京橋の伊勢廣、串が五本で五本丼

東京駅から次の打ち合わせ場所まで移動の前に空き時間。ちょうど昼食休みがはじまる時間。
よし、焼き鳥丼を食べてやろう…、と「伊勢廣」目指す。
東京駅の八重洲口からゆっくり歩いて10分ほど。日本橋からだと5分とちょっと。京橋エリアのど真ん中。
かつては2階、3階の古い建物が建ち並ぶ、昭和な景色の街だった。それが今では次々新しい超高層ビルに置き換わってる。この伊勢廣さんの周辺も、昔はおだやかで親しみやすい町並みだった。
お店の周りは空き地が目立ち、古き良き時代の砦のようにこの建物が見えたりもする。ガラリと引き戸をあけると中はにぎやか。入口近くの厨房からは焼き鳥を焼く煙たなびき、おいしい香りを運んでくる。みんなで囲む大きなテーブルの一番奥の席をもらってランチのスタート。

昼は焼き鳥がメインの定食。
あるいはコース。
焼き鳥丼。どれも焼き鳥の本数で値段が決まるのがわかりやすい。
ボクは5本選んでそれを丼仕立てにしてもらう。
ご飯は半分。
大人仕様でございます。

まずはスープに漬物。鶏がらでとったスープは黄金色。カップ状のガラスの器に入ってやってくるからその透き通った様が一目瞭然。手にも温かさが直接伝わる。小さな脂の粒がポツポツ浮かんでて味わい濃厚。旨味が強くて、にもかかわらず鶏独特の臭さがないのがありがたい。
スープでお腹があったまったところでメインの丼登場。焼き鳥5種類、5本分。串を抜いてズラリ、ぎっしり、所狭しと並んでいるのにウットリします。

ちなみにここの丼の形独特。
上から見ると口が広くて大きく見えて、横から見ると平べったい。
5本分の焼き鳥をキレイに並べて、しかもご飯を程よい量に控えるためにはこの平茶碗のような形でなくては駄目だったんでしょう。
粋なもてなし。
分厚い陶器で温められてて、だから温度が持続するのもいい感じ。

5本の串の種類は、ささみ、もも肉、団子に皮身。それから肝類。
この呼び方はお店の呼び方そのままで、おなじみさんは「皮身の代わりに団子にして」とかって注文つける。
団子はつくね、肝類はレバ。
どれも大きく、炭でこんがり焼かれて焦げた色合い、香りが旨い。
ネタそれぞれに味わい、食感がまるで違うところもステキ。レバは表面サクッと歯切れ、最初は乾いて口の水分をもっていく。ところがそれが突然トロンとなめらかになり、滋養あふれる味わいになる。
団子はつなぎをまるで使わず、しかも最近流行りの軟骨なぞで食感ごまかすことなく、それでもガツンガツン!と奥歯を叩き壊れる力強さがオゴチソウ。

ささみの芯はレアな状態。さっぱりとして上品な味。なのに食感ネットリしていて肉感的。たっぷり乗せたわさびがささみの甘みを引き出す。オキニイリ。味わい深くてたくましいもも肉はネギと一緒に焼いていかにも焼き鳥。甘み控えめで醤油の風味がきっちりとしたタレとの相性がまた上等。
鶏の皮が苦手なボクにとって、本来鬼門の皮をたっぷりつけた皮身が旨い。はじめて食べたとき、恐る恐る食べたのだけどカリッと焼けた皮の風味とジュワッとにじむ脂の旨味に圧倒された。海苔をかぶったご飯ににじむタレと脂のおいしさにただひたすらにかきこみ味わう。
タレ染み込んだご飯を残し、スープを注いでサラサラ食べてお腹に蓋する。満たされる。
創業大正10年。西暦にして1921年のコトですから間もなく歴史は100年になる。これから100年、ずっと続けばいいなと思いお店をあとにいたします。

 

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