交通会館。ミニ炒飯に木須肉、氷杏で〆る昼

有楽町の交通会館。普段使いがたのしい実力派の飲食店の殿堂のようなビルの地下に交通飯店って言う中華料理の店がある。
昔は「桃園」って長崎ちゃんぽんの滅法旨い店があって、そこにしようかここにしようか迷ったもの。
二人ともデブだからお腹と背中がくっつくようなことはありはしないけど、お腹と背中がくっつくほどに腹ペコのときにはここを選んだものです。
炒飯が旨い。人気の料理でほとんどの人がミニ炒飯と好みの料理のセットをたのむ。
ひさしぶりにと勇んできたら開店前についちゃって、入り口脇で待ってたらお店の中から炒飯を仕込む音がする。
ゴトゴト、五徳の上で中華鍋が触れて暴れる。ジャーっと湿った音に続いて、おたまが鍋肌をこする音。湿った音が徐々に乾いてパラパラ、鍋の上で踊るような音に変わってしばらくそれも静かになる。
玉子をとく音。そして開店。お店に入るときに注文を伝えて着席。
ミニ炒飯にムースーローのセットにします。木須肉と書いてムースーロー。きくらげと豚肉の卵炒めでタナカくんが好きだった。

きのこが苦手ではあったけどきくらげはきのこ臭くないから平気。
むしろコリコリクニュクニュした歯ごたえが好きでムースーローはよく食べていた。
関東ではあまり一般的じゃない料理の名前。
でも長崎では酢豚をスーパイコって呼ぶように、普通に使っていたんだよ…、って。
なにより最初にやってきて油をたっぷり吸い込んだふっくらとした玉子と一緒にきくらげ食べて炒飯を待つ。
大きな鍋でガンガン仕上げる。音で例えればゴトゴトゴンゴン。お玉でご飯を押し付けながら熱を通して宙を舞わせる。ラーメンスープと一緒にやってくる炒飯の見るからに炒飯らしいことにまずウットリ。ご飯の硬さが残って仕上がるしっとりタイプ。具材はハムにネギ、それから玉子とシンプルでまさに「飯を炒めて」作った料理。

口の中で踊るチャーハン。おいしいなぁ…、なによりすごくなつかしい。脂が甘くて味のベースは塩だけど化学調味料がバッチリきいてて、なのに決していやらしくない。強い火力で焼き切られているからなんでしょう…、噛みしめるとフカっとご飯が奥歯を沈め、そして再び口に散らかり消えていく。噛めば噛むほどご飯の中から味が染み出し、喉の奥に渡してしまうのがもったいなくなるおゴチソウ。
おしゃべりしながらもりもり食べて、食べて笑ってもりもり食べて。炒飯を半分食べたらムースーローをお皿に乗せて、れんげに一緒にのっけて食べる。パラパラだった炒飯に卵の脂が染み出してしっとりふっくらするのをたのしむ。豚バラ肉がカリカリに焼かれているのもまたおいしくて、腹を揺すって食べたんだ。思い出したらポロポロ涙が止まらなくなり鼻水までもでちゃったよ…。

 

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ここまできたらかき氷も食べておかなきゃ怒るだろうなぁ…、と思って甘味処の「おかめ」に寄った。
氷杏をえらんでたのむ。
ふっくらとしたかき氷。
空気をたっぷり含んでフワッと山に盛られた氷の上に、果肉混じりのあんずシロップ。煮含めた杏ものってさっぱりとした甘みと酸味。
あんずシロップがまだらにかかっているから、食べるところで味がかわってずっと飽きずに食べられる。
ここのかき氷は氷がやわらかいから好きなんだよネ…、ってうれしそうに言って食べてた。
あんこがおいしい店で、宇治金時もあったけどここでは不思議と氷杏やイチゴ氷をたのんで食べた。ボクはたいてい豆かんで、底に埋められ半分凍った杏をもらって食べたんだよね。氷はお彼岸あたりまで。それまでに時間を作ってまた来ようかなぁ…、そんなことを思って店をあとにする。

 

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