帝国ホテルのはまの屋パーラー

hamanoyahamano menu昨日のコト。
はまの屋パーラーが帝国ホテルの中に2号店を出したんですよ…、とブログにコメントもらってビックリ。

だって一時期、存続すら危ぶまれたお店であります。
いつ終わってもおかしくないほどひなびたお店。
場所そのものがしおれたようなオフィスビル地下。
開業当時からのシニアスタッフがゆったりとしたムードで営業してたのだけど、4年ほど前に彼らは引退。
しばらく休業ののち、若い人たちがそのままそれを引き継いで、創意工夫をしながらもかつてのひなびた風情、何より商売の仕方を変えずガンバっていた。

閉店直前のあの熱狂。
お店の外まで行列ができてみんなが閉店するのを惜しんだものです。おなじみさんで出来上がっていた店。
それがあらたなスタッフで再開された時の期待と不安。大繁盛だったかというとのどかな営業状況がそのまま続いいた。
だからなんとかそのまま残ってほしいなぁ…、と贔屓しなきゃと思える危うさに、ガンバって!とボクもしばしば足を運んだものでした。

hama coffeeそんなお店が2号店を出す。
それだけでもビックリなとこ、なんとその場所が帝国ホテル!
こなきゃいかんぞ…、と思って来ます。

で、本当に帝国ホテルの新館タワーの4階にお店があって仰天します。
しかも宝飾品や高級化粧品店のエステサロンが並ぶフロアの奥の奥。そこに至るまでの通路に敷き詰められた絨毯なんて、ボヤボヤしてると足を取られるほどにふかふか。お店も相当、立派です。

座り心地の良い椅子としっかりとしたテーブル、そしてカウンター。そのカウンターの中にはレコードのターンテーブル。コーヒーをハンドドリップするための小さなステージ。奥に厨房。サンドイッチをたのむも、それを作っている気配がなくて、良くも悪くもこだわったコーヒーを静かに「頂く」ための空間。いろんなコトを考えたくなる微妙な場所です。
家賃がさぞかし高いんだろうなぁ…、とか。誰か賢い人がお金をたっぷりつけたんだろうなぁ…、だとか。

hamanoya sandhama sandsあのしおれた場所を一生懸命守っていたから、特別に贔屓な気持ちを発動できた。それがこんな場所に店を出されちゃ、これからどんな気持ちで付き合えばいいんだろう…って、ちょっと切なく、なやましく。

飲食業で生きていくって、こういう工夫をしなくちゃ今やいけないんだ…って、わかっていても、その現実をここまで見事に見せつけられるとなんだか気持ちが酸っぱくなっちゃう。

玉子のサンドイッチとハムのサンドイッチをトーストにしてもらって、半分半分盛り合わせ。いつもの注文。
おお、そうだった。ここではサンドイッチじゃなくて、サンドゥイッチだったんだってメニューを見ながらそう思い、それらそれぞれが180円づつ1号店に比べて高い値段設定に、しょうがないよな…、ってしんみり思う。

hamaサンドイッチの出来栄えは相変わらず見事なものです。
焼いた卵で作るサンドイッチの世界において、この東京では最高峰。
何より焼いた卵を邪魔せぬ薄さと、痩せた風合いのパンとの相性抜群で、真似て作ってもなかなかこうは仕上がらない。
しかも乾いて仕上げたよく焼きトーストを壊さずザックリ。しかも食パン一枚を四切れ分に切り分ける。
見事な手際にウットリします。

ただ、ハムサンドのハムが少々分厚くなった。
180円分の厚みでしょうか。
そういえば玉子の色も黄色み強くて、そこにもコストをかけたのかなぁ…って、思ったりする。
ならばハムと玉子を一緒に挟んで、ゴージャス仕立てにすればもっとおいしくなるんだろうか…、って思って試してみるもそれではバランス崩れてしまうのですね。
サンドイッチとは不思議な料理。
欲張ればいいってもんじゃないんだ…、って、再びウットリ。
コーヒーも目の間でハンドドリップされるとちょっと上等味に感じちゃうのがオモシロイ。

大々的に宣伝をしたわけでもないのに、かなりお客様が入っていました。ただ一号店に多い打ち合わせをかねたサラリーマンの姿はさすがにココにはなくて、おしゃれマダムが目立つ店内。
場所柄ですから、当然ですか。
だから喫茶店というよりカフェな感じがするのもしょうがない。
サンドイッチにコーヒー飲んで1250円という値段もココが帝国ホテルのテナントだ…、って思うとしょうがないかもしれず、だったら本館のランデブーラウンジでエビフライのサンドイッチを食べればいいか…、って思いもします。
ちなみに営業時間が11時から。朝ご飯を食べられるのは一号店の方だけだから、今までどおりそっちに行けばいいんだよねと思って帰る。そんな店。

コメント

  1. RHEIA

    むしろ180円で具材がちょっぴり、ハコががっつりグレードアップしたと思えばさほど悪くないのでは。
    料理の腕を落としてない分、よしとする…と私は思います。
    帝国ホテルに鄙びた雰囲気までは要求できませんけどね(笑)。

    時々疲れると、ホテルのラウンジでひとりお茶してのんびりしています。そういう使い勝手のあるお店だと、私的には嬉しいです。今度出かけてみます。ありがとうございます。

    • サカキシンイチロウ

      RHEIAさん。
      帝国ホテルという場所にあって、その格式に一歩も引けをとらない実力には感心いたしました。
      ユックリ、話をしながらサンドイッチをつまむのであればココ。
      ただただひたすら、サンドイッチを味わうのならば一号店。そんな使い分けができればいいのかもしれませんね。

  2. すうさん

    早速いらっしゃったのですね。
    でもあまりお気に召さなかったようで・・・お店の方はいろいろ挑戦してみたいのでしょうね。ここは以前マイセンのカフェでなんとなくその流れを汲む感じになっちゃったのでしょうか。
    榊さんの気持ちもわかります、私もエビフライサンド大好きですし(^^ゞ

    • サカキシンイチロウ

      すうさんさん。
      いろいろ考えさせられる経験でした。
      別にココでなくても良かったろうなぁ…、と思いましたし、ホテルという場所がもっている良い面と悪い面を天秤にかけると、ちょっとなぁ…、って思わされました。
      エビフライのサンドイッチに添えられたチップスの入念にして丁寧なこと。ちょっとやそっとでは超えられないモノってあるんだよなぁ…、とも。
      有楽町の一号店だけがボクにとってのはまの屋パーラーと勝手に思うことにいたしました。

  3. 匿名

    はまの屋さん、受け継いだのがドトール創業者の息子さんの会社だとか。
    それなりの資本力があってこその帝国ホテル出店かもしれません。
    はまの屋ファンとしては、廃業したお店をそのまま引き継いでくださった事に感謝しています。
    一種の文化事業みたいなものと勝手に解釈しています。

    • サカキシンイチロウ

      はまの屋さん。
      そのようですね。
      かつては、普通の人が情熱をもちさえすれば作ることができた喫茶店。
      今では裕福なスポンサーがつくか、ビジネスモデルの中に収まっていくかでなくてはなかなか継続することができなくなってしまったということが、ちょっと寂しいですね。
      寂しいけれど、残してくれるだけよし…、としなくてはならない。喫茶店のコーヒーと同じように酸っぱい現実とも思います。

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