新宿、すし丸、蒸し寿司食べる

新宿で昼。「すし丸」というお店があってそこ。
前からちょっと気になっていて、まず細い。
よくこんな具合にビルを几帳面に建てられるようなぁ…、って感心するほど隣同士のビルとピタッとくっつきあって出来上がってる。
お店の前には小さな看板。ランチのメニューが書かれたモノで、そこに一品。「京風蒸し寿司ランチ」っていうのがあって、それも気になりずっと食べに来なくちゃ…、って思ってました。
そう言えば、ボクが小さな頃に父が贔屓にしていた寿司屋の名前も「鮨丸」。そこの冬の名物も蒸し寿司だった。
それがちょっと懐かしくもあり、ちょうど朝から気温が低い今日。蒸し寿司日和とそれで来てみる。

細いビルの形そのままに間口の狭く細長い店。
奥に向かってカウンター。
ネタがズラリと並んでいるのだけど良きネタ揃い。しかも職人さんがずっと手を動かし、テキパキ、しかも丁寧に仕込む姿にいい店なんだなぁ…、と思う。
そのネタ。手際をみると握りのランチを食べたくなるも、初心貫徹で蒸し寿司たのむ。
すると一言。
「これから仕込んで蒸し上げますので20分ほど頂戴します」と。
先を急ぐわけでなし、たのしく待たせていただきましょうとお願いをする。

それにしても外国からの観光客が次々やってくることにビックリします。
近所の回転寿司、沼津港もときにほとんど外人客ということもあり、寿司は日本で食べて帰るべき料理ということなのでしょう。
しかも沼津港もココもトリップアドバイザーでいい評価を得ているお店。
かと言って外人専用レストラン的かというと近隣のオフィスの人や、おなじみさんたちが次々やってきて外国の人たちと同じカウンターでたのしく食事をして帰る。これからの東京のムードってこんな感じになるんだろうなぁって思ったりする。
さて、ほぼ20分。足高の漆の器がやってきます。蒔絵瀟洒なきれいな器で蓋を開けると中にせいろが収まっている。茶碗蒸しと汁がついてひと揃え。せいろの中には錦糸卵で覆われたばら寿司、イクラに茹でたエビがドーンッと目に入ってくる。甘い香りの湯気に気持ちがフワリ、高まる。

茶碗蒸し用の小さな木製スプーンをせいろの角にスッと入れて、クッと上に持ち上げる。
するとシャリがススッとあがってくるのだけれど、せいろの角の形のままのうつくしさ。ほどよく押し付けお米とお米がくっつきあって蒸し上がる。

甘酸っぱいです。
お酢の酸味が蒸されてやさしい。しかもお酢の旨みがふっくら膨らみ、シャリそのものがおいしいのですネ。
シャリの中には刻んだかんぴょう、甘辛煮込みの椎茸に焼いた穴子が混ぜ込まれていて、食べるところでちょっとづつ味が変わって感じるところが食べててたのしい。

そこにイクラが混じってプチッとはじける。はじけてとろりとおいしい海のジュースを吐き出しご飯にからむ。魚をおいしく食べるためのちらし寿司と違ってこれは、ご飯をおいしくたのしむためのオゴチソウ。

食べ進めると錦糸卵の下から鯛の切り身が出てきます。醤油のタレをまとわせたモノ。蒸されてしっとり。噛むとキチキチ、奥歯に貼り付くような食感。強い旨みにウットリします。
冷めて温度が落ち着いて、それまで湯気と一緒に口の中を舞ってた酸味や旨み、甘み、風味のひとつひとつを冷静に味わいたのしめる。茶碗蒸しがかなり贅沢。大きなエビが一尾グルンを背中を丸めて入ってて、かまぼこ、銀杏、三つ葉がちらかる。味噌汁の中には甘エビの頭がひとつ。寿司屋の汁ってなんでこんなにおいしんだろう。お腹を満たしてレジ前に立つ。するとお店に入ったときに預けてあった傘がそっと置かれてて、こちらでよろしかったでしょうか?と。職人さんたちもにこやかに、ありがとうございましたと声かける。いい店でした。オキニイリ。

 

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