夜は短し歩けよ乙女

映画を観ました。
「夜は短し歩けよ乙女」という長編アニメ。
原作を書いた森見登美彦の「四畳半神話大系」という作品が7年前にアニメ化されてて、不思議な魅力をたたえた登場人物たちが繰り広げる奇想天外な物語にいささか惹かれた。
その作品の登場人物が乱入してくる続編のようでいて、けれど独立した不思議な作品。

京都という豪奢で魔的な魅力に満ちた街が舞台です。
おそらく京都大学生でしょう。
頭はいい。
けれどすべて、頭で納得しないと行動できない。
破綻を嫌い、結論をさきまわりして決めつけてしまうから冒険ができずにグズグズしている冴えない男子学生が主役のひとり。
彼が無邪気で豪放。
人を信じる力に満ちた女性に恋をしてしまう。
恋することはできるけれど、告白できずずっとウジウジしているのです。
その2人が、結果、愛を獲得するまでの「一夜」を描いた物語。

ただ、本当に2人の恋は成就するのかと心配になってしまうほど、話がのらりくらりと脇道を歩いていきます。
酒を飲むってステキなことだなぁ…。
しかもおいしそうにたっぷり飲む。
ただ飲むのじゃなく、飲み歩く。
飲み歩きながら、いろんな人との出会いを得るって、昔は普通のコトだったのに今ではほとんどないたのしみになっちゃったって思わせるサイドストーリー。

人が恋に落ちるコトに理由などなく、偶然を必然と思える才能のあるなしが恋に上手か下手をわける唯一のコト。
そうにんまりさせられる一遍がミュージカル仕立てで語られる。

のらりくらりと話は進み、けれどその脇道に出会った「縁」のひとつひとつが2人の恋にまとまっていく。
「縁」を大切にする気持ち。これが「縁」だと感じる力。今の日本にもしかしたら一番必要なことなのかもしれず、例えばSNSでつながることが縁と感じてホっとする。そんなコトでは駄目なんだって、考えさせられ、笑ってちょっと泣きました。
いい映画です。頭でっかちでいることよりも、気持ちに素直に生きること。人間的であることが大切なんだと思い出させてくれるステキがオキニイリ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。