在庫が泳ぐ…、漁まの秘密
昼、ひさしぶりに「漁ま」に来ます。
魚とご飯がおいしい和食レストランとしてすっかり認知を得たお店。週末、休日には行列ができるほどの人気になって、それで同じ業界の人たちも関心を持ち視察に来るようなお店になった。
業界の人たちは一様に首をかしげます。果たしてこれで儲かるんだろうか?…、って不思議に思うのです。
不思議の理由は、店の真ん中に大きく作られた生け簀の存在。業界の常識はこう…、生け簀はあくまでお客様へのサービスで、儲けを喰ってしまう厄介者。見せ場として作るのはいい。けれど魚をたくさん泳がせてしまうと、ロスになってしまうんだ…、って。
そういう店は大抵、死にそうに弱った魚が元気なさげに泳ぐさみしい生け簀や水槽になってしまって、見せ場のつもりがマイナスの見せ場になっちゃうことになる。
不思議なことにそういう店の厨房の中には、仕入れた魚が用意されていたりする。
場所は大抵冷蔵庫。
中には冷凍庫の中で凍っていたりさえするのです。
生け簀で泳ぐ魚と、在庫としての魚は別物。だから別の場所にある…、ってなんたる不合理。
ここの厨房の冷蔵庫の中にはほぼ魚はおかれていない。
生け簀で活かすことができない大型魚のようなモノだけ厨房の中に置かれてて、それ以外の魚は生け簀で泳いでる。
つまりお店の真ん中の生け簀は「活きた在庫が泳ぐショーケース」…、であるというわけ。あとは生け簀の中の魚が元気なうちに売り切る努力と、いつも生け簀をニギヤカにさせるだけの仕入れを続ける勇気が必要なだけというのが、ココのからくり。とてもシンプル、合理的。
刺し身の盛り合わせがメインの御膳をたのむ。
大きなお膳にズラリ料理が並んでやってくるのが圧巻。
盛り上がる。
一人前ずつ羽釜で炊いた炊きたてご飯がついてくる。
昼のお客様のほとんどすべてがご飯をたのむ。
だから昼の開店と同時にご飯をまずは炊き始めます。
だから時間かからず出来上がる。ランチタイムの間はずっと常に炊きたて状態が続くというのがおいしい工夫。
炊きたてご飯はやっぱり旨い。しかも刺し身と一緒にたべておいしいようにお米自体や炊き方が最適化されているから、なおさら旨い。感心します。
御膳料理にはメインの他に天ぷらがつき、汁に小鉢に茶碗蒸し。漬物に味噌とご飯のおいしくするものがズラリとならぶ。
天ぷらは野菜がタップリ。サクサク揚げたて。大きな器にタップリはいってやってくる味噌汁の中にはワカメがたっぷり入り、出汁の旨味と味噌の風味とコクがおいしい。味噌汁すらもがご飯のおかず。
活け〆のブリブリゴリゴリした刺し身。鯛にサーモン、鰤と味わい、歯ごたえ多彩。
わさびをタップリのっけて醤油に浸すと脂がパッとちる。肉質しっかり、脂がのっているから醤油にどっぷり浸しても魚の持ち味が負けないところにウットリします。
鯛の切り身を醤油に浸し、一枚そっとアツアツご飯の上にのっける。しばらくそのまま置いとくとご飯の熱と蒸気で切り身がほんのちょっとだけ縮んで色が白くなる。ご飯をくるんで一緒に食べると、鯛独特の旨味や香りを強く感じてなんとも旨い。オゴチソウです、オキニイリ。
ちなみにココの茶碗蒸し。韓国餅のトックが一枚入ってる。日本の餅ほどドロドロせず、出汁をタップリ吸い込んで軽くとろけて玉子とひとつに混じりあう。今度家でも試してみようか…、と思った味わう。オモシロイ。
「漁ま」
昨年に高知に行った際にランチしました。
大きな生け簀でとても賑やで元気のあるお店でした。
少し駅から離れていますが、どれでも行く価値ある店ですね。
とても美味しかったです。
確か、お父様の作品だと以前見たような気がしましたので
記念に行きました。
仁☆さん
そうなんです。父が逝く直前まで気にかけ完成を心待ちにしていたお店。
残念ながら完成をみず逝ってしまいましたが、今でも魂がこもっているような気持ちになれます。
お気に召していただけたようで、ありがたきこと。父もよろこんでいると思います。