弱火でコトコト、おかかの出汁しゃぶ

夜、ひさしぶりに新宿の「おかか」に来る。
何度か以前に来たことがありいろんな意味で感心させられている。お客様として、飲食店のコンサルタントとして本当によくできた店だなぁ…、って思って来るたび、その感心が深まっていく。
おかかと出汁がテーマのお店。削りたてのおかかが木箱に入ってやってきてそれをつまみにしてください…、と。おかわり自由というのがステキ。
コースをたのむとまず茶碗蒸し。上に出汁をかためたジュレがのっかりそれに続いておばんざい。おかかをたっぷりのっけたサラダやあおさをまぜて焼いただし巻き卵となにを食べても出汁のおいしさにウットリします。

出汁の原料はおかかです。
添加物を使わず仕込んだ上等な節を削った鰹節。
自然な旨味と最後に残る軽い酸味がなんともおいしい。食べても食べても、口やお腹を重たくすることがないのがうれしい。

その繊細な味わいにあわせるように…、とお茶を使った飲み物に創意工夫がなされてる。
ほうじ茶だったり麦茶だったり、お茶を割り物にして焼酎や洋酒をわったカクテル風のお酒が何種か。
中でも感心したのが抹茶とラムを割ったもの。
ラムをお水で割ったところに、目の前で茶筅でたてた抹茶を注ぐ。
途端に抹茶の香りがテーブルの上にフワッとたって喉をならさす。
飲むと一層抹茶の香りがおいしくかおる。しかもラム独特のカラメルっぽい焦げた香りが抹茶にまじり、その香ばしさが一層引き立つ。
ここでこの飲み方を体験して、その翌日にラム酒をかって家でも抹茶で割って飲んでた。それほどおいしい、お気に入り。

メインの料理は出汁しゃぶです。
木枠をつけたテーブルコンロが用意され、上には真鍮製の鍋が置かれる。
口が大きく広がったピカピカ光るキレイな鍋。
そこにとくとくと出汁が注がれ温められる。
湯気がふわりと立ち上がる。
その頃合いで器に出汁を注いでどうぞと、最初の味見。
スッキリとした旨味とほのかな甘みに酸味。
上品にとられた出汁で、たしかにおいしくゴクゴク飲んでしまいたくなる。
その出汁の中にドサッと鰹節をたっぷり加える。目の前で追い鰹節で出汁を整えて行くのですね。おかかを入れたらそれをさわらず弱火でじっくり熱を通して煮出してく。
おかか全体が出汁に浸かっておいしい香りを発し始めたところで網を鍋にくぐらせ持ち上げて、お玉で押さえて搾り出す。
それを何度も繰り返し、鍋の中がキレイになったところで一杯。器に移してゴクッと飲んだ。
ビックリするほど出汁が濃くなり、しかも荒々しさを手に入れてそのまま飲むよりここで素材を煮込んで食べたらおいしくなるに違いない…、と直感できるよき鍋の出汁。

鍋の具材は豚ロース肉と豚バラ肉。それから野菜。
野菜はたっぷり、しかも多彩で白ネギにネギ、九条ネギ。細切りにした大根、ニンジン。オカヒジキやらレタスにカーリーリーフ、ツルムラサキ。しめじにえのきに分厚いキクラゲ。
大根、ニンジン、きのこは最初に鍋に入れ、他の野菜は煮るのではなくしゃぶしゃぶしながら食べてください。野菜、豚肉はおかわり自由ですからいつでも、お申し付けくださいね…、ってうれしいサービス。
出汁で炊いたりくぐらせたりする。
だからタレは使わずそのまま。風味を変えたいときにはと、煎り酒と柚子胡椒が用意されててそれらを使って味わい食べる。素材の持ち味がそのままおいしく食べられるのが、うれしい食べ方。ちなみに鍋をかけたコンロの火は弱火。決して沸騰させぬようほどよき温度で鍋の中身は心地よさげ。豚肉なんて野菜の上に浮かべてしばらく泳がせると、シットリ仕上がり食感もよい。おゴチソウ。

野菜も肉も一度おかわり。それで十分お腹いっぱい。しかも野菜をたっぷり食べられたのがなんだかうれしい。
〆に蕎麦。あらかじめ固めに茹でて〆た麺を竹のザルにいれ出汁にくぐらせあっためる。鍋の中の出汁をかけ、おかかと一緒にずるんと食べるとなんとおいしい。あおさを混ぜて握った小さなおむすびにたっぷりおかかと、食事の最初から最後までずっとおかかのお世話になった。
出汁をゴクゴクのみながら、お腹も体もあったまる。
ほうじ茶のプリンでお腹に蓋をする。ちなみにこの店、お酒もソフトドリンクもほどよき値段で、しかもソフトドリンク+100円でアルコールを入れて飲むこともできますなんて、たのしいシステム。ますます感心、お気に入り。

 

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