今度は夜に…。「こころむすび」の昼ご飯

昼、新宿御苑の気になる店をランチで試す。
「こころむすび」というお店。
杉玉がぶら下がる味わいのある外観の和食の店で、ずっと来てみたかったのだけど夜にこの界隈をうろつくことが最近なくて機会がなかった。
ところが最近、ランチ営業をはじめたようでまずはランチで…、とやって来てみる。
開店とほぼ同時というのにお店はニギヤカ。カウンターにテーブル席。こぶりな店でキッチンの様子が見通せる気持ち良い店。
思ったよりも若々しいご主人が料理をつくり、女性スタッフが二人いる。いまどき人手が足りてるお店は贅沢。厨房の中に焼き場。強火の遠火で魚が焼かれる景色と匂い…、魚がおいしいというのがひと目でわかる。いい感じ。

2人で定食2つに単品料理をひとつもらって分け合い食べる。
銀ダラの西京焼きの定食。
アジの開きの塩焼き定食。
豚肉の生姜焼き。
魚は炭で焼きあがる。じっくり時間をかけてコンガリ。時折脂が垂れ落ちて炎が上がって、それがおいしい煙となって鼻をくすぐる。
途中、ときおりひっくり返し、ステンレスの串を刺して唇にあて芯の温度を確かめながら仕上がっていく。
そのかたわらで鶏の唐揚げを小鍋で揚げたり、フライパンで生姜焼きを煽って仕上げる。調理する手がずっと止まらず動いているのを感心しながら見て待って15分ほどはかかりましたか…。調理補助の女性がご飯を装って、味噌汁注いで準備整う。
3つの料理が2つのお膳にズラリ並んでやってくる。

小さな厨房。しかもひとりですべての調理をほぼこなす。そういうお店でテーブルごとの注文が一気にストンと出来上がるのは珍しいこと。調理手順の組み立てがしっかりしているからでしょう。なにより全てがジリジリ音を立てるように熱々。カメラのレンズを近づけてしばらくするとレンズが蒸気で曇ってしまうほどに熱々。お腹を鳴らす。

メインの中でもひときわ目をひく料理がアジ。
大きい。
分厚い。
二枚に開いたアジを皮がパリパリになるまで焼き込んでいる。
ひっくり返すと身の方はしっとりとした仕上がりで、確か途中でアルミホイルで蓋するようにしながら焼いてた。
箸を当てるとホロリと身が取れる身離れの良さにもうっとり。
みずみずしいです。ふっくらしていて魚の旨味が口に広がる。皮を一緒に食べるとひんやり、唇冷たくするような脂の甘みにまたウットリ。焦げた皮の香ばしいかおりが口に広がって魚の風味を一層おいしくしてくれる。

銀ダラの西京焼きのよじれるように焦げて焼かれた皮のサクサク、おいしいこと。身はどっしりと、西京味噌の中に余分な水気を吐き出しねっとり仕上がる。ご飯の上にのっけてハフッ。パラパラ固めに炊かれたご飯にむっちりとした魚の食感、旨味が混じって思わずご飯をねだるおいしさ。
豚のしょうが焼きはフルーティーな甘さがやさしい。肉そのものもおいしいのだけど幅広に削いだ人参がコツコツ奥歯を叩く食感が健康的なオゴチソウ。出汁がやさしいお味噌汁。小鉢のおひたしは菜花の苦味が出汁に溶け出し、出汁までうまい春の味。
黒板に書かれた夜のメニューがなんとも魅力的。この人、この店の本気の料理をどうにもこうにも食べたくてお勘定をするついでにと、夜の予約をして帰る。

 

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コメント

  1. 匿名

    撮る前に食べて頂ければ。
    こういう箇所の意味深さを知りつつも、
    食べている時に写真撮る人に居合わせた時の居心地悪さが勝ち。
    貴方の文章は十二分にそそるので、どうかイラストなりを伴って、写真撮らず、お召し上がり頂ければと存じます。
    心よりのお願いです。

    • サカキシンイチロウ

      匿名さん
      そういう考え方もございましょう。
      ただ絵心もなく、画像なしで臨場感を伝えるだけの文才も持ち合わせおりませぬゆえ、どうかご容赦。
      もしこの場にいらっしゃった方ならば、その旨、直接お伝えいただければ写真を撮ることも控えますし、もしお店の関係者の方であれば、次回、夜に伺ったときにそう申し出ていただければ写真を撮らずにたのしく食事をさせていただきます。
      貴重なご意見、ありがとうございます。
      できればニックネームでも構いませんのでお名前つきで投稿いただけますと助かります。
      「匿名さん」ではあまりにご無礼ですので。

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