丸の内でとびきりの飲茶をヤウメイで…。
丸の内にてすばらしき経験をする。
「ヤウメイ」という飲茶のお店。場所は改築、オープンしたばかりの東京會舘が入るビル。エントランスの前に黒塗りの車がズラリと並び、ロビーに入ると床はふかふかで足を取られてしまうほど毛足の長い絨毯びっしり。
ドキドキしながらエスカレーターで二階に上がるとオレンジ色したコンテナが置かれているようなトタンの壁。ムードが変わる。壁には大きく店名があり、中に入るとレセプション。
笑顔チャーミングなレセプショニストに名前を告げると、こちらへどうぞと今日のテーブルに案内される。
客席に向かう通路の右手にはオープンキッチン。調理人の仕事をみながら着席し、なおもカウンター越しに厨房を間近に感じる。山積みされたせいろから噴き出す蒸気。湯気の向こうにシェフの姿とダイナミックで、切なくなるほどうつくしい景色にウットリ。
テーブルクロスに白い食器。不自然に笑わず、けれど唇の口角がキュッと揚がった凛々しいスタッフがタレを小皿に注いでいきます。スッキリとした辛さの辛子オイルにどっしりとした辛味噌。香り豊かな醤油と三種。分厚いタオル地のおしぼりに布のナプキン。上質な食卓の準備がしっかり整う。
飲茶のお供に普洱茶をもらいました。
食卓脇に大きなテーブルが設えられていてそこで中国茶を入れる作法にしたがって優雅にお茶が仕上がっていく。ピッチャーに移されたお茶がカップに注がれ本格的な食事のはじまり。たのんだ料理が次々運ばれやってくる。
基本、せいろの中に料理が三個入って一人前。
2人で食べるときには相手に対する思いやりが試されることになる。
今日は3人。
平和な食卓(笑)。
最初にやってきた海老蒸し餃子は圧倒的なおいしさでした。
スベスベでハリのある皮。
エビはブリンとたくましく口の中ではじけて旨味を残して消える。
包丁で叩いて仕上げた豚肉とエビがミッチリとした食感作る焼売の上にはクコの実。
通常、エビのすり身を挟んで作るエビトーストは、すり身じゃなくてそのままのエビを挟んで揚げる。
むっちりとしたエビの食感とザクッと壊れるトーストの食感違いがたのしい一品。
豆苗をエビのすり身と一緒に包んで仕上げる蒸し餃子。ねっとりとろける皮から中身が透けて見えるのが色っぽい。エビの上にホタテをのせてとびこをちらして蒸した焼売。
ホタテの状態がなんとも見事でムチュンと歯切れてハラリと崩れる。強い旨味にウットリします。そのまま食べても十分おいしく、用意された調味料をまぜて自分の好みの味を作って食べるのもまた旨い。レンゲの上で最終調理をして食べる…、っていうのがたのしくオモシロイ。
点心の中でひときわ好きな料理が大根餅。今日も2種類たのんで食べる。
大根餅のパイをまず。細切りにした大根に味をくわえてしんなりさせた、これを固めて形にすれば大根餅になる寸前を細く伸ばしたパイ生地でくるんでこんがり揚げ焼きしたもので、パイ生地パラパラ口の中で壊れつつ、大根餅と混じってとろける。乾いているのになめらか食感たのしい。
そしていわゆる大根餅。いやはや、そのおいしさは特筆すべきもの。口にやってきた直後はねっとり、それがハラハラちらかって大根の甘みやホタテの旨味を残して消えていく。これだけただただ味わい食べて、お腹いっぱいになってみたいと小さな野望を抱くほど。
ハチミツを塗りつつ焼いたローストポーク。
いわゆる香港風の叉焼ですネ。
その断面を見ると半分以上が脂であって、なのにまるで脂っこくない。
脂がジュワッととろける感じはあるのだけれど、重たくはなく噛むと肉がクチャっと潰れる食感に、脂じゃなくて肉を食べてると実感できる。
焦げた香りがこうばしく、脂の甘みと肉の旨味に酔っ払うような感じさえする。
豆苗をガーリックと一緒にサッと炒めたもらったのをシャキシャキ食べて、チーズケーキで〆とする。
20商品ほどの料理。麺などなくてあくまで点心がメインの構成。ランチセットのようなものもなく、昼も夜も同じメニューで勝負する。
香港のレストランプロデューサーがディレクションした店です。日本のレストランが忘れてしまった「本当に自信のある最小限の料理でお客様を満足させる」レストランとしてあるべき姿がすがすがしくて、また来なくては。おなじみさんといつか呼ばれてみたいと思った。
ひさびさ感動。名店誕生を予感する。
あぁ~~~~、なんて美味しそうな点心!
心と胃袋が踊りだします。
サカキさん、情報ありがとうございます。
新橋の翠園酒家、新宿の東京大飯店がなくなってから、飲茶が出来るお店をここ数年、探しておりました。
かつて土曜のブランチには、飛び交う中国語にドキドキしながら、未知の点心にチャレンジしたものです。
豆腐花、チャーシューパイ、ワゴンで焼いてくれる大根餅に韮饅頭、などなど。
ウェイターさん・ウェイトレスさんとのやり取りも楽しかった。
何より蒸籠から立ち上る湯気がご馳走感をアップさせてました。
美味しいものを少しずついただくというのも贅沢。
飲茶好きの友人を誘っていってきます。
Dianaさん
新橋の翠園酒家!なつかしい。
あそこの飲茶のワゴンはすばらしかった。豆腐花のやさしい味も忘れることができません。そういえば今、エスのウェスティンホテルの龍天門で飲茶のオーダービュッフェがはじまったようです。
平日限定、13:30スタートで飲茶のワゴンも登場という趣向らしいです。そちらも行ってみねばと思っています。
サカキさん、再び情報ありがとうございます。
恵比寿のウェスティンホテルですね。
行かねば、行かねば(笑)
翠園酒家の豆腐花を掬う、真鍮と思われるスクープ?がキラキラしてて、見ているだけでもワクワクしました。
お家中華では味わえない、別世界の味。
外食が特別だったからこそ、の楽しさでした。
Dianaさん
外食が日常の食にどんどんすり寄ってきて、便利になりはしたけれども特別をなくしてしまった。それが残念ですよね。このヤウメイには特別な空気が充満していました。その空気を吸うためにいくだけでも価値があると思いました。
知人が先月行って「少なくとも点心は美味しい。阿てない」と感想を聞いていたので気にはなっていましたが、有名な誰それプロデュースと大々的に銘打ってる店に行って当たった試しがないので
避けていました(笑
安心して訪問してみようと思います。ありがとうございます。鶏爪があるみたいなんで絶対に注文しよう。
以前、ラーメンに乗ってる叉焼しか食べたことなかったので初めて食べた元祖の広東叉焼がすごく甘くてしかも複雑に香辛料の香りがしてびっくりした記憶があります。
その昔、日本にやってきて日本で売れるよう「阿た叉焼」になるまで相当の試行錯誤があったんだなと、その時思いました。
今は最初なので美味しいのだと思いますが、持続できたらすごいことですね。外から連れてくる店は数多ありますが、最初だけは良かったという店が最近はあまりにも多いもんですから。
だいたいダメになる時は阿た時。メニューが増えてきたらその兆し。今の時代は阿る必要なし。てことで貫いてほしいです。
kokuさん
ボクはロンドンのハッカサンの人…、ということで、最初は避けていました。格好ばかりで料理はパッとしないお店っていう印象が強かったものですから。
ところが少なくとも今の状態はすばらしい。
無理せず、本当に自信がないものばかりでメニューが構成されていますし何よりスタッフに底力がある。
仕掛けと話題だけのようにプロモーションされてしまっているのがもったいないなぁ…、と感じました。
ランチメニューなしとは潔いっ!!!今度東京行くときは ここでその気合をぜひ見せてもらいます! 何着ていこうか楽しみだなあ〜ワクワク!!
なすびさん
定価というものの本来の意味がすっかりなくなってしまった日本において、この潔さだけでも評価に値すべきことと思いました。
堅苦しくない上質な素材のカーディガンとかカットソー。エキゾチックなアクセサリーとの組み合わせが似合いそうな店でした。
サカキさま、
ウォ~、これは行かねば!サカキさまの興奮を感じる文章と美しい料理のお写真の数々を拝見して、私も興奮気味です。
ここはしかるべき人と行かねばなりませんね。しかるべき人とは、美味しいものが分かり、食べることを楽しむ人。そして健啖家。
いにしえさん
グルメ気取りの人には文句の付け所満載のお店。おいしいモノを目の前にして頭の中を空っぽにしてゴキゲンに喉をならしてくれる人と一緒に行きたいお店ですネ。
私は合格(多分)。喉も鳴るが、腹も鳴る。
知識、蘊蓄より、目の前にあるお料理を味わい、楽しめる仲間と行きたいですね。