因幡うどんってどうなってくんだろう…。

博多に来たらうどんを食べておかなくちゃ…、と、まずは因幡うどんを目指して歩く。博多の駅の前の地下。一番街って食堂街の中に因幡うどんが一軒あったはず。喉を鳴らしてお腹もならし、ズンズンあるいていったところがなんだか暗い。
なんと閉まっておりました。
立て看板をみると昨日で閉店。一ヶ月ほどかけて改装。新業態になって戻ってくるんだという。店の名前は決まってて「食事処ニュー因幡」になるんだという…、なんと陳腐で恥ずかしい(笑)。うどんだけでは客単価が上がらなかったり夜の売上がとれなかったり。だからみんないろんな工夫をしてはいるけどそういう工夫は大抵ろくなことがない。どうなるんだろう…、悪い予感しかしなくてなんだかドキドキしちゃう。どうしよう。

博多の駅の線路を挟んだ反対側に、因幡うどんがもう1軒。
そこは従来通りやっているというので、そちらに移動。
「従来通り」の言葉の真意が吹っ飛ぶような外観にまたびっくり。
白木作りのいかにもうどん屋…、って感じの外観だったのが、濃い青色に塗られた外観。
うどん屋というよりどこか和風ラーメンの店のよう。
そういや、因幡うどんはラーメン屋さんが買ったんだよな…、って思ったりしてショーケースを見る。
あぁ、いけません。
うどんと同じ位の個数の蕎麦のサンプルが置かれてて、ミニ丼のセットがずらりと並んでる。日本中にかつてあり、けれど今ではどんどん減ってる「うどんと丼の抱き合わせメニュー」が売り物で、専門性をなくしてしまった和風レストラン色をプンプン発する危険なムード。

店に入るとメニューがあれこれ。
かつては文字書きのメニュー一枚で商売してた。それで売上が思うように上がらなかったと判断したからなんでしょうね…、セット商品のメニューが二枚。
どちらも写真がバッチリはいって、ファミレス的なムードをバンバンだしている。このやり方は一時的に効果をあげるけど、根本的な解決法ではなくて結局魔法は解ける。とけると途端に売上さがって、同時に利益率を下げてしまって元も子もなくなる。今まで何千軒といううどんや蕎麦のお店が経験してきたことを、これから彼らも経験するに違いない。勿体無いけど、やってみないとわからないからしょうがないな…、とまぁ、思う。

頭のいい人たちがいろんなことを考えるんでしょうネ。
変わらずずっと同じことばかりやっていると不安になる。新しいことをやらないと、サボっているように思われる人が、悪さをすることが飲食店では結構あって、そんなコトにならなきゃいいけど…、って軽く心配。でもタニンゴト。

肉うどんにごぼ天のせてかしわむすびを追加する。
注文してから3分ほどですか。
スピーディーに料理は出てきて、その状態も悪くない。

テーブルの上にはドサッとネギの入った丼一個。
七味と一味の入った器。どれも蓋せず、無防備な状態で置かれているのが鷹揚でおおらかなようでもあって、でもどうなんだろう。
確か昔は、ネギの丼には乳白色のプラスティックの蓋が置いてあったはず。
外は寒くて、ちょっと体がブルッと震える。くしゃみがベクショイって出てしまいそうになって思わず、口に肘当て席がネギにかからぬように気を使う。
おばちゃんたちが元気に働く店でした。
けれど今日は若い女性スタッフがサービスをする。しかもアジアなまりの日本語喋るスタッフで、これも時代か…、って受け入れる。

なめらかな麺。甘い出汁。その甘い出汁の甘さを一層ふくらます甘辛煮込みの牛肉の旨味と脂が汁の味わいを深くする。薄切りにしたごぼうをサックリ、まとめるように揚がったかき揚げ。汁をタップリ吸い込みながら、ユックリとろけて汁や麺と渾然一体となっていくさま…、あぁ、オゴチソウ。
ネギをタップリのっけてシャキシャキ。とろけるようにやわらかいうどんの味わい引き立て旨い。
ただ、かしわご飯のおむすびは乾いていました。いつ握ったものなんだろう。どんな状態でこれがずっと置かれてたんだろう…、って思いはじめるといろいろなんだか不安になって、昔のように素直に甘みを受け入れることができなくなった。飲食店は気持ちの商売。気持ちが悪いと来なくなる。ちょっと残念。帰ります。

 

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コメント

  1. comfort

    サカキ様の(デイトス店の)写真を見てビックリ、因幡うどんのHPの(ソラリアステージ店の)写真を見て愕然としました。
    「力〇源グループ」の傘下に入ったとの事でグループに「一風〇」「名島〇」等々(え~っ!)、
    一風〇なんて海外進出」してるし巨大外食コングロマリット(旧い!)狙いでしょうか?
    因幡うどん、渡辺通店だけは今の佇まいを残してほしいです。

    • サカキシンイチロウ

      confortさん
      その会社が経営を引き受けたときには、その内情はかなり傷ついていたようですね。
      そこでさまざまな試行錯誤の末、やっと利益が出るようになったんだ…、ということなのですけれど、それならもう因幡うどんの屋号を掲げなくてもいいことなのかもしれないなぁ…、って思いました。
      飲食店の機能ではなく文化的な側面。それを大切にできるかどうかが、企業文化を作り出す上でも重要なところ…、と思うのですけれど、むつかしいのでしょうね。

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