずしくする。
具材タップリ。小松菜、三つ葉、ネギににんじん。そばをたぐってるうちに底からかまぼこ、しいたけ、鶏のもも肉とゴロゴロ、次々浮かんで来る。どれもしっかりした素材。例えばにんじんは香りが強くてハーブのごとし。分厚いしいたけも上等。鶏の肉や脂が汁にコクをつけてくれるのがまたうれしい。

卵が一個入ってます。
普通は卵を最後に落として黄身はほぼ生の状態でやってくる。
なのに「卵を固めにしてくださいね…」と言わなかったのに卵がそばの下に隠れて仕上がっている。
なんとうれしい。おなじみさんにしてもらったような気がしてニッコリします。芯がとろける感じの黄身の状態完璧。ハフハフ食べる。
それにしても透き通った汁のおいしいコト。
鰹節に昆布に椎茸。自然素材の旨味がかさなりあって深くて濃い。濃いのに後味スッキリしていてごくごく飲める。
それからエビ。むっちり歯ごたえたくましく甘くて旨い。天ぷら衣が思う存分おいしい汁を吸い込んでとろけてズルンと汁と一緒にお腹に飛び込む。しっぽもバリバリ味わって、満たされました、オゴチソウ。

 

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コメント

  1. keiko

    ああ、志な乃の鍋焼き、すごく食べたいです!
    お店の外観、綺麗になりましたか…?
    昔と変わらない時間が流れているのでしょうね。せめて年越し蕎麦、買いに行きたいなあ。

    • サカキシンイチロウ

      keikoさん
      半年ほど前でしょうか、キレイに漆喰を塗り直して明るくなりました。変わりすぎない程度に変わっていく。だから昔のムードをなくさないのでしょうネ。メニューもずっと変わらずで、だからいいんだ…、って思います。

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