恵比寿でアサヒル、平成のサンドイッチに昭和の焼飯

朝、めずらしく恵比寿。気になるお店で朝食をとる。
クロスロードベーカリーという名前の店で、名前の通り五差路の付け根、しかも坂道に面してあるので正面から写真を撮るととても居心地悪い絵になる。
店に入ると右手にパンが並んだ棚がある。右手にレジ、それからキッチンとつながってそれらすべてを見渡すように椅子やテーブルがおかれてる。ワクワクするようなおいしい空間。
ロングTシャツをオシャレに着こなす若い人たちが働く店です。レジで注文。番号札をもらって着席、料理はあとから運ばれてくる。食べたあとの片付けもお店の人がしてくれるという良すぎぬサービスがいいなと思う。ハンドドリップのコーヒーにクラフトビール、焼き立てのパンにアメリカンスタイルの気軽な料理と、市ヶ谷にあるナンバー4に似たコンセプト。おそらく今の東京で勝ちパターンのひとつと感じる。

まずはコーヒーがやってきます。
イートインでも紙のカップでやってくる。
通常のレギュラーサイズの値段で朝はラージサイズにしてくれる。飲み残したらどうぞ持って帰ってねってことなんでしょう。
かなりビターでどっしりとした焦げた風味が力強い。けれど酸味はほとんど感じぬ飲みやすさ。
朝のお腹を痛めることなく、目だけが覚めるって感じにニッコリ。
パンを使った朝食メニューが多彩に揃う。フレンチトーストやパンをボウルにシチューやスープを入れた料理が売りらしく、シティベーカリー的でそれもいいかと思ったけれど、サンドイッチを選んでたのむ。ソテしたほうれん草をチーズであえてパンで挟んで焼いて仕上げるクリームスピナッチサンドイッチ。トースターで焼くのでなくてグリドルの上で焼いたのでしょう…、パンの表面ツヤツヤしていて香りも強い。

その断面のうつくしいこと。ほうれん草の緑とチェダーチーズの黄色。ところどころにブルーチーズのかけらが入り、お皿の上にこぼれ落ちそうなほどにたっぷり。いかにも豪快。
パンは分厚い。ガリッと焦げてて噛むと前歯をくすぐり壊れる。空気をたっぷり含んだ粗い仕上がりだからでしょう。分厚いのだけど口の中ではクシュッと縮んでザクザク壊れながらもチーズの力でくっつきあってゆっくりとろける。ほうれん草のクシャッと潰れる感じもやさしい。分量以上のボリューム感とでもいいますか…、満たされる感にウットリします。
サイドのじゃがいもはカルテックスなフレーバー。飴色になるまで炒めた玉ねぎの甘みとともに口に入れるとホクッとやわらか。すべてがあるべき状態でお皿の上に揃うステキにいいなと思う。近所にあったらいいのになぁ…、と思ってぼんやり。朝ご飯。

 

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昼は同じく恵比寿で食べる。
駅からちょっと歩いたところにある食堂「こづち」を訪ねる。
ガーデンプレイスの開発コンサルをしていた頃、恵比寿に来るたびココの行列をを見て、吸い込まれるように気づけば飯を喰ってたお店。
オシャレ小僧も店の前では何にしようか黒板を見て、腹ペコ坊主になっちゃう店です。
大きな厨房を取り囲むようにL字型のカウンター。気さくなお店の人たちとおなじみさんが世間話をしながら食事をしていくさまは、今も昔も変わらず同じ。こういう食堂の料理をおいしくさせるのは人間味だなぁ…、ってしみじみ思う。
ひさしぶりにきて食べたいものはたくさんあって、けれどお腹はひとつしかない。苦渋の選択、チャーハンにする。

たのむと目の前のコンロの上に中華鍋を置きクワンクワンカシャカシャジャッジャとおいしい音を立てて完成。
お皿の上に無造作に移して湯気と一緒に登場。紅生姜のような赤い具材は桜えび。刻んだネギにかまぼこ、豚バラ肉がご飯と一緒に炒めあげられ卵がチリチリ、彩り添える。ご飯はパラパラ。けれど完全に焼ききれているわけではなくてちょっとしっとり。チャーハンというより「焼飯」と呼んだほうがしっくりくるようなやさしい仕上がり。
化学調味料がバッチリきいてます。塩はおだやか。だからほんのちょっとだけ醤油を垂らして食べるとパリッと味の輪郭がはっきりします。
お供のスープは出汁に醤油に油が少々。おそらくそばだしなのだろうけど、油の風味に胡椒をちょっとかけると不思議。ラーメンスープのようになる。味のフライをお供にもらい、お腹も満ちた。ありがたい。

 

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コメント

  1. 食欲

    私もちょっとしっとりの昔の喫茶店で出されていたような”焼き飯”が好きです。安物のかまぼこには是非入っていて欲しい! 
    化学調味料はいつの頃からか悪者あつかいされていますが、使うと格段においしくなる料理ってありますよね。私は焼き飯、卵焼き、卵かけご飯、酢の物、おしたし、お漬物には必ず使います。ちょっと入れるだけで旨みが加わって、塩気の角がとれて、ほんのり甘味も増す。入れないと物足りない仕上がりになるんですよね。
    市販のめんつゆやだしの素の化学調味料の味ってなんか好きじゃないけれど、いわゆるパッパと振りかけるあれは好きなんですよねー。入れすぎは厳禁ですが。

    • サカキシンイチロウ

      食欲さん
      昔は化学調味料に対して無邪気なほどに無防備でした。今日の漬物はキラキラしているなぁ…、と透明な結晶がきゅうりの上に踊っているところを愛でたり、家のスープは化学調味料と醤油でできるぜって言い切るラーメン屋さんがあったりしたものですから。
      今や無化調と聞くと無防備においしいと信じ込んでしまう風潮の中にあって、化学調味料は絶対悪のように思われてしまう。でも使い方次第だと思うのです。
      化学調味料だなぁ…、と思って、気持ちが悪くなってしまうこともあればこれならしょうがないなぁと思うコトもある。扱い方次第で、隠し味にもなればすべてを台無しにしてしまう。そのことをわかった上で使われる化学調味料はシアワセとここの焼き飯を食べて思いました。
      チャーハンもおいしい、焼き飯もおいしい。
      多彩であることはなんてステキなことなんだろうと思います。

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