天丼にプリンアラモード

新宿西口のメトロビルにある天ぷらつな八のイートイン。
通常のテーブルサービスのつな八の入り口脇に通路に面してカウンター。背当てのないスツール椅子が並んで、メニューは天丼だけ。
かつては普通の天丼、上天丼。上等な大きなエビを使ったエビ天丼と3種類メニューがあって、上天丼がいつもの定番。今は時節柄ということからでしょうか…、お好み天丼一種類だけになっちゃっているけど、その内容はかつての上天丼と同じものです。なつかしい。
その天丼は、専門店の職人さんが専門店の厨房で作る本物。上等だけど手軽な値段と雰囲気が好きだったのでしょう…、よく来てた。

ボクも好きな店だったけど、好きの理由はタナカくんとはちょっと違ってた。
彼が目の前で食べている表情だとか、隣で並んで食べてる気配を感じる機会は数え切れないほどあった。
けれど彼の食べる後ろ姿を見る機会はほとんどなくて、そのほとんどはこの店のこのカウンターに座って食べてる様子だったのですね。

ゆっくり食べる人だった。
それはファストフードの店でも立ち喰いの店のカウンターでも、そしてこういうせわしなくって落ち着かない場所でも同じ。
それに比べてボクは早食い。
いつも次の人が空席を待ってる人気の店だったから、食べ終わるとボクはすぐに席を立ち、後ろに立ってずっと彼が食べるところを見つめてた。
ちょっと背中を丸めるようにして、ひと口ひと口、噛みしめるようにじっくり味わう。その後姿から「おいしいよぉ」って逝っているのが伝わってくる。
こめかみが動くリズムに合わせて体が上下左右に動いたりする、彼の様子を見るのがとてもシアワセだった。

彼が好きだった天丼と言えば、もう一軒。
伊勢丹の食堂街の天一の天丼があったけれど、それは一緒に提供されるサラダや汁、漬物やあるいはサービス、雰囲気といった総合点での一等賞。
けれど天丼そのものの味で選べば、ここなんだよねぇ…、って言って食べてた。
だって椎茸がないってだけで点数アップだもんねって(笑)。
エビが2尾、キスに野菜の天ぷら2つ。今日はピーマン、かぼちゃ。野菜とエビの掻き上げがつきひと揃え。タレは甘みが控えめのスッキリとした仕上がりで、後口さっぱり。悪くない。
かき揚げのメインの素材が玉ねぎで、甘くてスベスベ。そこに季節の野菜が混じる。今日はなんとズッキーニ。そういうところが好きだったんでしょう。

尻尾の大きさに比べて大きなエビの天ぷらを見て、ボクは「伸ばし伸ばされ体以上に大きくされた上げ底天ぷら」って言って嫌った。それを聞いて「お客さんに喜んでもらおうと一生懸命背伸びしているって思えばかわいい」って尻尾もバリバリ食べていた。
そうだよなぁ…、そう考えればみんなシアワセになれるよなぁって思う。
そうそう、漬物にいつも高菜があった。高菜好きだったもんなぁ…、いろんなところに「彼の好き」が潜んでいたに違いない。今日はいつもに比べてじっくり時間をかけて食べます。おゴチソウ。

 

関連ランキング:天ぷら | 新宿西口駅新宿駅西武新宿駅

 

伊勢丹に用事があって移動して、用事すませてそうだ…、プリンを食べようと「リジーク」にくる。
メンズ館の中で一番浮世離れしたフロアの一角。会員制のサロンのような雰囲気が2人とも好きでそれでよく来てた。
お茶をたのしむ空間には、思わずおしゃべりしたくなるような雰囲気と、ただ一緒にいるだけで気持ちが通じるような気がする場所がある。
ここがそういう場所のひとつで、だから2人でただただぼんやりするために来ていた感じ。
ぼんやりのボクのお供はアールグレイのお茶とチョコ。彼はプリンで、今日はプリンを食べてみる。
どっしり硬くて苦いカラメル、ホイップクリーム。スライスアーモンドのサクサクとした食感やフルーツのみずみずしさや酸味がすべてプリンのためにあるオゴチソウ。なんだか太ってしまいそう(笑)。

 

関連ランキング:カフェ | 新宿三丁目駅新宿駅新宿西口駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。