チャイナルームで飲茶のワゴン

ワゴンの飲茶をたのしみたい。
熱病みたいにずっと思って、どこかでやっていないものかとアンテナ広げる。
特に先日のウェスティンホテルの龍天門があまりに残念で、ますます気合が入ってしまう。
六本木ヒルズのグランドハイアットにある「チャイナルーム」ってお店に飲茶のワゴンがあるよ…、オーダーバイキング形式で内容も案外いいって小耳にはさみ、それでやってきてみることにした。
ラスベガスなんかにありそうな、派手目モダンなインテリア。ちょっとカジュアルなムードもあるからでしょうか…、ファミリー客が結構多い。

まず前菜の盛り合わせにスープが届く。
クラゲに棒棒々鶏に蜜焼き焼豚。
どれもおいしい、たのしい時間への期待が高まる。
中でも続いてやってきた四川風の酸辣湯の酸っぱく辛く、なのに甘くて旨い味の洪水みたいなおいしさにうっとり。
お腹がどんどんすいてくる。

メニューから選んだ料理が次々届く。
最初にやってきたのが大根餅で、おいしい。
けれどミニチュアサイズに小さいこと。
こりゃ、いろんな種類のをたくさん食べられるぞと追加注文を次々いれる。

料理はテキパキやってきます。
たくさん食べて帰ってね…、というサービス精神を感じさせるほどにテキパキと。
小さなせいろを山積みにして両手で抱え、小走りしながらテーブルの間をかけまわって料理を配るサービススタッフ。
ホテルのサービスとしてはちょっとお行儀悪いのだろうけど、早く料理を届けようという気持ちがうれしい。
笑顔明るく若々しくて、急いでサービスをしても雑になることがなく、料理に対しての質問への受け答えもしっかりしてる。

エビトーストに小籠包。トリュフの香りをまとわせた焼売や豚のブラックビーンズ蒸し。
トリッパの蒸し物や豆腐と野菜を芯に巻いた春巻き。湯葉で巻いたエビすり身を揚げてそのままのものと、オイスターソースで煮込み直したものとさまざま。
ホタテとほうれん草をピュレにして生地でくるんだ蒸し餃子とか、甘く煮込んだ牛肉のパイであるとかよくもこれだけ多彩な料理を作れるなぁとおいしいモノへの好奇心と想像力に感心しながらパクパク食べる。

そうこうするうち飲茶のワゴンがやってきます。
実は客席フロアが厨房のあるメインフロアから3段ほど下がったところ。一体どうするんだろうと心配しながら見てたら、両側からワゴンを抱えて手動で降ろす。そのあっさりとした力技にちょっと笑った。

点心師が 自ら料理を説明しながらサーブするというのがいい感じ。今日のオススメのエビのワンタン、エビのすり身のライスペーパー巻揚げ。牛タンの蒸し物にナスのエビ詰めを選んで食べる。どれも間違いない味で何よりボクの好みというのにウットリします。

メインディッシュがいくつか用意されているのもたのしい工夫。
食べ方のメリハリとでもいいましょうか。点心のいいところはいろんなものをちょっとづつ。
ただ、あんな贅沢なものを食べたねという思い出に残る一品を作ることがむつかしくそんなところにメインの料理。海鮮料理と肉の料理をひとつづつ選べるというのもうれしいところ。

ソフトシェルクラブのチリソース添えと、エビの風味を纏わせた鶏の揚げ物を選んでたのんだ。脚はサクサク、お腹はねっとりとろける感じの脱皮蟹。酸味が強めのチリソースが油をさっぱりしてくれる。低温でじっくり揚げた唐揚げはしっとりやわらか。堪能します。
豆苗の塩炒めを挟んで、〆に窯焼き焼豚を使ったチャーハン、金華ハムでとった濃厚味のスープを使った汁そばをお腹に収めてデザート3点。満腹です。

そして今日の結論はこう。
飲茶という料理はオーダーバイキングに似合わぬ料理である!ってこと。
オーダーバイキングというのは提供される料理が何であれ「値段÷時間」でコスパフォーマンスが云々される。
別にコストパフォーマンスのことなんて気にしないからさ…と鷹揚に構えようとしても気持ちが焦る。お店の人の注文の取り方も、一度にたくさんご注文されたほうがいいですよと気持ちを急かす。
本来の飲茶のたのしみ方って、上等なお茶を飲みつつ、点心ひとつ。おしゃべりをしてせいろを一個。そしてまたお茶と、のんびりゆっくり時間をただただ無駄遣いするのが目的。大切な時間を無駄に使うなら、お供においしいお茶と料理があれば言い訳がたつ…、というものなのだろうから、気持ちが急くのは野暮なコト。
ならばオーダーバイキング抜きのワゴンの飲茶はどこにあるのか。香港に飛んで行こうか、それともハワイに行こうかしらと思ったりする。なやましい。

 

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コメント

  1. to22by

    ハワイのディムサムもワゴンで来る所は減ってしまいました。おいしいところも減りました。ましてや美味しくて安いところも減りました。でも時々、無性に食べたくなって行きます。それはどこもオーダー形式です。割と早くサーブされますが、一品二品忘れられることも多々あります。

    • サカキシンイチロウ

      to22byさん
      飲茶の繁盛店は作り続けることができるからオーダー式でも早く提供してくれますものね。
      でもワゴンがやってくるワクワク感をなくしてしまうのはもったいない。豆腐花のワゴンだけでも回ってきてくれるといいなぁ…、って思います。

  2. michi

    高そうですね

    • サカキシンイチロウ

      michiさん
      6000円ほどのお値段。確かに高価ではありますが、十分に価値を感じる値段でした。

  3. ひろりーな

    こんなに素敵な写真を見たら今週末にでも飲茶行かなきゃ!と思わずにはいられません、笑。東京もハワイも、ワゴンは減ってるんですね。残念ながらサンフランシスコでも少なくなりました。サンフランシスコの場合は地代も上がっているせいか食事のコストも確実に上がっていて、時代の流れというか経済の原理というか。サンフランシスコ市内ではなくてちょっと郊外に出ると、まだワゴン式で多少は良心的な値段で食べられる店があります。

    • サカキシンイチロウ

      ひろりーなさん
      世界中にちらばりたくましく生き抜く華僑の人たち。ワゴンが走り回る飲茶のスタイルは、中国料理を身近に感じて育たなかった人たちにもやさしいスタイルで、チャイナタウンがある町には必ず魅力的なお店があったものですネ。
      彼らのたくましさをもってしても、食の合理化と簡素化は止めることができないのか…、ってしみじみ寂しさを感じますネ。

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