今年はじめての雅味近どう

岐阜の夜。あけましておめでとうございますディナーを雅味近どうにて。
いつものお店のいつものお座敷。
食卓を囲む仲間もいつもの顔ぶれ。季節の料理をいただきました。まず前菜。
紅白市松模様の蓋付きの陶器の器。蓋を開けると中に料理が並べられてる。青菜の胡麻よごしに白子の豆腐。鯛の白子を豆腐と一緒に網でこし、それを再び豆腐に仕立てる。ふっくらとしてなめらかで、箸でひとかけ持ち上げられるのに、舌にのせるとフワッととろける。
海の旨味と香りが口の中に広がる冬のご馳走。
甘い厚焼き玉子。
イワシの煮付けと味わいさまざま。
一つの料理は一口、二口分程度の量。ひとつひとつが独自の味をもちながら、それらが口の中で味の余韻を残しながら消えて、記憶の中で混じり合う。日本の料理のステキを感じる。
お椀がきます。日本料理の一番大切で味の基本をなすすまし汁。カツオの香りとスッキリとした酸味に旨味。
固めに仕上げた卵豆腐にしいたけ、たけのこ、ニンジン、菜花。焼いた河豚のヒレをのっけて香りを添える。次の料理の予感に満ちたたのしい一品。

刺し身が来ます。小皿2つにそれぞれ異なる趣向の刺し身。右側の皿にはブリブリの鯛とムッチリしたマグロの赤身。左側には赤貝、河豚の煮こごり、タコにアワビと盛りだくさん。2つの皿の間に醤油。その上には豆がちらかる。
刺し身を食べ終えるとそれぞれの皿が鬼におかめとなるほどまもなく節分の今。一足先の豆まき気分でニッコリします。
続いて蒸し物。黒豆をこしてまんじゅう状にして、芯にカニのほぐし身をいれる。蒸したところに銀あんたっぷり。ちょっと強めの粘度の餡でもったり舌にからみつく。出汁の旨味と香りがおいしい。お腹もしっかりあったまる。

今日の揚げ物は河豚の竜田揚げ。
醤油の味がしっかり入って、表面サクリ。
前歯が衣を突き破った瞬間、じゅわりとおいしいジュースがほとばしり出る。
河豚独特の力強い繊維がちぎれて、唇同士が貼り付くような感じがしてくる。河豚の肉が蓄えたゼラチン質のなせる技。
サイドのお供はふきのとう。一足先の春を感じるおゴチソウ。
焼き物は甘鯛。皮目をバリバリになるまで焼きあげ、肉はムッチリ。蜜煮にしたさつまいものに、カリッと揚がったクワイのチップ。わさびをたっぷり加えてビリビリ辛くしためかぶに数の子と正月気分が蘇る。
シャコを蒸し上げカツオの出汁に漬け込んだのを、薄切り大根で巻いて仕上げた奉書巻き。ザクザク歯切れる大根としっとりとしたシャコの食感が互いを引き立て味わい深い。添えられていたフルーツトマトがカリッと食感力強くて甘くてびっくり。お腹がほどよく整っていく。

今日の〆は鮭とイクラの炊き込みご飯。海の親子仕上げという趣向。
大きな土鍋一杯に炊かれて蓋を開けると香りがまずおいしい。よくかき混ぜて小さい茶碗に装うとあっという間に茶碗は空っぽ。お替りをするたのしみまでもがおゴチソウ。
大アサリの旨味が滲んだ赤だしに大根、きゅうり、千切りにした白菜の漬物が炊き込みご飯をねだるたのしさ。お腹もたのしく満たされて、みかんのコンポートと食べてお腹を甘い蓋する。
今年もよろしくお願いしますって店のご主人に挨拶をして店を出る。

 

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コメント

  1. いにしえ

    サカキ様
    このブログで知って以来行きたかった念願叶い、昨夏、岐阜の実家の家族で伺いました。鮎の季節でした。
    どのお料理も趣向を凝らして目にも口にも美味しく、家族皆、堪能いたしました。ご紹介ありがとうございました。
    お料理も設えも高級ですが、程よく家庭的なサービスの感じもあり、敷居の高さを感じさせないところも良かったです。
    サカキさんが行かれる岐阜のお店はどちらも美味しげで、行きたいリストにたまっています。大変です!

    • サカキシンイチロウ

      いにしえさん
      ご主人が威張らず謙虚に、おいしいものでお客様をもてなそうという気持ちが伝わってくるいいお店ですよね。
      いくたび趣向をあらたに季節をたのしませてくれる。ありがたく思います。お気に召していただいてボクまで褒められたようにうれしくなります。ありがとうございます。

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