キッチンさくらい

上野の昼時。早めに昼食をとっておこうと御徒町の駅の近くまでやってくる。
上野の街で、おいしいモノは上野駅周りじゃなく御徒町の駅の周りに集中してる。
松阪屋がかつて上野の文化中心だった名残なのでしょう。
特にとんかつ、洋食のお店が数多く、どこにしようかとちょっと迷って「キッチンさくらい」を選んで訪ねる。
駅前のガラスの箱のようなビルの最上階。
まるで空に浮かんだみたいに感じるロケーション。シンプルでひきしまったインテリアがステキなお店。テラスがあって近所にココの本店、「厳選洋食さくらい」という店があってそちらはクラシックで落ち着く雰囲気。けれど、ボクはこの店のカジュアルで明るい雰囲気の方が好き。

実はお店に入ったのが11時10分すぎ。
最初のゲストで、あぁ、ラッキーって思っていたら開店時間が11時半。
出直しましょうと、エレベーターを降りようとしたら、もう準備は出来ておりますからどうぞと席に案内される。

メニューを手わたされ、あれにしようか、これにしようかと考えて、食べたいものがまとまったのが15分頃。
開店時間になったら注文しようとメニューを置いたらギャルソンが近づいてきて、ご注文を伺いましょう…、と。
そしてサラダがやってきたのが開店時間の2分前。
ボクの後からやってきたお客様が2組いて、彼らもみんな普通に案内されて普通にサービスを受けている。

ルールはお客様のためにある…、というコトなのでしょう。いいなと思った。チェーンストアではこういう臨機応変はルールを曲げるというコトで、けれどココは生業店。生業店らしさが気持ちをあったかにしてくれる。

レタスにカーリーリーフ、スライスオニオン。
薄切りにしたキュウリにチコリ、エンダイブ。
オリーブオイルと塩、マスタードをまとわせてディルやイタリアンパセリをちらして仕上げたサラダ。
野菜それぞれの持ち味が引き立つ仕上がり。ハーブの香りがサラダをまるで前菜料理のようにする。
食べるところで味や食感、風味がまるで違って感じてひと噛みごとにお腹がすいてく。
サラダがあと残りわずかというタイミングでメインの料理がやってくる。シチュー、それからオムライス。

この店はほとんどすべての料理にハーフサイズがあるのが特徴。
実はサラダもハーフポーション。
ハーフとは言えたっぷりの量でちょっとビックリ。
シチューはタンシチューとビーフシチューをそれぞれハーフサイズで盛り合わせたもの。
オムライスもハーフサイズという組み合わせ。

ツヤツヤかがやくデミグラスソースをまとった牛肉、そして牛タン。生クリームが絵を描くようにほどこされ、ガルニ野菜にマッシュドポテト。香り豊かで喉がなる。フォークを当てると崩れるほどによく煮込まれた肉にウットリ。ちなみにココのカスターセットにはフォークとスプーンがあるだけでナイフは不在。ナイフなんか使わずとも味わうことができるというコトなのでしょう。口に運んで噛むとクチャっと潰れて、奥歯や舌にからみつく。入念に手仕込みされた料理の力をしみじみ感じるオゴチソウ。

ハーフサイズのオムライス。
コロンとキレイな形になって、お皿の上にそっとのる。
良くといて、空気を含んで焼きあがった玉子の表面に無数の小さな穴が開いてる。
フォークを入れるとススッと切れて、その断面をみると案外分厚く焼けてる。
分厚くあるけど、ふっくら、ふんわり。
スフレのようなやさしい食感。
中のご飯はデミグラスソースを混ぜて炒めたビーフピラフ。玉子に軽い塩味が、ご飯にしっかり味がついているからそのまま食べても十分おいしい。

トマトソースが別添えでくる。ケチャップではなく酸味がしっかりしたさわやかな味。焼けた玉子の風味がひきたち、口の中が潤う感じ。しかもご飯と玉子が見事にひとつに混じり合い、その一体感がココチヨイ。

デミグラスソースのおいしいコト。焦げた香りがこうばしく肉の旨みがズッシリ凝縮されている。酸味が後味ひきしめて、ズッシリお腹に響くおいしさ。ゼラチン質がネットリ舌にまとわりついて、唇同士がはりつく感じがまた濃厚。
オムライスにちょっとソースを拝借します。潰した牛肉も一緒にのっけて食べる。ネットリとした肉の繊維がご飯にからみ、舌にズッシリ。
デミグラスソースとマッシュポテトの相性もよく、お皿のソースを丁寧に、時間をかけてゆっくり味わう。お皿もキレイになって気持ちも満ちた。仕事をたのしくいたしましょう。

 

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