天一の天丼

伊勢丹の食堂街の天一にくる。
新宿界隈だけでも数軒の天一がある。どこもほとんどメニューは同じで、けれどボクは伊勢丹のココがとりわけ好き。
店の大きさ。雰囲気、空気。
高い天井を利用して6段ほどもあがったところにお好み天ぷらを揚げるカウンターがしつらえられてて、そこから天ぷら揚げる音とか香りとかが漂ってくるというのもステキなところ。
真っ赤な塗りのテーブルに灰色の椅子。赤いテーブルの色が紙ナプキンや食器の白をピンクに染める。座った人の顔も明るい桃色になってくような気がするところもまたステキ。ずっと変わらぬクラシックな黒いユニフォームに白襟のシャツ、白いエプロンってユニフォームもいい。オキニイリ。

特製天丼をえらんでたのむ。
天ぷら定食はあまり好きでなく、天ぷらは酒を飲む肴かあるいは蕎麦のお供。
そうでなければ天丼と思っております。到着す。

どっしりとした丼一個。お供の鉢に汁がお膳にキレイに並ぶ。
中に収まる天ぷらを崩さぬように壊さぬようにという配慮でしょう。丼の蓋が少々斜めになっているのがおいしそう。
すでに天ぷら油のおいしい匂いや、丼たれの甘い香りややってくる。蓋を開けると中にぎっしり天ぷら数々。どれもが丼たれをまとって色黒。エビに穴子にアスパラガス。キスにしいたけしんじょ、小さなかき揚げが天ぷらの下に隠れて食欲さそってくれる。

お供を飾る料理をチェック。
まずは漬物。
紫蘇で酸味と香りをつけた薄切り大根。
刻んだナッパに集めに切ったたくわん二枚。
どれも味わい控えめで、歯ざわりがいい。天ぷら油で疲れた口をスッキリさせる。

それからサラダ。
レタスの葉っぱに薄切りにしたレッドオニオン。
そこにたっぷりドレッシングをかけているのだけど、このドレッシングがとても独特。
生姜の風味がしっかりしていて、酸味よりも旨味が強い。
何味か…?って聞かれると答えに困る。他に比べるドレッシングがなくて強いて言えばアメリカの日本料理のお店ででてくるジンジャードレッシング。日本風というよりどこかオリエンタルな感じがするのがオモシロイ。
汁は赤出汁、しじみ汁。酸味の強い赤味噌に出汁の旨味にしじみの風味、それから渋みがかさなりあってどっしりとした濃厚味に仕上がっている。天ぷらに立ち向かうにはこのきっぱりとしたメリハリのある汁がおいしい、ありがたい。

ご飯を食べようとすれば天ぷらをなにか一個、動かす必要にみまわれる。エビを一本。天ぷらの上に場所を移してご飯をパクリ。
甘さと辛みのバランスがほどよくとれた丼たれで、そこに衣の油が混じる。熱々のご飯はパラリと硬めの仕上がり。油混じりのタレをまとってご飯がカラコロ、口の中を転がる感じがおごちそう。
むっちりとしたエビは甘くて弾力たのしい。穴子は衣と一緒にサクッと歯切れてジュワリ。おいしい脂が口に広がる。
キスはねっとり、若干ざらつくような食感独特。
いくつもの天ぷらの中でも特別好きなのが、しいたけしんじょ。分厚いしいたけの傘の裏側にエビのすり身を詰め込んでさっくりあげて、むっちり食べる。小エビと小柱のかき揚げもおいしくやっぱり天ぷらの華といえばエビなんだなぁ…、ってしみじみ思う。エビの尻尾もカリッと食べて、お腹も満ちた。オキニイリ。

 

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