中野坂上の悪魔のささやき

思い出の場所をぶらぶら歩き、喫茶店でお茶を飲みまた散歩してオリンピックで買い物をしてそろそろ帰ろう。
ただその前に、行っておきたいお店がある。
駅の近くの「萬蔵そば尾張屋」っていう店。
「悪魔のささやき」っていう不思議な名前の料理がある店…、として強烈にインプットされてるんです。
それも相当昔から。
町田にもお店があって、その店の仕事をちょっとだけしたことがある。30年以上も前のことで、その当時からその名前の料理があった。記憶違いでなければ「乙女のいのり」って料理もあったような遊び心がたのしかった。今も「悪魔のささやき」は健在で、お店の入口前の大きなサンプルケースの中に誇らしげに飾られていた。メニューに「ひとくち食べると食欲の悪魔がもっと食べたいとささやくから」と注釈まであってニッコリしました。たのみます。

もうおやつ時って時間です。
なのにお店の中はほぼ満席という盛況ぶり。
厨房の中にはひとり。
サービス担当のシニアスタッフがひとりという、いかにも手薄な営業状態。
ボクの隣のおばさまたちが、「もう30分もたのんだ料理がでてこないの…」って心配しつつも、のんびり待っているやさしさに、地元で長くやってるお店の得を感じる。
昔の飲食店は、早く料理を出すことよりも丁寧に納得のいく料理を作ることに一生懸命。だから忙しいときに料理が遅れることが多かった。今ではどんなときでも待たせないことをメニュー作りの基本にするお店が多くて、ひさしぶりにいっぱい待った。

でも待つのもたのしい。待ったかいがある料理がやって来ればなおよし。
浅い大きな鉢に冷たい蕎麦。短冊に切った山芋、上にわさび。千切りキュウリに錦糸卵に大根おろし。上にいくらの醤油漬けを飾って切り海苔、大葉にエビの天ぷら3個。かけだれが別の器に用意されてそれを注いでかき混ぜ食べる。
細く見事に来られた蕎麦。みずみずしくてバッサリ歯切れる食感おいしく、一緒に口に運ぶ具材で食感、味の印象が驚くほどに変わっていくのがオモシロイ。お腹を重たくしないほどよき分量。あっという間にお腹におさまり、レジの横に置かれてあった天かすもらって店を出る。

 

関連ランキング:そば(蕎麦) | 中野坂上駅中野新橋駅西新宿五丁目駅

 

そば屋さんの天かすを手に入れたらばやっぱりそばを作らなくちゃ。おやつに蕎麦を食べたのだけど、夜も蕎麦にすることにした。
蕎麦を茹でてザブザブ洗う。ザルにとった直後はくったり柔らかだった麺がどんどんハリとコシを手に入れる。手の中でみるみるうちに感触が変わっていくのが面白く、冷たい水の中で完成している料理もあるんだなぁ…、ってしみじみ思う。
タレを丼に沈めてそこに〆た麺。刻んだ大葉に薄切りキュウリ、同じく薄く切ったなるとに天かすたっぷり。ぐるぐるかき混ぜ一味をパラリでスルスル食べる。天かすの風味でそばが専門店の味になるのがありがたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。