天丼、天一、伊勢丹の昼
実は一週間前にも来ようと思って満席、行列で断念しました。
あまり混むことがない店という認識があって、それでのんびり先週は来た。
今日は開店とほぼ同時という時間に来て、それで次々、お客様が来てにぎわっている。このフロア全体の集客力があがったのか、それとも天ぷらという料理のニーズが高まったのか。
元気なシニアがメインの客層。
このフロアーで一番人気はイタリア料理のアジオで、そこはファミリー、あるいは女性同士のグループ客でいつも一杯。次の人気は寿司屋で老若男女を問わぬ客筋。それに比べて天ぷらは成熟世代のゴチソウで、そういう世代が元気で活発ってことなのかしらと思うボクももう57!
ちょっと変わった店の作りで店の中に中二階がある。
そこにカウンター。
中に厨房。
お好み天ぷらをたのしむ人は一段高いところに座る。
その分、他の店に比べてココだけ天井高いというのが気持ちいい。
ここではいつも天丼にする。
今日も天丼。ご飯少な目でネ…、ってお願いして待つ。おいしい油の匂いをかぎつつ、ぼんやり待ってやってくる。
どっしりとした豪華な器。陶器の丼は熱々で、中の温度が持続する。
しかも蓋付き。
金箔使いの器の模様が華やかで、器の中の温度を保つ役目以上の役目を果たす。
目にゴチソウで、しかも蓋をあけ器の中を確かめるたのしさくれる。
しかも蓋の中にご飯の湯気がたまってしばし、ご飯や天ぷらを蒸らすのですね。
天ぷら衣はしっとりと、揚がった直後のサクサク感はなくなるけれど、ふっくら感を手に入れる。しかも油の香りがご飯にうつって、「天ぷら+タレ+ご飯」以上のおいしい料理に仕上げてくれる。
ご飯の上にギッシリ天ぷら。才巻海老が2尾に穴子、キスにかき揚げ、椎茸にエビのすり身を詰めた真丈。アスパラガスでひと揃え。才巻海老はムチュンと歯切れて、甘みを強く残しつつ尻尾までもがカリリと揚がる。天ぷらの華はやっぱりエビだわい…、とウットリしながらパクリと食べる。
エビにはいろんなサイズがある。
サイズに合わせてそれぞれ一番おいしい食べ方があるんだろうと思うのです。
大正海老は尾頭つきでエビフライ。
中指ほどの大きさのエビはそのまま湯通しで。
小さな芝海老はかき揚げだろうし、人差し指ほどの大きさのエビはこうして天ぷらにする。
甘さ、味わい、香りに食感。衣をまとって存在感が増す上に歯ざわりよさが際立つおいしさ。
今日の穴子は分厚くふっくら。
キスのザラッとした食感が衣と一緒になるとスベスベ感じる不思議。
芝海老をたっぷり使ったかき揚げは、タレにまみれてしっとり甘い。アスパラガスはまるで茹でて仕上げたようななめらかさ。
どれもそれぞれおいしくて、ココの天丼のネタの中でひときわ好きなものが真丈。椎茸のムチュンと歯切れる食感を引き立てるような海老真丈。そちらもムチュンと粘って歯切れ、口の中にエビの香りを吐き出すおいしさ。
サラダがつきます。レタスがメインのシンプルサラダで、そこにかかったドレッシングがおいしいのです。生姜の香りがさわやかで醤油っぽくなく、なのに日本的。口の油をさっぱり拭うような味わい。天ぷらのお供にピッタリ、感心します。
漬物3種。しじみのお汁はずっと変わらずもう何十年も同じ状態。天ぷらのような伝統料理は、変わらぬコトが最高のもてなしなのに違いない。
それにしてもいつも感心するのがココのご飯の炊き方。ちょっと固めでホツホツしてる。それが天ぷら衣の油とタレをまとって口の中を転がるような心地よさ。控えめご飯のお陰で全部、キレイにお腹におさまりました。また来よう。
サカキさん、こんにちは!
この金彩のおどんぶりがステキですね~
そして(いつもながら)臨場感あふれる表現!こちらもすっかり天丼をいただいたような気持になりましたよ~
都心のデパートにはたまに出かけますが、食事をどこでいただこうかと、とても迷ってしまい、結局つまらないものになっちゃたりします(笑)
天一は好きですがごぶさただったので、この次はぜひ行ってみますね~
Noteさん
街に出て、何を食べようかと迷い始めると結局、なんでこんなものを食べちゃったのか…、ってものを食べるはめになる。
わかります!
ボクは「自暴自棄」という言葉は街をさまよい歩きすぎて、不本意なものをすすんで選んでしまう心境のためにあるのだと思っています(笑)。
天一さん。間違いないです。いつも同じ状態であってくれるということがありがたい。