小松庵の生粉打ち三昧

昼、新宿の高島屋の食堂街にある「小松庵」でそば。
小松庵という名前の蕎麦屋がいろんなところにあるからでしょう…、正式名称「小松庵総本店新宿高島屋店」なる少々大仰な名前で、でもその何恥じぬ実力派。
東京の街に好きな蕎麦屋は数知れず。一口で蕎麦といってもその風合いに食感、味わい、香りはお店それぞれで優劣をつけるなんて野暮なことはできないゴチソウ。けれどひとつお膳の上にボクが蕎麦屋で食べたいものがほとんどすべて並んで一度にやってくる。注文するのに悩まなくてすむというコトにおいてはココの「生粉打ち三昧」に勝るモノなし。
せいろにゴマダレ、熱い汁そば、天ぷらまでもが一度に揃い、しかも蕎麦は十割蕎麦。量もほどよきマダムポーション。虫養いにほどよい感じ。

ツルンとしていてみずみずしい。けれど唇や舌は軽いざらつきを感じる麺線。それがたっぷりタレを口へとたぐりよせてくる。
香り豊かな蕎麦でもあります。ほんのちょっとだけタレに浸して食べると蕎麦の香りや風味が力強く口に広がり、たっぷり浸してわさびをのっけて味わうと、出汁やかえしの甘み、酸味が口を潤す。オゴチソウ。
用意されている薬味は3つ。わさびにネギ、それから小さなサイコロ状にしたきゅうりで、きゅうりはゴマダレと一緒に味わう。
ゴマダレ独特の濃厚な味や旨味をみずみずしいきゅうりが引き立ておいしくさせる。シャキシャキ砕ける感じもさわやかで、生粉打ちそばとの相性も良い。ボクも冷たいぶっかけ蕎麦を作るときにはネギじゃなくってきゅうりを使う。オキニイリ。

熱い汁そばは鴨南蛮。
若い頃には鴨が苦手でしょうがなかった。
血の匂いといえばいいのか、レバーっぽい味といえばいいのかちょっと生々しくてあまり食べようと思わなかった。
ところが50も後半になった頃からでしょうか…、嫌いだった部分が気にならなくなり、むしろときおりなつかしくなる味となる。

大人になるとは素敵なコトで、今日も鴨の脂の香りにニッコリしながらズルンとそばをたぐって食べる。
熱いそばはねっとり粘る。蕎麦独特のゴジゴジしたような食感も、強い香りも容赦なくこれぞ蕎麦の醍醐味だ…、ってズルリズルリと味わい食べる。

鴨のお供といえばネギです。太いネギを太いままこんがり焼いて表面ザクッ、中はトロンとやわらかで香ばしくって甘くて旨い。鴨の脂をスッキリさせるのもまたゴチソウ。
それからココの七味が旨い。粗く刻んだ赤唐辛子に胡麻が強めに入ってて辛味も風味も個性的。それを蕎麦にパラッとふりかけ焼き塩ほどこしズルンと食べる。蕎麦の旨味が甘みにかわり、七味の香りで味が整う。鴨南蛮にも七味をパラリ。ズルン、スルンとそばをたぐってすべての蕎麦がお腹に収まる。
ぽってりとしたそば湯をタレに注いで飲んで、お腹あっため〆にする。今日も満足、また来よう。

 

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