夜もいいね…、No.4

夜、気になっていた店を訪ねる。市ヶ谷にある「No.4」というレストラン。
先日、朝やってきて、あぁ、いい店だなぁ…、って思った。
オフィス街の中にあって大きな敷地。プレハブで作った山小屋みたいな造りで、決して贅沢じゃない。けれどとても居心地がいい。ベーカリーオーブンやピザ窯が置かれた厨房。入り口脇にはパンが並んだショーケース。実用的で、なのに座り心地のよい椅子、テーブルが整然とならんだカフェのようでいて、食堂的なる気軽な空間。
この都心にこういう空間があること自体がとても贅沢。夜に来るのは初めてで、お茶を飲む人、お酒を飲む人。そして食事をたのしむ人と自由なムード。大人の、都心のファミリーレストラン…、そんな感じがなんともステキ。

クラフトビールが売り物のひとつ。
この店をやってる会社の共通の特徴で、でもこの店のカジュアル感はビールがぴったり。
グラスワインをたのむと、足のついていないグラスで提供されるところも気軽でたのしい。会話がはずむよき提案。スターターから2種類たのむ。
ひとつはファラフェル。
ひよこ豆をハーブ、スパイスと一緒にまとめて揚げて仕上げるアラビア由来の料理で、アメリカで20年ほど前に一度ブームになった。
サワークリームのディップにつけて食べるとコクがまし、クミンシードの風味も豊かでこれがほとんど豆だとは思えぬどっしりした味わいがある。
日本でも提供する店が増えたけど、ココのファラフェルがサイズ、食感、味わいとボクにとっては理想的。

ミートボールも一緒にたのんだ。ナッツをたっぷり中にくわえたふっくらとした食感で、丸いハンバーグというよりも肉のつくねのようなやさしい食感。
トマトソースで煮込んで上にたっぷりチーズ。
酸味がさわやかなトマトソースで、ミートボールにたっぷり乗っけて食べるのだけど、器にそれでも沢山残る。お店の人が、「ソースのためにパンをお持ちしましょうか…」って。パンのためにというフレーズがステキでもらう。そしたらバスケットに3種類のパンをギッシリ。ココで焼いてるパンで、ひとつひとつを丁寧に説明してくれるところがウレシイ。まずパン・ド・ミを器に入れてソースをたっぷり含ませ食べる。メインディッシュがやってきます。

ひとつはカジキマグロのグリル。
カジキ自体はオリーブオイルと塩だけで、脂の甘みとカジキそのものの旨みを引き出し仕上げてる。
がっしりとした噛みごたえのある食感が、魚というより鶏の胸肉を食べてるような気持ちにさせる。
サイドに白いんげんのオリーブオイルにを添えて、バジルソースをたっぷり装う。

白いんげんが大好きで、だからこの料理…、案外豆がメインで魚がそれの付け合せって感じに思える。それもよし。
もう一種類はハンガーステーキ。ハンギングテンダーという部位を使って焼いたステーキで、日本的に言えばハラミ。横隔膜を支えるようにぶら下がっているから「ハンギング」。

かつてそこは内臓で、「肉」ではなかった。だから高い関税を免れ安く仕入れられた部位だった。ボクが若かった頃、安いステーキはほとんどハンギング。でも今みたいに保存状態が良くなかったから内臓臭がしたものでした。
今ではそれも嘘のように、独特の風味のある旨みたっぷりの部位として認知されるようになってる。今日のハンギングの状態も見事なもので、ざっくり歯切れる食感といい、噛むとジュワリと肉汁がほとばしり出る状態といい、肉を食べてるって実感のある見事な味わい。
付け合せの小さな芋のローストも熱々、口をやけどするようなおいしさでペロリと全部を平らげる。おいしかった、失礼します…、と言ったら残ったパンをササッと包んでくれてお土産にって。いい店だなぁ…、ってしみじみ思う。オキニイリ。

 

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