マダムなドリア、ナイフをおかぬエレガンス

ひさしぶりに「ルブラン」に来てみる。
新宿三丁目のビックロの脇。…、とそうかくとあまりピンとこないけれど、かつての新宿三越の横と説明すれば、なるほどそういう場所なのねって腑に落ちる。
実は銀座三越の近くにも同じ店があり、同じメニューでやっている。
つまり「三越を好んで利用する御婦人方」にやさしいお店というのがここのコンセプト。
ピンと張られたテーブルクロス。テーブルの上には大きく分厚い紙ナプキンと、スープ用の小さなスプーンにサラダ用のフォーク。そして大きなスプーンとフォークと磨き上げられたシルバー類がキレイに並ぶ。ナイフを使わず食べられるものだけでメニューが構成されているというのがここの特徴。カジュアルでおしゃべりを邪魔しないやさしさがあって、女性のお客様がいつもほとんど。今日も男はボクひとり。

シーフードドリアがここの名物料理。
お店の表に置かれた看板にもひときわ大きくドリアの写真がのせられている。かつては「東京で一番おいしいドリア」っていうのがキャッチフレーズだったけど、いろいろあったのでしょう。今そのキャッチフレーズはないけれど、ボクはたしかにこの東京でもトップクラスのドリアだろう…、と思ってる。
今日もそれをお願いしました。メインの料理にスープとサラダとデザート、そして飲み物がつく。それで値段は1450円。あまりにお客様思いのトップクラスの料理にいつもニッコリします。

サラダの上にはクリーミーなフレンチドレッシング。
レモンの酸味がきいていて後口さっぱり。なにより野菜がパリパリしていてみずみずしい。
コーンポタージュはサラッとしていて上に浮かんだクルトンが風味、食感をひきしめおいしい。

そしてメインのドリアが到着。
よく焼いて焦がしてくださいねってお願いしていたドリアです。
リクエストの通りに表面がこんがり焦げて塗ったバターがとけてツヤツヤ光ってる。焦げたチーズの香りがなんともおいしげで、スプーンの背中でポンッと叩くとカシュッと壊れる音がする。乾いているのにどこか湿りを感じる不思議な感覚で、ちょうどブリュレの上を叩いたみたいな感じ。中にはたっぷりのアメリケーヌソースとバターライスとシーフード。

アメリケーヌソースが濃厚で、バターととろけて焦げたチーズと混じって口の中はうま味の洪水。バターライスはカラコロ口の中を転げ回るようなにぎやかさにて、ソースのぽってりなめらかなことを引き立てる。
エビにイカがたっぷり入って、そこにシャキシャキとした粗みじんの玉ねぎまじる。それからエリンギがちらりほらりと姿を表す。
そうそう、ドリアやグラタンが大好きなタナカくんを連れてきて食べ始めたときに「これ、なんだか悪い予感がするんだよね」と恐る恐る食べ進め、ほら、きのこがあったって見つけて丁寧に取り除いてた。入ってるなんて気づかぬほどの分量だけど、嫌いな人にはわかるんだなぁ…、って思ってゴメンって謝った。
今日のデザートはチョコレートムースでこれが苦くて甘くておいしくて、いろんなことを思い出す。

 

関連ランキング:イタリアン | 新宿三丁目駅新宿駅新宿西口駅

コメント

  1. ゆう

    一昔前は女性がランチをとる時はドリアかグラタンかリゾット。
    カトラリーをかちゃかちゃ言わせたくないから‥‥というまことしやかな説がありましたね。
    今はみなさんお好きなものを召し上がりますが、やはり女心は変わらないのではないでしょうか。
    プチデザートが嬉しい気持ちも。
    タナカさんのきのこセンサー凄いですね。
    好物に嫌いな具材が入っていたときの切なさよくわかります。

    • サカキシンイチロウ

      ゆうさん
      しかもここのカトラリーはみんなサイズが小さめなんですよね。
      女性の口にやさしい配慮。
      ステキだなぁ…、って思います。
      タナカくんのきのこセンサーはスゴい性能でした。ボクは全然気づかないのにすぐわかる。中でもエリンギに対してとても敏感だったようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。