夜は短し、ハシゴのクマモト

熊本に来る。水前寺公園の近くに「五郎八」という居酒屋があり、取りづらい予約が奇跡的にとれたんですけどいかがですか…、と誘われやってきてみる。
入口部分を見ると暗くて古くて小さい。ガラスの扉から中を覗くと厨房の前にカウンター。小上がりテーブルと20人ほどで満席しちゃうようなお店に見えたんだけど、中に入ると奥に大きな客席がある。
すでにほとんど満席で、みんな豪快に飲んでいる。壁に設えられた棚にはズラリとキープボトルの一升瓶の焼酎が並んでいたりするのが壮観。作業服のおにぃさんにカップル、友達同士のグループ客やサラリーマンとお客様は雑多で愛されてる店なんだなぁ…、って思う。ちなみにお店の名前はゴロハチじゃなくて「イロハ」と読むのもオモシロイ。

レモン酎ハイをたのんで飲みます。
焼酎濃いめで、レモンも強め。ゴクリと飲むとキューンっとお腹が一瞬縮み、たちまちフワッとあったかになる。
温度も冷たく、炭酸分もバチバチしてる。
酒が旨いってステキなコトです。

お通しでってやってくるのがぶつ切りキュウリ。
味がついていますから…、って食べると確かになつかしい味。
塩と化学調味料がバッチリきいた、昔のご家庭的なる味です。
キュウリ自体はみずみずしくて、緑の香りがとても鮮やか。乾いた喉が潤うようで、口がしっかりリセットされる。

酒の肴でちゃちゃっとできる、今日のおすすめが明太子。たのむと表面こんがりやけて、けれど中はほぼレアという絶妙加減。塩の具合がちょうどよく確かに酒の肴にピッタリ。

馬がおいしい店だといいます。まず馬ホルモン。甘めの醤油で焼いただけ。なのにこれが旨いのですね。さっぱりとした脂がジュワリと口に広がり、不思議なことにササッと舌から消えていく。焼けた脂の香りは残って、次の一口ねだるおいしさ。
刺し身も旨いと、馬刺しをたのむ。
キレイな赤身で口溶けがよい。癖なく、噛むと旨みが広がるスッキリした味。つける醤油は甘くてコッテリ。刻んだニンニク、生姜で風味を整えてスライスオニオンを巻いて食べるとシャキシャキネットリ、食感ニギヤカ。いくらだって食べられちゃいそう。
感心したのはモヤシ炒めで、健康的な豆もやしをラードと醤油で炒めただけ。なのになんでこんなにおいしんだろうって笑っちゃいます。オキニイリ。

 

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ひさしぶりの熊本があまりにたのしくハシゴをたのしむことにする。
中心街に車で戻り、銀座通りという飲食店があつまるエリアで飲みなおし。
「瓢六」というおでんがおいしい気さくなお店にやってくる。
いつもは予約をしないとすぐには入れぬ人気の店で、けれど今日はなぜだか街が静かですんなり店に入れた。
まずはおでんの盛り合わせ。
おまかせでってお願いすると、大きな丼にドサッとあれこれ。練り物、豆腐にゆで卵。しらたき、ゲソと味の出やすい素材がたっぷり。
しかも馬のすじが入っているのが熊本おでんの特徴で、そのため味がかなり濃厚。ただ今日はいつもよりもちょっと上品味になっていて、多分、昨日は日曜日。今日からおでんを炊き上げはじめだから煮汁がまださっぱりとしてるんでしょう。週末に向けてどんどんおいしくなるに違いなく、それでもおいしくたのしく食べる。

刺し身もおいしいところを盛り合わせ。一人前でいいですよ…、ってお願いしたらその一人前のたっぷりしていることにビックリ。10種類ほどの魚がキレイに並び、どれもおいしくお酒が進む。中でもタコのおいしいコト。噛めば噛むほど口の中に旨みが広がる。オゴチソウ。
穴子の照り焼きをたのむと、海苔とキュウリと一緒にくる。ほどよきサイズの穴子をパリッと甘辛味に照り焼きにしてキュウリと一緒に海苔で巻いて味わうというもの。しゃり抜き穴きゅうという趣向。穴子も旨いが海苔が旨くて口に広がる磯の香りにウットリします。河豚の唐揚げを指しゃぶりつつ味わって、そろそろ〆るかとまたハシゴ。

 

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皿うどんを〆にする。
「桃源」という小さなお店。
時間は11時すぎというのに、お店の中は飲んだ帰りでありましょう…、ゴキゲンな表情のサラリーマンでニギワッている。
皿うどんと太平燕。
皿うどんといえば塩や豚骨、鶏がらスープで仕上げる長崎流が有名だけど、ココは甘い醤油で仕上げた熊本流。豚肉にゲソ、キャベツやモヤシが太いゆで麺と一緒に炒められていて、上海焼きそばみたいな風合い。炒め脂のラードが旨くて、食べると太ると思いながらもモリモリ食べちゃう。
太平燕は野菜たっぷり。千切りにした野菜の合間に春雨が混じってる…、って感じがやさしく、塩の旨みとスープの風味、野菜の甘みで味わい深いスープができる。皿うどんで口を脂まみれにしながらスープ。お皿と丼の間を行ったり来たりしながらお腹を満たして気持ちもあったまる。秋になっても夜は短し、お名残惜しや。

 

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コメント

  1. comfort

    あ~~っ!悶絶しそうです。

    福岡から熊本へは車で一般道を寄り道しながら3時間ですが
    途中、温泉は沢山あるし時間が許せば久住/阿蘇にも行けるし
    ドライブコースとしては大変楽しい地域ですね。
    馬刺の販売店も多数あり私も行きつけの店がいくつかあります。
    本当は直営レストランで食べたいのですが、
    やはりお酒が欲しくなりますし、そうすると車はダメ。

    思い切って泊りがけで行くかな~?

    • サカキシンイチロウ

      confortさん
      九州は電車移動が不便で、ただ高速道路網が充実しているので車で移動したくなるところ。
      なのに酒をねだる料理が多いのですよね。
      しかも酒そのものがおいしくて、おそらく空気や水がいいのでしょうネ…、いくら飲んで飲み足りないような気持ちにしてくれる。
      だから今回の旅のように、地元の方が車を出して運んでいただける旅はこの上も無きシアワセな旅。ありがたいなぁ…、と感謝するばかりです。

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