タコベルって好きなんだけど…、ネ。

渋谷ではじめる今日。ドクターペッパを飲みたくってしょうがなく、それでタコベル。
日本にやってきて、もう2年半。徐々にお店を増やしつつはある。けれどチェーンストアと呼ぶにはまだまだ数は少なく、大変なんだろうなぁ…、と思う。
大変の1つはメキシコ料理という日本人にとって馴染みの浅い料理をメインにしているところ。
大変のもうひとつはファストフードという業態を選んでしまったということで、おそらく後者の問題の根が深いんじゃないかと思う。だってベトナム料理やタイ料理。古くは1980年以前のイタリア料理のようなまだメジャーと言えない料理はまず、ちょっと上等な感じのする専門料理の店からはじまる。好奇心が強くて失敗しても怒らぬ人たちに、こんな新しい料理があるんですけれど…、って感じで日本にやってくる。それがゆっくり、下へ下へと降りていくのが一般的で、ハンバーガーは例外中の例外でしょう。

ハンバーガーが下からいきなりはじめて成功したのは「料理の紹介」ではなく「食べ方の提案」が行き届いていたからで、それがつまり今のファストフードの歴史の始まり。
今更、ファストフード的提案をして新しい料理を日本に浸透させるのはかなりむつかしい。
だから大変。
そんなファストフード世界にあって、この店が唯一誇れるところは、ファストフードでありながらドリンクバーがあることで、でもこれだってオンリーワンかというとそうじゃないのが哀しいところ。
ドクターペッパがあるのはオレたちはアメリカからやってきたんだ…、というアピールのひとつなんでしょう。ここよりもっと苦労しているであろうカールスジュニアのドリンクバーにもドクターペッパがそういやあった。

注文するときにあれこれ聞かれるのも、今の日本では敬遠されがち。例えば今日はタコスをたのんだ。個数は2個。ハードシェルを選んで、中のフィリングはチキンと牛挽肉のタコミート。一番辛いホットを選びサイドはポテト。ポテトのサイドをワカモレにしてドリンクバーを選んで注文が無事終了。

このやり取りをおじさんたちは多分、嫌がる。若い人の中にもコミュニケーションが苦手な人はたくさんいるからかなりハードルが高いに違いない。でもこの部分こそが世界的には「おもてなしレストラン」の基本であって、券売機とかタブレット端末に頼って平気な日本はどんどん世界的なおもてなしから遠ざかっている。2020年の「お・も・て・な・し」は本当に平気か?って思ったりする。なやましい。
料理は本当においしい。ハードシェルタコのバリバリ口の中で壊れてちらかるにぎやかさ。しっとり潰れるチャンキーな鳥胸肉やスパイシーなタコミート。野菜のみずみずしさに続いてチーズのとろけ。そして何よりトウモロコシのこんがり焼けた香りがメキシコ的で食べはじめるともう止まらない。

トレーの上はおそろしいほどに散らかって、もう収取がつかなくなっていくのだけれどその散らかり具合もファストフードな感じで全然わるくない。
トレーの上がちらかると同時に口に中もちらかり、そこでゴクリとドクターペッパ。口の粘膜に貼りつくような頑丈にして大きな泡に、薬臭い独特の香りが鼻から抜けてニッコリ。カリフォルニアに来たような感じがします。オキニイリ。ただ冷静になってトレーの上を観察するとメインのタコスに比べてフレンチフライの分量があまりに多くて笑ってしまう。アメリカのファストフードって芋でお腹を満たす料理がとっても多い。
フィッシュ&チップスなんてほぼ揚げた芋。ハンバーガーもこれでもかって芋がついてやってくるし、それに比べりゃ日本のファストフードの芋は貧弱。アメリカ人にとって芋って日本の米…、って感じさえする。オモシロイ。

さてこれだけで1000円でした。
安くはない。
でも高くもない。
好きな人なら払える値段。
肉は最小限でほとんど野菜、あるいは穀物。
だから原価は安い。
でも働く人や家賃のことを考えるならほどよき値段。
これでずっとがんばればいいんだろうとボクは思う。
いたずらに店を増やすために値段を下げたり料理をへんてこりんにローカライズしたりしないでできること。悪くないな…、と思ったりする。
それからもひとつ。感心したのが商品をのせるトレーの上にひく紙にロゴとお店のSNSの情報があるだけということ。
最近、日本のファストフードチェーンの紙は求人募集とか新商品の情報だとかうるさいほどで見てるだけでもゲンナリしてくる。あの広告だらけのテーブルマットをみていると、映画をわざわざ観に来た人に、予告が終わって気持ちが最高潮に盛り上がったタイミングで違法ダウンロードは駄目ですよ…、って言ってみせる間抜けな広告とおんなじだなぁ…、って思ってしまう。なんだかなぁ…。

 

関連ランキング:メキシコ料理 | 渋谷駅神泉駅

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。